第五十一姉嫁 どきどき!あねおれ学園!の巻 そのいち
えーと、タイトルどおりですが、書いた本人でもなんて言ったらいいのかよくわかりません(笑)
また、姉の日記念として『白銀のねくろまんさー!~晴れのち姉弟、ときどき聖騎士、ところによりアンデッド~(体験版)』という短編も投稿しております。
もちろん姉弟いちゃラブコメディファンタジーものです。よければこちらもよろしくお願いします。
ppp!ppp!ppp!ppp!
「うーん・・・朝か・・・」
目を開けゆっくり起き上がる。
「うぅーん・・・っと。さて、お姉さんを・・・?」
さきねぇを起こそうとして横を見ると、さきねぇがいない。
っていうか・・・ここどこ?
窓があって、むこうには電柱が見える。
室内には本棚が三つとクローゼット、部屋の隅にはテレビとゲーム機が鎮座している。
机の上にはパソコンが。
・・・ん? 電柱? テレビ? パソコン?
辺りを見回す。
あれ、良く見るとここってすごい見慣れた場所じゃん。
つーか・・・
「俺の部屋じゃん!?」
俺の部屋だよ! 実家っていうか、地球っていうか、そっちの俺の部屋!
良く考えたら起きた時も時計が鳴ってた!
いつもは異世界のよくわからん鳥の鳴き声で起きるのに・・・
混乱した頭のまま部屋を出る。
え、もしかして、今までの生活は全部夢?
さきねぇと結婚したのも、ノエルさんに出会ったのも、魔法使いになったのも、全部、夢?
・・・嘘だろ。
全身から力が抜けて倒れそうになる。
やばい、死にたい。
俺にさきねぇという心の支えがなかったら確実に首吊ってた。
ゾンビのようにふらふらと一階に下りる。
すると、何かが焼ける音といいにおいが漂ってきた。
・・・さきねぇが起きてるのかな?
今さきねぇの顔見たら泣いちゃいそうだ。
リビングのドアを開ける。
そこには。
「おはよう緋色。今日も早いな。今目玉焼き焼いてるからちょっと待ってなさい。」
背の小さな銀髪の女の子が台に乗って台所に立っていた。
この後姿は・・・!
「目玉焼きパンで足り「ノエルさん!!」うわぁ!?」
俺は全力でノエルさんに抱きしめる。
「ノエルさんノエルさんノエルさんノエルさんノエルさんノエルさんノエルさんノエルさん!!」
「ちょ、え、なにがどうした!? 緋色、おい、どうした!? てゆーかギュッてなってるギュッて!」
ノエルさんの声も聞かずそのまま抱きしめ続ける。
慌てて声をあげていたノエルさんも俺の様子に気付き、次第に黙って抱きしめられてくれていた。
「・・・・・・落ち着いたか?」
「はい、すいません。もう大丈夫です。」
「え~っと、何があったんだ?」
「なんというか、その~・・・」
なんて説明すればいいんだ?
ギシ・・・ギシ・・・
どう説明しようか迷っていると、二階から誰かが降りてくる足音が。
そして。
ギィー・・・
ドアが開く。
しかし、ドアが開いただけで、そこには誰もいなかった。
「「?」」
ノエルさんと二人でドアに近づく。
すると。
「アァーーーーー!!」
「「ギャァァァァァ!!」
ゾンビのような動きでさきねぇが襲い掛かってきた!
「かゆ・・・うま・・・」
「Mウイルスに感染してる・・・」
「オレサマ、オマエ、マルカジリ・・・」
「混ざってる混ざってる。」
「てゆーか、二人で何してたの?」
ジトメで睨んでくるお姉さまもかわいい。
「てゆーか、違うよ! ほら、うちにノエルさんがいる!」
ノエルさんの両脇に手を入れ持ち上げてさきねぇに見せる。
「こ、こら! 緋色! 持ち上げるな! 犬猫か私は!」
「・・・で?」
「え、でって・・・」
「エルエルがいて当然じゃね? エルエルんちだし。」
「え?」
いや、うちでしょ。
普通に俺の部屋だったもん。
「紫、緋色が朝からなんかちょっとおかしいんだ。何かしたのか?」
「なんもしてないわよ。残念ながら。」
「ふむ・・・もしや嫌な夢でも見たのか?」
「そうなの?」
二人から見つめられる。
今の状況に違和感を持っているのは俺だけ?
