第五十七姉嫁 姉がリトルでリトルが俺で、の巻 そのさん
「更新が早すぎるので藤原ロングウェイ(偽)ではないか」という感想が(笑)
活動報告には書きましたが、今回の更新は全七話で毎日更新です! 本物です!
その証拠にムラサキさんとノエルさんとマリすけの3サイズと体重知ってます! 上から……おっと、誰か来たようだ。
あとコラボ作品の『続・あくおれ!』はずっとノエルさんのターンなのでノエルさん好きの方はぜひ読んでみてください。
「ヒイロくん、いや、ヒイロ様。あなたはもしや、精霊王様の仮初の姿なのでは?」
「違います。」
すでに姉教の敬虔な狂信者なので他の宗教はノーサンキュー。
外に出てさっそくマサムネさんを振り回すさきねぇ。
最初は普段との違いにぎこちなかった動きも、数分もすれば剣舞のような動きにまで昇華させていた。
あとはノエルさんと少し剣を合わせて動きを微調整して終了。
「しかしお前は相変わらず武器の扱いが上手いな。」
「ふっふっふ。まぁねまぁね! コツは円の動きと遠心力よ?」
呆れた顔のノエルさんに機嫌よく答えるさきねぇ。
剣なんてこの世界に来てからしか扱ったことないくせに、武術の達人みたいなこと言い出したぞ。
「ノエル様、そろそろ時間が・・・」
「・・・・・・はぁ、いくしかないか。二人とも、いいか。絶対に、絶対に無茶はしないように! 絶対だぞ!」
「何回絶対言うねん。おばあちゃんか。」
さきねぇのツッコミに少しだけ同意してしまったのはナイショだ。
まぁお義祖母ちゃんだし致し方なし。
そのまま四人でノエルの森(仮)の入り口までやってくる。
ここからノエルさんとラムサスさんは馬で王都までいくらしい。
「では、いってくる。」
「いってらっしゃーい。」
「お土産よろしくねー! エルエルのセンスが問われるわよー!」
ハードル上げるの好きだねこの姉。
馬を走らせながらもチラチラと何度もこっちを振り返るノエルさん。
そうして見送っていたが、ついに二人の姿が見えなくなった。
「・・・さて、じゃあ街にいきます?」
「いきましょう!」
意気揚々と出発する俺たち。
ちなみに、さきねぇと俺は子供用の皮鎧に皮帽子、皮靴というレザー装備を着込んでいる。
ノエルさんが倉庫から引っ張り出してきたものだ。
魔法がかかった特殊な防具は装備者の背格好に自動的にフィッティングするらしいが、普段の俺たちは普通の装備しか持ってないからね。仕方ないね。
あと武器はさきねぇがいつものマサムネさん、俺が炎のナイフに皮の盾である。
俺はさきねぇじゃないので、この姿だとスマート棍棒はでかすぎるし重心が取れないのだ。
炎のナイフは休憩中の火起こしなどでよく使っているので戦闘でも使いこなせる、と思いたい。
「つてーてつてーてつてーてつてーてー、ぱーーーぱららららららーーー、ぷわぽっ!」
「素晴らしいBGMのチョイスですね姉上。」
「でしょ? これが夜じゃないのが残念だけどね。」
すごい、BGMも相まってどんどん国民的RPG5の序盤みたいな状況になってきたぞ。
この調子でいくとアルゼンで幽霊退治でもするのか?
イベントクリアでもらうのは・・・ミニ白虎さん?
そんな感じで二人で歩いていると、どこからともなくゴロゴロという音が聞こえてくる。
「むっ、エンカウントね! てれれれれれれれれー!」
「この音はレッドだんごむしだね。」
さきねぇと二人で武器を構える。
・・・なんか戦闘態勢に入るとか久々すぎてムズムズする。
普段どんだけぐーたら戦ってたかわかりますね。
そして岩場の陰からレッドだんごむしがこっちに向かって三匹転がってきた。
「レッドだんごむしがさんび・・・でかくね?」
「でかいね。普通に怖いわ。」
でかいといっても相手の大きさは変わっていない。
しかし、普段はサッカーボールよりやや大きいくらいのレッドだんごむしだが、小学校低学年程度の身長で見るとけっこうでかく感じる。
「とりあえず開幕爆撃! 第一攻撃隊、全機、発艦!!」
一匹のレッドだんごむしに向けて、いつもより小さい≪水矢≫を三回発射する。
接近される前に≪水矢≫で全機撃墜するのが望ましいのだが、威力的にどうだろな? 一応三本射てみたが・・・
ドンドンドンと三連続で≪水矢≫を食らったレッドだんごむしはよろよろと動きを止めた。
ふむ、いつもなら一発で十分だけど今の状態だと二、三発か。けっこう弱まってるな。
まぁそれでも問題は何もない。
「さきねぇ、残り二匹来るよ!」
「ガッテン!」
ゴロゴロ転がり、さきねぇの手前でボヨンっと弾んだレッドだんごむしは、マサムネさんの一撃で空中でまっぷたつになるとキラキラ輝いて消えた。
「・・・思わざれば花なり、思えば花ならざりき! ダメージ65535! ドカーン!」
ダメージMAXじゃないですか。
つーかその間にラスト一匹が俺に向かって突っ込んできてるし!
