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第四十八姉嫁 とびだせ、えるふの森!の巻 そのよん

感想いっぱいいただきました!ありがたやありがたや~

 ポカポカと叩き合うさきねぇとノエルさん。

 そして何が起こっているのか全く理解できてない顔の長老だった。




「あー、えっと、長老様、初めまして。ノエル・エルメリアの弟子でヒイロ・ウイヅキと申します。こちらは私の姉のムラ「弟子!? ノエルが弟子を取ったのか!?」


 俺の言葉を遮り驚愕する長老。


「わりぃかクソジ、んん。悪いか長老。」

「悪いというか・・・大丈夫か人間の坊や。ワシが言うのもなんじゃが、こいつは手のつけられないバーサーカーみたいなもんじゃぞ?」

「だぁ~れぇ~がぁ~バーサーカーだぁジジイ!?」

「エルエルでしょ?」「お前しかおらんが?」


 灼熱の魔力を放出するノエルさんにハモるさきねぇと長老。

 今の状況だけ見るとバーサーカー扱いも否定できないのが悲しい。

 そしてさきねぇ・・・あんた同類でしょうよ・・・


「いえ、ノエルさんにはとても良くしてもらっています。ノエルさんがいなければどこぞで野垂れ死んでたかもしれません。」

「なるほどのぅ。にわかには信じられんが・・・まぁいつまでもここで立ち話もなんじゃし、家の中で話すとするかの。」


 長老についていき、大きな家に案内される。

 中は広いけど、あんまり物はないな。ノエルさんちに似ている。

 似ていないのはそこいらにハンモックがぶらさがっていることくらいか。

 そこそこに広い部屋に入り、いすに座る。

 すると奥からエルフの女性がお茶を持ってきてくれたのだが、めっちゃ手が震えてる。

 俺らとノエルさん、どっちに怯えてるんだろうか・・・


「しかし、あのノエルが弟子を、しかも人間の弟子を取るとはのぅ。」

「色々あったんだよ。」


 不機嫌そうなノエルさん。

 今から考えると、泉で釣りをしてたらいきなり人間の男女が飛び出てきた、とか衝撃的だっただろうな。


「あの火魔法を暴発させて前髪がチリチリになって泣いてたノエルが弟子とは感慨深いの。」

「おいジジイ一回表出ろ。」「何その話詳しく!」


 いきなりキレ気味のノエルさんとは裏腹に、目をキラキラと輝かせたとても楽しそうなさきねぇ。


「あれは160年ほど前の話じゃったか・・・」

「「いきなりうさんくさくなった(な)(わ)!?」」


 いや、まぁノエルさん168歳だから本当の話なんだろうけど。


「いきなり『芋を焼く』と言い出して落ち葉に火をつけたら勢いが強すぎてな。前髪がチリッと焼けたんじゃ。そしたら驚いたついでに後ろにひっくり返って後頭部を強打して泣き喚いての。懐かしいわい。」

「ぶっ殺すぞジジイ!」「ダセェー!!」


 顔を真っ赤にしてプルプルしてるノエルさんを指差して爆笑するさきねぇ。


「だ、大丈夫ですよノエルさん。ノエルさんも魔法に失敗はつきものって教えてくれたじゃないですか。」

「そ、それはそうだが・・・」

「それに世の中には火魔法で遊んでて自爆して爆風で川に落ちた人だっているんですし。」

「おっとー、ここで私に飛び火したわね! 前髪が焼けたエルエルだけに!」


 HAHAHAHA!とアメリカ風に笑うさきねぇ。

 いや、意味わかんないし。全然上手くないし。

 でもノエルさんのプルプル具合がすごいことになってる。


「他にも「もういい黙れジジイ! 何の用事で呼んだかさっさと話せ!」


 ノエルさん激オコ。

 S級冒険者<破軍炎剣バーニングピアス>といえど過去の話は恥ずかしいのかやっぱ。


「用事は・・・・・・・・・特にない。」

「「「は?」」」


 え。じゃあなんで手紙出したの。


「きっと来ないだろうなーと思って手紙を出したら、まさか来るんじゃもん。こっちがビックリじゃし急に来られても迷惑じゃよ。」

「よし、殺そう。」

「待って!」


 ノエルさんを中心に本気の魔力が吹き荒れる。

 このままでは里が・・・エルフの里が全焼してしまう!


「さきねぇ! さきねぇジャッジを! さきねぇジャッジをお願いします!」

「わかったわ・・・むむむむ・・・」


 さきねぇが目を閉じ踊りだす。

 長老はかわいそうな子を見る目でさきねぇを見る。


「・・・・・・出ました。長老、アウトー!」

「よし!」


 室内の温度が一気に上がり、サウナのような状態になってる。

 こ、これを止めるには・・・!


「ノエルさん! でもほら、これ、『家族』旅行みたいなものじゃないですか!」


 俺のその言葉にノエルさんの動きがピタッと止まる。


「・・・・・・家族、旅行?」

「そうですよ! 『家族』でエルフの森見学ツアーにきたようなもんじゃないですか! せっかくの『家族』旅行ですし、用事がなかったらなかったで別に構わないのでは!?」


『家族』という言葉を強調して話す俺。

 するとみるみるうちに魔力が弱っていくノエルさん。

 成功だ!

 さきねぇにも『合わせろ!』とアイコンタクトを送る。


「まぁおばあちゃんの家に遊びに来たようなもんだし、家族旅行じゃない?(ほんとはヒロと二人きりが良かったけど)」

「家族旅行、か・・・そうだな! それなら仕方ないな! 家族旅行で嫌な思い出を作るわけにもいかないしな!」


 顔を真っ赤にしつつも、めっちゃ嬉しそうなノエルさん。

 いつのまにか魔力の暴風雨は消滅していた。


「おいクソジ、長老。命拾いしたな。今回はヒイロの顔に免じて許してやる。か、家族旅行だしな!」

「じゃあこれで用件は終わり?」

「ん・・・まぁ、終わりじゃな。」


 何か含むような様子の長老。


「じゃあエルフの里探検ツアーといきましょうか!」

「正直ここには何もないが、たまには三人で散歩も悪くないな!」

「ゴーゴー!」

「ゴーゴー!」


 意気揚々と部屋を退出するさきねぇとノエルさん。


「えーっと・・・すいません、それでは失礼します。」

「ああ、ちょっと待ちなさい。」

「何か?」

「ここに宿はないが、今日はどこに泊まる予定なのかね?」


 え、ないのかよ。

 あーでも里に誰も寄せ付けないなら宿なんて必要ないか。


「えっと、特に誰も何も考えてないと思います。」

「そうか。なら夜になったらここに泊まっていきなさい。」

「よろしいんですか?」

「かまわんよ。」

「ありがとうござ「ヒロー! はやーく! イザーク!」


 外からさきねぇの急かす声が。


「バスターとは違うんだよー! あ、すいません。ではまた後ほど。」

「・・・・・・」


 笑顔で手を振る長老に別れを告げ、外へと向かうのだった。



ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


ムラサキさんの「はやーく! イザーク!」はなんかよくわからないですけどふと頭に浮かびました。

自分でもちょっと意味がわかりません。

でもアカツキとバルドフェルドさんは好きです。

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