「えっと・・・その、なんか、寝ぼけちゃった、かな?」
「「・・・」」
「テヘ!」
「「・・・・・・」」
二人がかわいそうなものを見る目で見てくる。
見ないで! 汚れた私を見ないで!
「・・・まぁいい。二人とも座ってなさい。もうすぐパンも焼けるから朝食にしよう。」
「あいよー。」
「・・・はい。」
とりあえず様子をみよう。
しばらくして、ノエルさんが焼けたパンの上に目玉焼きを乗せ、その上にマヨネーズをかけた目玉焼きパンを用意してくれる。
「では、いただきます。」
「いただきます。」
三人でテレビを見ながらパンを食べる。
「ウノ大統領はメキシコに壁作るっていってるけど、マジでいってんのかしらね?」
「さすがにポーズだろう。」
さきねぇとノエルさんが普通に世界情勢について話をしてる。
どうなってんだ?
「さて、私は着替えてくる。二人はゆっくりしていなさい。」
「うぇ~い。」
ノエルさんが部屋から出て行く。
「・・・ねぇねぇさきねぇ。」
「なに?」
「ここ、ノエルさんち、だよね?」
「そりゃそうよ。」
何を当然といった感じでキョトン顔のさきねぇ。
「・・・なんでここに来たんだっけ?」
「とーちゃんとかーちゃんが海外いくけど、あたしたち二人だけじゃ不安だからってエルエルんちに居候させてもらえるように頼んだんじゃない。忘れたの?」
「んー、ちょっとね。」
「ふーん。」
俺の知ってる記憶と違うぞ。
両親は笑顔で俺とさきねぇを置いていったはずだ。
どうなってんだ。
その時、ドアが開きノエルさんが出てくる。
「!?」
ノエルさんはスーツ姿だった。
コスプレ!? めっちゃかわいいけれども!
こども店長というか、こども先生って感じ。
「私はもう学校にいく。二人とも遅刻しないようにな。特に紫!」
「わっしょい!」
「・・・学校?」
ノエルさんが学校?
「ではいってくる。」
「いってらっしゃーい。」「い、いってらっしゃい。」
ノエルさんを見送りリビングに戻る。
そして思考の海に潜る。
・・・考えはいくつかある。
1、俺の夢。(俺はおかしくない)
2、今までのが俺の夢でこれが正しい世界。(俺がおかしい)
3、パラレルワールド。(魔法青年プリズマ☆ヒイロ)
4、スタンドの攻撃。(こいつはヘビーだぜ・・・)
・・・1だろうなぁ。
とりあえずこの線で進めていこう。
「ヒロ、着替えないと学校遅刻しちゃうわよ?」
「・・・せやな」
思考の海に沈んでいた俺はさきねぇの言葉を受け部屋に戻る。
クローゼットを漁ると学ランが用意されていた。
・・・なんか恥ずかしいなコスプレみたいで。もう高校は卒業してるし。
着替えて一階に下りる。
リビングに戻ると、そこには桜色を基調としたセーラー服を着たさきねぇがいた。
「え、女神ですか?」
「そうです。」
タイムラグなしで即答するお姉さまが素敵。
とりあえず拝むか。
「ありがたやありがたや~」
「朕は国家なり。」
俺が拝むとさきねぇはそう言いながらソファに座り弥勒菩薩半跏思惟像のポーズをとる。
国王なのか菩薩なのかどっちかにしてください。
つーかピンク色の制服って何。いや、かわいいけれども。
こんなのコスプレショップ以外に存在しないでしょ。
「いってきまーす。」
「い、いってきます。」
先に進もうとすると、後ろからさきねぇの声が掛かる。
「あれ、ヒロ、鍵は?」
「か、鍵? ああ、鍵ね。鍵。知ってる。もちろん知ってるよ。家、出る時、鍵、閉める。ちぃ、覚えた。」
「古い!」
財布の中に鍵が入っていたので差し込んでみるとガチャっと音がしてロックがかかる。
「じぃー・・・」
「さ、さぁレッツごーとぅーすくーる!」
さきねぇからめっちゃ不審な目を向けられるもスルーして先に進む。
外の風景見てるとなんかめっちゃ久しぶりだなーという感じ。
異世界暮らしが長かったからなー。
「おっす緋色。」「おはようございます緋色先輩、紫先輩。」
そんなことを考えていると、後ろから声がかかる。
後ろを振り向くと、そこには。
「無理があるだろ!!」
「何が!?」
学ランを着た獣人のヴォルフとさきねぇと同じピンク色のセーラー服を着たカチュアさんがいた。
はい夢オチ決定!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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