「甘い!」
腹に力を込め、レッドだんごむしのタックルを皮の盾で防ぐ。
バカめ、お前達がすぐ腹を狙ってくるのは(過去の経験から)お見通しなんだよ!
ルーキーの時の様な無様な姿は見せん!
「食らえ、≪水餅弾≫! からのー、≪氷牙突≫!」
盾で弾かれて転がっただんごむしに粘着性のある水弾をぶち当て、動きが鈍ったところを氷の小剣が貫く。
流れるようなコンビネーション。さすが俺。
「何あれ新技? やるじゃない! さすがヒロ!」
「秘密特訓の成果です。ブイ。」
とりあえず子供バージョンでも敵の動きを止めることは可能なことがわかった。
あとはサクサク進むだけだな。
「よーし、じゃあこの調子でアルゼンを目指しましょーう!」
「おー!」
「「どーれみっふぁーそっらっしどー!」」
二人仲良く手を繋ぎ、歌を歌いながらアルゼンを目指すのだった。
アルゼン門前にたどり着き、門番をしているタイチョーさんと門番ABに挨拶をする。
「おつかれちゃーん。」
「お疲れ様です。」
「・・・・・・待て。」
「「グエッ」」
ぺこりと頭を下げて門を通ろうとしたらタイチョーさんに首根っこを掴まれた。
「コラコラコラコラ。普通に通ろうとするな。お嬢ちゃんたち、親御さんはどこにいったんだ?」
なんて説明しようかと迷っていると、タイチョーさんが俺たちの顔をマジマジと見つめてくる。
「ん・・・? っていうか、お前らムラサキの嬢ちゃんとヒイロにソックリだな。もしかして親戚か?」
「・・・おとうさんとおかあさんです!」
「「「「え。」」」」
元気いっぱいに答えるさきねぇに、思わず固まる俺とタイチョーさんと門番AB。
そーきたかー。
「ひいろとむらさきがわたしたちのおとうさんとおかあさんです!」
「いや、だって、そんな様子は・・・えー?」
パニくるタイチョーさん。
しかし急に黙り込むと、怪しげな目付きで話しかけてくる。
「・・・そういやこの前、ヒイロがかわいい女の子にラブレターもらってニヤニヤしてたけど、あれはどうなったんだ?」
「――――――ヒロ?」
「ヒィ!? で、でたらめです! これはガセネタだ! 流言飛語だ! 俺を貶めるための罠だ!」
さきねぇの瞳から光がなくなり、吸い込まれそうなほどの漆黒が俺を射抜く。
「嘘だよ。しかしこれにひっかかるってことは、お前らヒイロとムラサキ嬢ちゃんだな?」
「お、よくぞ見破った!」「よくわかりましたね。」
「一定時間だけ子供に戻るアイテムや罠が存在するってのは聞いたことあったしな。大方ノエル様のアイテムでも勝手に使ったんだろう?」
「ヒロ、ビックリ。私たち、めっちゃ理解されてるんだけど。」
「やっぱか・・・」
さすが馴染みのタイチョーさん、よくわかってらっしゃる。
「はぁ・・・まぁいいや、通れ。」
「あざーっす。」
「ご迷惑おかけします。」
「おーい! 無理だとは思うが、イタズラするにしても出来るだけ人の迷惑にならないようになー!」
「タイチョーめっちゃ理解ある大人じゃーん! そういうおっさん好きよー!」
「頑張りまーす!」
手を振ってタイチョーさんたちと別れたのだった。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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