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41話 陰謀

 開催事務局の執行部の面々が、学園を訪れて2時間が経過した。

 当然学園内の話題は豪がどのような惨めな思いをするのか、この一点になっていた。

 豪自身はなにも反則行為を行っていないにもかかわらず、学園内の空気がそうなっていた。

 

 何かで誰かが言っていた、人が集団となったときの空気とは化け物であると。

 ソフィ、栗栖院、神木はそんな空気に引き込まれることなく行動を開始しようとしていた。

 それぞれが、自己判断にて直談判をしようと応接室に忍び寄っていた。


 盲目的になっている三人は、互いを認識していないのに何故か統率の取れた、奇妙な集団が学園長室の横にある応接室まで来ると学園長室の扉が開く。

「三人ともどこに行くんですか?」

 そう声を掛けられ、三人が三人とも、三人って誰? といった様な顔をして声の主を見る。


「まったく、駄目ですよ。こんな事して宇院君が喜ぶとでも思っているんですか?」

 学園長がそう言いながら三人をとがめる。

「学園長」

「学園長先生」

「っ! 出たなタヌキが」

 

 三人から声が出ると、三人はお互いの存在を始めて認識する。

「お嬢! おっぱい君! キミ等どうして」

「教授に・・・・・・負け先輩」

「ゴリラに・・・・・・初めまして?」

 この何も隠れる所のない廊下で、まさかの互いを認識していなかったと言う事実に学園長は、こめかみを抑えて三人に注意をし始める。


「まったく、三人ともそれ以上の行動は慎んでくださいね。彼の学園での立場がこれ以上悪くなったらそれこそ自主退学してしまう可能性もあるんですから」

「しかし!」

 学園長の言葉にどうしても納得のいかないソフィが、反論しようと声を上げるがそれを制して学園長は話を続ける。

「第一何も不正にならないのはあなた達が良く知っているでしょう? そんなに彼が信じられませんかねぇ?」

 自分の行動が豪に対する不信感の表れだと言われてしまっては、三人とも引き下がるしかない。

 肩を落とした三人はすごすごと来た道を引き返していく。


「ああ、そうだ。レディ妖精の鍛冶師(レプラコーン)! あなたは私と来てください」

 神木にそう声をかけて呼び止め、学園長室に入っていく学園長と神木。

 恨めしそうにその光景を見て、自分の無力さをかみしめながら二人は立ち去っていく。


 

「まったく、大人のあなたがそんなんでどうするんです?」

 机を挟んだ神木にお説教交じりに話し始める学園長。

 神木はそれをバツの悪さを感じながら黙って聞いていた。

「まぁ、いいでしょう。それよりも宇院君は本格的に新源流に組み込むんですか?」

「・・・・・・いや、それは出来ないだろう」

「あなたなら、出来るのでは?」

「一族の面汚しの末娘に何ができるって言うんだ」


 神木の表情が曇っていく。

 新源流と言う流派、それは豪が憧れた人生の師匠とまで言った東雲の流派であり、入学当初豪が勝手に名乗っていた流派の名前。

 それを興した一族は神木と言う、トーナメントにおいて一大流派ともいえる流派の末娘が妖精の鍛冶師(レプラコーン)神木結衣その人だ。

 しかし、神木は豪には自分の流派は名乗ってはいない。

 それには面汚しと自分を称した理由があるのかもしれない。


「それに学園を追われては、幾ら新源流を名乗った所で・・・・・・」

「だから、どうして宇院君が出て行くんですかねぇ? 何もやましいことはしていないのに?」

「しかし! 事務局まで巻き込んでいるのに!」

「ご老人たちは誰が会いに行くかで揉めてただけですよ?」


 学園長は今回の出来事の顛末を事細かに、とある事情を交えながら懇切丁寧に、まるで神木を子供扱いするかのように努めて丁寧に説明をした。

「・・・・・・と、言う訳なので何も罰せられる心配はないんですよぉ? 分かりましたぁ?」

「っっっ!! 帰る!」

 顔を紅潮させて踵を返す神木。

妖精の鍛冶師(レプラコーン)、このことは内密にお願いしますね?」

 

 学園長は神木が出て行った扉を笑みを浮かべて眺めていた。

 すると、どこに隠れていたのか、いつもの秘書が現れて学園長に疑問を投げる。

「アレを話してしまって宜しかったんですか?」

「知っていれば老人たちの抑止に奔走するでしょ?」

「老人たちが何を?」

 

 そう聞く秘書に学園長は一通の封書を渡す。

 受け取った秘書は中の書類に目を通すと、若干呆れたような顔を見せる。

「天然ものの宇院豪をそのまま使うつもりなんですね」

「みたいだねぇ。それをそれとなく知らせるための下地を作っておかないと」

「しかし、ここまで進んでいたとは・・・・・・」

「こっちも彼を使うしかないみたいだねぇ」


 ニヤニヤと明らかな作り笑いとわかる表情を浮かべながら、学園長は席を立つ。

「新源流と老人たち、それが争っているうちにこちらが、ね」

「では、素体はどうしますか?」

妖精の鍛冶師(レプラコーン)の作っているアレを利用します」

「御意」


 秘書がどこかへ消えた後、学園長は机の引き出しから一枚の写真を取りだし眺めて呟く。

「ようやくあなたの時代が帰ってきますよ」

 それだけを呟くと、写真をしまい部屋を出て行く。

 隣の応接室に向かうため。


 それから暫くたち、全校生徒に執行部からの通達が通信される。

 豪のギフトについての沙汰が正式に下された。

次回投稿は2/19 2:00を予定しております。

では、次回投稿で。

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