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第五十四姉嫁 あねおれSS『名探偵ムラサキの事件簿~ヒゲ強奪事件編~』

メリークリスマスでございます。

ということであねおれSSです。クリスマス話ではありませんけどね!

 ある日のこと。

 さきねぇと二人でノエルの泉(仮)で釣りをしていると、なぜか青竜さんが遊びに来た。


「よう小娘。遊びにきてやったぞ。歓待せよ。」

「また来たの? もしかして青竜ちゃん友達いないの?」

「我輩ほどの男になるとな、対等の存在などそうそういないのよ。王者は孤独ということだ。」


 フッ、とかっこつける青竜さん。


「他の四神さんたちはどうなんです?」

「朱雀はゲーム買いに行った。白虎は律儀に自分の担当地域巡回してる。玄武は寝てる。」


 まともに大陸守護してるの白虎さんだけじゃねぇか・・・


「つーかぶっちゃけあいつらのとこに遊びにいくのめんどい。遠いし。」

「ぶっちゃけたわね~」


 四神さんたちは大陸の守護という名目上四方に散ってる。

 なので東に住んでる青竜さんにとって一番近い知り合いは俺らのようだ。

 それに俺たち姉弟はほぼ100%の確率でノエルさんちにいるからな・・・

 いつまでも脛かじってすいません。


「まぁそこで私たちに目をつけたのは慧眼ね。つまり私は神クラスといっても過言ではない!」

「小娘は態度でかいけどこっちに気後れしないから話しやすい。」


 青竜さん、やっぱ友達いないんじゃないか?

 とりあえず青竜さんの愚痴を聞いたり、青竜さんの背に乗って竜神丸の真似とか日本昔話の真似をしたりして遊ぶ。

 それから少しして、さきねぇの目がギラリと鈍く輝いた。

 何をする気だ・・・


「ねぇねぇ青竜ちゃん。ちょっと目瞑って?」

「・・・なぜだ?」

「もう、察しが悪いわねー。サプライズよサ・プ・ラ・イ・ズ!」

「サプライズ! なるほど、サプライズなら仕方ないな。我輩、察しが良い故目を瞑ろうではないか。」


 ワクワクした感じで目を瞑る青竜さん。

 ・・・何もわかっちゃいない。

 何かをたくらんでるやつの前で目を瞑るということは、イヤホンで音楽を聴きながら自転車に乗って高速道路を逆走するようなものだ。

 つまりデスorデス。


「ちょっと待っててねー?」


 言いながらリバ子を抜くさきねぇ。


「はぁぁぁぁぁ!」


 そして魔力を全開にしてリバ子に込め出す。


「その『はぁぁぁぁぁ!』はなんなのだ小娘?」

「気合よ気合! サプライズには必須でしょ?」

「確かに! サプライズには必須だな!」


 本人の目の前ではぁぁぁぁ!とか言ってたらそれはもうサプライズでもなんでもないだろ。

 魔力の充填が終わり、真っ白に輝きだすリバ子。

 こうやって見るとさすがエクスカリバー、聖剣っぽいなー。同じ魔剣でもうちの駄棒とは大違いだ。


「小娘、なんか光ってるっぽいけど、これはなんだ?」

「演出よ演出! イルミネーション!」

「なるほどな! 知ってた知ってた!」

「さすが青竜ちゃーん! 話がわかるぅー! ふぅー!」

「フゥー!」


 なんか気の毒だな。


「ヒロー、ちょっとこれ引っ張ってピーンとしてー?」

「・・・」


 さきねぇは青竜さんのヒゲを指差している。

 ・・・巻き込まれた。

 気の毒なのは青竜さんじゃなくて俺だった。


「はーやくー!」

「おい小僧。よくわからんが早くしろ。」

「え、いいんすか。」

「我輩へのサプライズなのだろう? いいからやれ! 四神である我輩の命令である!」

「・・・そこまで言うなら。」


 本人の命令ならしゃーなしやな。

 さらば、青竜のヒゲ!


