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第七十五姉嫁 外伝『ヒイロの幸せなためいき そのろく』

感想と評価頂きました。ありがとうございます。

今回の更新は特に評価を入れてくださった読者さんが多くて驚くと同時にとても嬉しかったです。

感想なり評価なり、未だに読んてもらえてるのがわかると励みになります……ほんとに……ホロリ

 そこにゆらりと立っていたのは真白。目にハイライトがなく混沌としている。

 そして手にはバチバチと電気を纏っていた。




「で、出たな白い悪魔!」

「私は何をしているのかと聞いているんですよマル姉さん・・・」

「ヒェッ・・・あ、悪霊退散!!」


 腕を十字に組むマルちゃん。

 なんかこの風景を見てると遠き日のさきねぇとマリーシアさんを思い出してほっこりしてしまう。


「ヒ、ヒイロさん、なんで私が恐ろしい目にあってるのにそんな微笑ましいものを見る感じになってるんです? おかしくありません?」

「いやぁ、二人共母親そっくりだと思ってね。」

「「一緒にしないでください!!」」


 ハモる娘っ子二人。

 いや、だって、ねぇ?


「マル姉さんはともかく、私は母さんとは違います。」

「えー、シロちゃんムラサキ叔母さんにそっくりじゃーん。すぐ手が出るところなんか特に!」

「・・・は? さっきからなんなんですかマル姉さん。ケンカ売ってるんですか? 買いますけど?」


 また手にバチバチと電気を纏わせる真白。

 マルちゃんはさっと俺の後ろに隠れる。


「ほ、ほら! すぐバチバチさせる! そういうとこ! そういうとこよ!? 見てますヒイロさん! あなたの娘さんすぐ暴力振るうんですよ!?」

「ぐ、ぐぬぬ・・・」


 俺の後ろに隠れたままピーピー騒ぐマルちゃんとぐぬぬ顔もかわいい真白。

 歳は少し離れてるけど、相変わらず仲良しで何より。

 真白は母親がS級冒険者、父親がB級冒険者でバックには超権力者ノエルさんと魔法使いの名門クリフレッド家(とついでにグリグリ家)がついてるからな。

 背後関係にビビって真白と対等に言い合える相手がほとんどいない中、『へいへい、聖女とか言われて調子のってんじゃないの~?』とか言えるのはマルちゃんくらいだ。

 うちのさきねぇとマリーシアさんみたいにいつまでも仲良くいてほしいものですね。


「・・・ふぅ。わかりました。私ももう10歳です。マル姉さんの低俗な罵詈雑言程度で怒りませんよ。」

「お、言ったわね? 言っちゃうよー言っちゃうぞー?」

「ええ、どうぞ。」


『クククク・・・』と厭らしい笑顔を浮かべるマルちゃんと自信満々の真白。


「では手始めに。やーいファザコーン!」

「ふふふ、何を言うかと思えば。最上の褒め言葉ですね。」

「むむ・・・やーいブラコーン!」

「くすくす。弟がかわいくて何か問題が?」


 余裕綽々の真白。かわいい。

 その時、まるちゃんが覚悟を決めたような顔で呟いた。


「・・・貧乳。」ボソッ

「表でろやゴラァァァ! 戦争じゃぁぁぁ!!」

「逃げるが勝ちぃー!!」


 素晴らしいフォームでダッシュするマルちゃんと、それを鬼の形相で追いかける真白。

 真白は風の魔法を使って速度を強化しているにも関わらず、クネクネと蛇行したり急停止急発進したりとギリギリ捕まらないマルちゃん。

 はっやいなしかし。スキルがある世界だったら【火事場の馬鹿力】とか【背水の陣】とか持ってそう。

 ちなみにマルちゃんも言うほど大きいわけではない。

 年齢的にいえば高校生が小学生に『やーい貧乳ー!』とか言ってる感じ。

 大人気ないことこの上なし。

 そんなことを考えていると、リィナちゃんがトコトコとこちらに歩いてきた。


「相変わらずマルさんとお義姉さまは仲良しさんなのです。」

「だよね。良きかな良きかな。」

「・・・でも胸なんて大きくても邪魔なだけだと思うのです?」

「うん、とりあえず真白の前でそれは言わないでね。」


 第一次世界大戦が勃発中なのにすぐに第二次世界大戦が開幕しちゃうからね。


「ところでおじ様は大きいほうが好きなのです?」

「えー、友人の娘とそういう会話したくないんだけど俺・・・」

「そういうものなのです?」

「なのです。」


 最近の若い子はマジでガツガツくるなぁ・・・

 わしの若いころはうんぬんかんぬん。


「ダーリンはどうなのですかね?」

「琥珀? 琥珀なぁ・・・あいつは器の大きい男だからどっちも好きだし気にしないと思うよ?」

「さすがはダーリンなのです!」


 ニコニコ笑顔のリィナちゃん。

 まぁあいつはお祖母ちゃんノエルさん大好き男だから小さい方が好きかもしれんが、ここでそれを言うほど野暮ではない。

 訓練場を走り回っていたマルちゃんがゼェゼェいいながらこっちにきて大声を上げる。


「シロちゃんターイム! 私はタイムを要求します!」

「はぁ? 何甘いこと言ってるんですか? マル姉さんが始めた戦争ですよね?」

「ちょ、ちょっとしたおちゃめじゃなーい! まぁまぁそんな怒らずにー?」


 腰に手を当てて怒ってますよ!ポーズの真白と、そんな真白を指でツンツンつくマルちゃん。


