第九姉嫁 初月姉弟、森の中で竜さんと虎さんに出会うの巻 そのいち
皆さんお久しぶりです。今回は全三話で、ついに彼らが登場です。
また、今回は諸事情により外伝はなしです。書いていいものか迷い中。
あねおれに評価が入っていると、あねおれFDにも評価が入っている法則。
なんかすごい嬉しい。ありがたやありがたや~。
「・・・釣れないわねぇ。」
「・・・釣れないねぇ。」
ここはノエルの森(仮)にある泉である。
俺たち姉弟が召喚(?)された場所であり、ノエルさんと初めて出会った思い出の場所でもある。
なぜここで二人仲良く釣りをしているかというと、さきねぇの思い付きが原因である。
もしかしたら自分たち、というより人間以外のモノも召喚されてるのでは?と思ったらしい。
特にやることも無かった俺はさきねぇと一緒に泉にきて釣りをしている。
俺の目標はとりあえず空のペットボトル。
アレってすごいよ。何気なく使ってたけど、ペットボトルって技術の結晶ですよ。
もし獲得できたらアルゴスさんに渡して量産できないか打診するつもり。
まぁ『釣れたら』の話だけどね。
ちなみにさきねぇの目標は電子レンジらしい。
絶対釣れないと思うし、釣れたとしても不法投棄されたものなんだからぶっ壊れてるよねとか電気どうすんの?とかは聞かなかった。
さきねぇは多分わかった上で釣る宣言してるから。
姉が一度やるときめたからには応援するのが弟の務めです。
「・・・え!?」
「え!?」
さきねぇが急に大声をあげる。
「な、なに。どうしたの。まさか本当に電子レンジが!?」
「いや、なんつーか・・・閉じ込められたっぽい?」
「・・・ん?」
どういう比喩だろうか。
「えっと、あれかな。『誰もいないわね・・・まるでこの世に二人きりみたい・・・』的なやつ?」
「いや、違うのよ。まぁそれもいいっていうかむしろそれがいいんだけど、物理的にっつーか魔力的にっつーか。閉じ込められた感じ?」
そう言うとさきねぇはミカエルくんを構えて警戒態勢をとる。
マジでそんな感じなの!?
俺もすぐにスマート棍棒を構えて周囲を警戒する。
すると。
ゴロゴロゴロゴロ・・・
急に空に雷雲がこめてくる。
おいおいおいおいどういうことやねん。
さっきまであんなに晴れてたのに・・・
その時、突然空が割れた。
そして、その中から。
「GYAOOOOOOOO!!」
大きな咆哮をあげながら龍が姿を現した!
「「・・・・・・・・・!!」」
す、すげぇ・・・これってもしや・・・!
さきねぇと顔を見合わせ頷きあう。
「わがは「「シェンロンだー!!」」
異世界すげぇ!シェンロンだよシェンロン!
ギャルのパンティくれる人だよ!
「・・・どんな願いでも一つだけ叶えてや、るわけあるかバカ!我輩は青竜だ!」
顔を真っ赤にして怒鳴る龍さん。
青竜ってアレか。四神のか。ノリツッコミまでできるのか。
「青竜かー。」
「シェンロンじゃないのね・・・」
「おい貴様ら失礼だぞ!なんでちょっとガッカリしてるんだ!青竜だぞ青竜!四神の!」
「だって・・・」
「・・・ねぇ?」
すごいのはわかるんだけど、DB世代としては、ねぇ?
