第七十姉嫁 外伝『ヒイロの幸せなためいき そのいち』
皆さんお久しぶりです。藤原ロングウェイです。
待っていてくれた読者さんはどれだけいるかはわかりませんが、久々の更新です。
しかも外伝で全6話というなかなかマニアックな構成。頑張りましたよ?
外伝なので見た目はあまり変わってないけどアラフォーのヒロくんです。
よろしくおねがいします。
「おい、アレ見ろよ・・・」
「ヒュー、さすがヒイロさんだぜ・・・」
「あれはヤバいっすわ・・・」
街を歩いていると、通行人たちからそんな声が聞こえてくる。
まぁそれもさもありなん。
今の俺は左右に二人の美少女を侍らせて手を繋いでおり、美少女サンドイッチの具状態だからな!
しかも姉でもお義祖母ちゃんでもない若い美少女二人と!
フッ、モテる男は辛いぜ・・・
「おじ様! あのお店のパイナポージュースが美味しそうなのです!」
「・・・お父様、あっちのお茶の方が美味しそうですよ!」
なお、その美少女二人は友人の娘(12歳)と実の娘(10歳)なわけだが。
若い美少女といっても若すぎるよね。少し犯罪臭するよね。
なので最初の通行人の言葉の意味は
『おい、アレ見ろよ・・・(引くわ)』
『ヒュー、さすがヒイロさんだぜ・・・(姉もロリもいけるとかストライクゾーン広すぎて怖い)』
『あれはヤバいっすわ・・・(警備隊に通報待ったなし)』
となる。
うるせーわ。
つーか痛いよ二人とも。左右からひっぱらないで。
さて、なぜこんな状況になってるかを簡単に話そう。
今朝になり、クリスの愛娘であるリィナちゃんが突然うちにやってきた。
いつものごとくアポなしで。
まぁここまではよくあることなのでいいんだが、いつもと違うのはさきねぇと琥珀がいないことだった。
さきねぇは数日前にいきなり『あ、なんか脳内に受信したわ・・・よし、修行に出かけるわよ!』と電波なことを言い出したのだ。
そして琥珀はノリノリでさきねぇについていき、真白は余裕で家に残った。
さて、リィナちゃんの目的は愛しの琥珀であるが、いないのであればどうしよう?となった結果、なぜか俺がリィナちゃんをエスコートする話になった。
それに激おこなのがお父様激ラブな真白である。
二人っきりでおでかけなんてデートみたいなことは認めません!許せません!と一緒についてきた。
そして今に至る、というわけである。
「パイナポージュースはドロリ濃厚でとっても美味しいのです! お茶とかジジくさいのです! かっこいいおじ様はこっちのほうが似合うのです!」
「お父様はお茶がお好きなんです! パイナポージュースなんて色といい味といい、なにか変な調味料をぶちこんでるに決まってます! シブいお父様には渋いお茶が似合うんです!」
「どっちも偏見がすぎる!? つーかマジで痛い! 落ち着いて! 引っ張らないで! 先に手を離したほうがお母さんですよ!?」
真白とリィナちゃんに左右からめっちゃ引っ張られる俺。
二人は『お母さん・・・?』と謎がりつつも引っ張るのをやめてくれる。
ふぅ、腕がちぎれるかと思った。
すると真白が俺の腕を抱きしめながらリィナちゃんに声をかける。
「・・・あの、リナさん? さっきから距離、近くありません? 私のお父様なんですけど?」
「それを言ったらボクのお義父様でもあるのです! 問題ないのです!」
睨む真白と満面の笑みを浮かべるリィナちゃん。
「・・・・・・コハクの許嫁なのに、別の男性にベタベタ触るのはふしだらでは?」
「どこぞの馬の骨ならアウトなのですけど、おじ様ならせふせふ!なのです!」
「ああいえばこういう・・・!」
さらに睨む真白と満面の笑みでせふせふ!するリィナちゃん。
この空気の読まなさっぷりはさすがクリスの子だなぁとしみじみ思う。
「まぁまぁまぁまぁ。せっかくなんだし三人で仲良くしましょうよ。」
「ハイなのです!」
「・・・はぁ。お父様がそう言われるのなら。」
しぶしぶといった感じで頷く真白。やれやれだぜ。
だがそんな娘も可愛いと思う親バカな俺なのであった。
しかしリィナちゃんは琥珀ラブ!なんだからそんな気にする必要ないと思うんだがなぁ。
とはいえ、リィナちゃんの俺に対する好感度はかなり高い。
なんせ『世界で一番かっこよくて素敵なのはダーリンなのですけど、二番目にかっこよくて素敵なのはおじ様なのです!』とか言っちゃうからな。
この発言にさきねぇは『よくわかってるじゃない! あげないけど!』と大笑い、真白は『・・・は?』とまるで親友に恋人が寝取られたような顔つきをしていた。
でも素直に喜べないんだよなぁ。
結局『世界で一番かっこよくて素敵な琥珀に似ている』から好きってだけで、単なる琥珀のおまけ扱いなので。
まぁ友人の娘にガチで惚れられてもそれはそれで大変困るが。
「ではおデート再開なのです!」
「だから・・・!」
俺と腕を組みなおすリィナちゃんに『グルルル・・・』と唸り声をあげる真白。
それはそれでかわいいけど、パパは仲良くしてほしいな・・・
結局二人と腕を組んで歩き始める。
ちなみに、リィナちゃんは年齢にしては発育がかなり良いお嬢さんである。
どれくらい発育がいいかというと、腕を組むと胸が当たるくらいには。
もちろん俺はいやらしい気持ちなど抱かない。
当然だ。俺はシスコンだしロリコンではないので。
真白は・・・まぁ年相応って感じかね。
さきねぇの遺伝子が入ってるんだから大きくなりそうだけど今の所その予兆は見えない。
将来に期待といったところか。
そんなことを考えていると、首筋がチリチリとすると同時に頭の中にキラーン!という効果音がした。
「この凄まじい姉重圧・・・ヤツか!?」
「? どうしたんですか、お父様。」
恐らくこの付近にはいない・・・しかし、確かにヤツの姉重圧を感じた。
クソ、ジムに乗って赤いズゴックに戦いを挑む気分だぜ。
「いや、なんでもないよ・・・この戦いが終わったら、俺、結婚するんだ。」
「お父様、もうすでに結婚してますよね!?」
「ふっ、ここは俺に任せて先にいけ。なぁに、すぐに追いつく!」
「私達は何を任せてどこにいけばいいんですか!?」
「実はあのトリックの謎が解けたんですよ。直接会ってお話したいので、後で僕の部屋に来てもらってもいいですか?」
「もはや意味がわかりません!?」
娘相手にボケまくるの、たーのしー。
きっとさきねぇもこんな感じだったのかねぇ。
『全く、お父様ってば・・・』とためいきをつく真白と、よくわかってない顔のリィナちゃん。
ごめんね、変な家族でごめんね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
第八姉嫁でちょっとだけ出てきたクリスの娘、リィナちゃんの本格参戦です。
琥珀ラブ勢ですがヒロくんのこともかなり好き。真白はぷんすか状態です。