「しかし二人は本当に仲良しだねぇ。父さん嬉しいよ。」

「え? まぁ私の後ろをついて回る可愛い妹分というか、できの悪い妹ほど可愛いってやつですかね!」

「はぁ・・・まぁ腐れ縁ですし。マル姉さんは絹の糸で優しく包んで言うとアホかわいいって感じですしね。」

「優しく包んでそれ? 優しく包まなかったら?」

「聞きたいですか?」

「聞きたくないでーす!」


 耳をふさいでアーアー言ってるマルちゃん。


「・・・ふふふ。全くもう、マル姉さんはほんとにしょうがないですね。」

「あはははは!」


 笑い合う二人。

 悪態をついてはいるが、真白が肉親以外で『姉さん』と呼ぶのはマルちゃんだけだ。

 琥珀の嫁(の予定)であるリィナちゃんにすら『リナさん』だからな。

 二人は固い絆で結ばれているのだ。


「でもマル姉さん。次言ったらマジでハラパンしますからね。」

「ヒェッ・・・」


 ・・・二人は固い絆で結ばれているのだ。多分。


「お義姉さまとマルさんは仲良しさんで羨ましいのです。ボクもお義姉さまを罵ったら仲良くなれるのです?」

「真白が鬼の小姑になって琥珀との仲を邪魔してくるようになる可能性も考えてね。」

「別の方法を考えるのです!」

「うん、そうして。」


 グオォォォォォォォォォォ・・・


 そんな話をしていると、魔物の唸り声かと錯覚するほどの凄まじい腹の音?が鳴り響く。

 当然のように一斉にマルちゃんに疑惑の目が向く。


「あー、マルちゃん、そんなお腹空いてたの?」

「マル姉さん・・・お腹を鳴らすなら鳴らすでもうちょっとかわいい音を出してください。」

「ちちちちち違いますよ! 私じゃないです! てゆーかかわいい音ってどんなの!?」


 キョドるマルちゃん。


「マル姉さん、素直に認めた方が楽になりますよ?」

「え、冤罪だー! 弁護士を呼んでください! 徹底抗戦ですよ!?」

「ふっふっふ・・・本当はボクなのです! ドヤァ!」


 ドヤ顔のリィナちゃん。

 つーか自分で『ドヤァ!』とか言っちゃうのかわいいなおい。


「ほ、ほらぁ! 言ったじゃないですかぁ!!」

「・・・えっと、リナさん、なんでそんなドヤ顔なんですか?」

「お義母様が仰っていたのです。『大きいことは良いことだ。それはお腹の音であっても変わりはない』と!」


 ちょっと何言ってるかわからないですね。


「ヒイロさん、前から思ってましたけど、この子、ヤバくないですか?」

「クリスの娘さんだからしょうがないね。」「母さんの一番弟子だからしょうがないですね。」

「うーん、納得ですね!」


 ウンウンと頷くマルちゃん。

 納得するの早いな。


 ゴォォォーン! ゴォォォーン! ゴォォォーン!


 その時、外から鐘の音が聞こえた。

 もうすぐお昼の時間だ。


「さて、じゃあそろそろお昼だし、家に帰ってお昼ご飯にしようか。ノエルさんが首を長くして待ってるだろうし。」

「そうですね。「ハイなのです!」「いいですね!」


 俺の言葉に三人が賛成の声を上げる。


「え、マルちゃんうちで食べるの?」「え、マル姉さんうちで食べるんですか?」

「え、食べちゃダメなんですか!? この雰囲気で私だけハブ!? 嘘でしょ!? 嘘ですよね!?」


 俺と真白のハモリハブ発言を受けて俺に縋り付くマルちゃん。

 ほんとに金欠なんだな・・・哀れな子だよ・・・ホロリ。


「HAHAHAHA! ジョークだよジョーク。ノエルさん直伝のエルメリアンジョーク。」

「で、でっすよねー! さっすがヒイロさん! 大好き!」


 ガバっと俺に抱きつくマルちゃん。


「さっきからお父様に近いですね・・・」

「あばばばばばば!!」


 そして真白から電撃を食らう。

 ・・・・・・二人は固い絆で結ばれているのだ!




 それから四人でお話をしながら帰宅の途に付き、ノエルさんちに着く。


「ただいま帰りましたー。」

「おかえりなさい、あ・な・た! ご飯にする? お風呂にする? それともデ・ス・ト・ロ・イ?」


 笑顔のさきねぇに迎えられる。

 これから起こる騒動を考え、俺は幸せなためいきをつくのだった。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


というわけで今回の更新は以上となります。

あとはヴォルフの息子と娘を出せば次世代勢揃い……になるんですが、私は一体どこを目指しているんでしょうね?(苦笑)

個人的には次こそムラサキさんとノエルさんが活躍するお話を書きたいですが、こればかりは姉神様のお導きなのでなんとも?

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様でした‼︎ 次回も楽しみにお待ちしております。 姉神様のお導きを〜
[良い点] はわわ〜、癒やされるです〜(*´ω`*)ほっこり
[良い点] 更新お疲れ様です(^_^ゞ マルちゃんがマリーシアさんの娘っていうより、クローンやらコピー、若しくはドッペルゲンガーってレベルですね! いつか親子二人の凶演が見たい( ̄∇ ̄) [気になる点…
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