シェンロンか青竜かっていったら、シェンロンかなって。
「なんて失礼な人間どもだ。我輩のことを、よりにもよってあんな戦闘力10000もない雑魚にやられた最弱の龍族と一緒にするとは。」
「おい、シェンロンをバカにするってことは少なくとも日本国民の半分を敵に回すってことよ?」
「む・・・まぁそれを置いておいて。貴様らが変人一号二号か。」
「「誰が変人一号二号やねん。」」
仮面ライダーかよ。
しかも話そらしやがった。
「改めて紹介してやろう。我輩は青竜。四神の一にして東を守護するものなり。そしてそこにいるのが白虎である。」
「「え?」」
後ろを振り向くと、巨大な白い虎が待てのポーズで座っていた。
「青竜先輩、別に私の紹介までしなくて結構ですよ。せっかく隠れてたのに。精霊王様にも言われたはずですよ? 無闇に人間と接触するな、と。」
「そんなものは精霊王が勝手に決めた自分ルールにすぎん。なぜ我輩がやつの決めたルールに従わなければいかんのだ? 我輩こそがルールよ!わっはっは!」
信長みたいなこと言ってんなー青竜。
つーか白虎こえぇ。すごい迫力がある。食われそうでマジ怖い。
「どうも初めまして。四神の一にして西を守護しております、白虎と申します。以後お見知りおきを。これ、名刺です。」
「・・・は、はぁ。どうも。」
俺が恐怖を感じていると、ペコリとお辞儀をした白虎さんが口にくわえた名刺を地面におき、器用に両前足で名刺をすすめてくる。
紳士!と思いながら名刺に目を落とす。
『四神 大陸西部守護担当 白虎 <がおー!』
かわいい白猫のポップなイラストつきの名刺だった。
つか、がおー!って。見た目に反してめっちゃかわいいなこの人。
「・・・あのー、どうでしょうか。」
「・・・え、何がです?」
「その名刺です。」
「えっと、どう・・・とは?」
変なこといって食べられたら嫌だし、慎重に答えなければ。
「あの、私、色んな人に硬いだとか融通が利かないとかまじめすぎるなんて言われてまして。悩んでいた時に玄武先輩から『自分を変えるなんてそんな簡単に出来るものじゃないから、せめて名刺くらいは遊びの要素があってもいいんじゃないか』とアドバイスをもらったんです。考えた結果、それにしたんですが・・・」
眉を八の字にしてオドオドとした様子の白虎さん。
真面目か。
「それで、どう思いますか?」
「・・・いや、いいんじゃないですか? ぶっちゃけさっきまで『白虎さんこえぇ』とか思ってましたけど、こうやってお話して名刺みたらなんか和みましたし。」
「そ、そうですか!よかった!」
今度はニコニコしだす白虎さん。
何この人めっちゃかわええな!正直飼いたい。
「イタッ!いや痛くはないが、もう少し自重しろ小娘!」
「ケチケチすんなって。」
さきねぇはさきねぇで、青竜さんのヒゲをひっぱったり体を叩いたりしている。
うちのお姉様は怖いもの知らずやでぇ・・・
「神様にたいしてあんなことしてますけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫でしょう。私たちは精霊王様から『人間に対し、いかなる理由があろうともこちらから手を出してはいけない』と言われてますから。」
「あーそれなら安心で「小娘ぇぇぇぇぇ!」
ピシャァァァァァン!
青竜さんが叫ぶと同時に、すぐ目の前にカミナリが落ちた。
「いや、青竜さんめっちゃキレてますけど!?」
「全くあの人は大人気ないんだから・・・青竜先輩!」
「だってこの小娘が!我輩よりも自分のほうがすごいとか言い出して!」
さきねぇ、ついに神のステージへ昇る。
「我輩は四神だぞ!すごいし偉いんだぞ!」
「はっはっはっは!語るに落ちたわね青竜ちゃん!四神というと、大陸にたった四匹の存在よね?」
「そうだ!すごいだろう!」
「しかぁ~し!私たちは地球生まれ日本育ち!悪そうな千葉県民とは大体友達!」
ラッパーか。
「この大陸にたった二人の地球人!大陸に四匹しかいない存在と大陸に二人しかいない存在、どちらがすごいかと言えば~?」
「ぐ、ぐぎぎぎぎぎ!」
ドヤ顔のさきねぇと悔しそうな青竜さん。
ピシャァァァン!ピシャァァァァァァン!
またカミナリが落ちた。二つも。
「青竜先輩、ただでさえ勝手に出歩いてるんだから、そのうち精霊王様に怒られますよ?」
「うるさい!精霊王なんぞ我輩がひねりつぶしてくれるわ!」
青竜さんすごいこと言い出した。
「じゃあ玄武先輩に言って怒ってもらいます。」
「む・・・げ、玄武に言わなくてもいいではないか。」
「え、精霊王様より玄武さんのほうが怖いんですか。」
「ここここここ怖くねぇし!別に我輩玄武なんて怖くねぇし!」
俺の指摘に動揺を隠せない青竜さん。
「この大陸に限れば玄武さんより強い存在はいないですからね。精霊王様ですら『玄武はキレさせるなよ。俺がガチでやったとしても多分勝てないから・・・』って言ってましたし。」
「玄武さんそんな強いの!?」
さすがは玄武さん。四神最年長なだけあるぜ。
亀の甲より年の劫というが、玄武さんの場合は亀の甲=年の劫だからやばい。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
というわけでついに四神様が全員登場です。
この方々はなぜか書きやすくて助かります(笑