「いくよー。せー、の!」


 さきねぇが純白の剣を上段に構えたのを見てから青竜さんのヒゲをひっぱりピーンと張る。


「・・・おい、小娘。まさか我輩のヒ「ムラサキ流最終奥義! ≪紫光七聖剣スターバーストストリーム≫!」


 さきねぇがリバ子を振り下ろすと、俺の目の前を極太ビームが通り過ぎる。

 こえぇよ!俺がカスったら即死だろこれ!!

 しかし、青竜さんのヒゲは何事もないようにピンピンしている。

 青竜のヒゲ、恐ろしい子・・・!


「まだまだぁ! リバースカードオープン! コンボ発動! 必殺、Vの字斬りぃー!」


 さきねぇはさらに手を捻りリバ子を切り上げる。

 すると、青竜さんのヒゲにひびのようなものが走る。

 そのヒビは徐々に長くなっていき、そして・・・!


 ボトッ


 すぐに極太ビームが消える。

 そこに残ったものは、一本のヒゲのみだった。


「「「・・・・・・」」」


 三人とも無言。

 さきねぇは会心の笑みを浮かべ、青竜さんは目を見開き、俺は両者から少しずつ距離をとっていた。


「青竜は宝箱を落とした。中にはなんと! 青竜のヒゲが入っていた!」

「落としとらんわぁぁぁぁぁ! 貴様が斬ったんだろうがぁぁぁぁぁ!!」


 ピシャァァァン!


 得意満面のさきねぇに雷が落ちる。


「さ、さきねぇーーー!」「天罰である!」

「・・・・・・ふふふ、呼んだかしら?」


 落雷の煙が立ち込める中からさきねぇの声が響く。

 そして煙が晴れるとそこには・・・!


「「なっ!?」」


 立派な盾を頭上に掲げた、無傷のさきねぇの姿があった。

 あれ、それって・・・


「それ我輩のうろこではないか!!」

「やっぱねー。風属性最強の青竜ちゃんのうろこシールドなら、風の上位属性の雷も防げると思ったのよねー。さすが私!」


 落雷でもノーダメージとか青竜さんのうろこすげぇな。

 でももしガードできなかったらどうするつもりだったんだろうか。行き当たりばったりすぎるわ。


「ぐぬぬぬぬぬ・・・!」

「ヒロ、言ったでしょ? 私は不可能を可能にす――」


 さきねぇは人差し指をピンと立てながら自信満々で話し出す。

 が、俺が『アカン! それは言ったらアカンやつや!』と思った瞬間。


 ピシャァァァァァァァァァァァァァァン!!!


 さきほどより巨大な雷がさきねぇに降り注ぐ。

 そして灰になる青竜さんのうろこシールド。


「「「・・・・・・・・・」」」


 またも無言になる三人。

 ニヤリとしつつ冷や汗がタラーッと流れるさきねぇと、さきねぇをじっと見つめる青竜さんと、顔面蒼白の俺。


「・・・で、小娘。なんだって?」

「・・・あ! あんなところに玄武!」

「バカな!? 気配を感じなかったぞ!?」


 後ろを振り向く青竜さん。

 もちろん誰もいない。


「ヒロ、今よ! 逃げるが勝ちっ!」

「・・・こ、こ、こ、小娘ぇぇぇぇぇ! 本気でビビッただろうがぁぁぁぁぁ!!」

「ぎゃぁぁぁぁぁ! 白虎さーん! 白虎さーーーん!!」


 背後からおっそろしい竜に追いかけられながら、俺は必死に白虎の鈴を鳴らしまくるのであった。




 こうしてさきねぇは大陸史上最強の武器、青竜のヒゲを手に入れた。

 しかし・・・


「なんかさー、ジョーンズ先生に憧れてムチ手に入れたのはいいけど使いにくいし正直地味よね。もっと七色に光るとか頑張ってほしいわ~」


 あまり使われる機会はなかったのであった。



ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


今年こそはムラサキさんサンタとヒロくんトナカイの話を書こうと思いましたが全くネタが出ませんでした。残念。

クリスマスは基本仕事なので良い思い出が全くないから仕方ないですね!・・・(´・ω・`)

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