第三十七姉嫁 ああっお父さまっ!の巻 そのさん
感想いただきました。ありがとうございます。
えー、電撃イヤイヤ棒はただの鉄の棒です(笑)
ムラサキさんが「ムラサキ! 君に決めた! いけ、10万ボルトだ! ピカー!」と自分で言いながら鉄棒に魔法で電気を通してクリスを突いてます。
15日のあねおれ本編の一日のPVが一万近くなっててびびりました。なんで?
読者さんたちが「内容忘れたからもう一回読んでやるか」と読んでくれたんですかね?
とにかくありがとー! 姉、ふぉーえヴぁー!
「今のはゴールしたクリスを祝う花火のようなものです。」
「なるほど。」
納得するのかよチョロすぎだろ。
「いやー楽しかった! とても、とても楽しかったわ! クリボーに電撃が走る瞬間に、私、人生の充足を感じた!」
「嫌な感じ方だなおい。」
やりきった表情のさきねぇ。
その笑顔はとても美しくかわいらしいが、言ってることは最悪だった。
さきねぇがクリスパパに気付く。
「お? 誰その貴族っぽい人。エルエルへの生贄?」
「なんでやねん。この人は「私はゲオルグ・ウル・クリフレッド。そこに倒れているクリス・ウル・クリフレッドの父である。」
「あら、クリパパ? どーもはじめましてー。ヒロの姉でムラサキ・ウイヅキですー。」
笑顔で挨拶するさきねぇ。
今、父親の目の前で息子を電撃ビリビリしていたにも関わらず、後ろめたい表情は一切見せない。
恐ろしいほどの鋼メンタル・・・
すると、クリスパパが俺に耳打ちしてくる。
「ボソッ(本当に貴殿の姉なのか?)」
「ボソッ(ええ、正真正銘、本物の姉ですが。)」
「・・・・・・そうか。うちの息子がずいぶんお世話になっているようだな。」
「私の愛しい弟の弟子なら、私の弟子でもあるからね! まぁしょうがないわ!」
「・・・・・・貴様はノエル・エルメリアと同じ匂いがするな。」
「乳臭いってこと?」
「別にノエルさんは乳臭くないよ!」
なんか良いにおいはするけども!
「違う。圧倒的強者のオーラを放ち、人の話は聞かず自分の話は力で押し通す類のやっかいな天才の匂いだ。」
「ほう。初見でそれを見抜くとは・・・こやつ、できる・・・」
いや、たぶん褒められてないからねそれ。
とりあえずぶっ倒れてるクリスに≪聖杯水≫を飲ませて回復させる。
「う、う~ん・・・」
「クリス、お疲れ様。平気か?」
「お、お師匠様! ありがとうございます! 平気です! まだやれます!」
「いや、無理だろ。めっちゃヒザ笑ってるし。」
クリスは立ち上がったが、生まれたての子羊のようにプルプルしていた。
「というより、クリスにお客様だ。」
「お客様?・・・あ、父様! お久しぶりです!」
「うむ、久しいな。」
「どうされたのですか?」
「いや、なに。お前の師匠というものに興味があってな。今日見にきたのだ。」
「・・・ぶわっはっはっはっは! きょ、興味があったから今日見にきた! クリパパセンスありすぎぃ! 不意打ちすぎる! やばいツボった! ひー、ひー!」
さきねぇが突然大爆笑しだし、三人でポカーンとする。
・・・あー、『興味』があったから『今日見』にきた、ね。
まさかクリスパパ、狙ったのか? 小粋なクリフレッドジョークなのだろうか。
HAHAHAHAHAって笑ったほうがいいのかな?
「こ、この小娘・・・!」
チラッとクリスパパを見ると、顔を真っ赤にしてプルプル震えていた。
あ、違うわ。素だ。天然だ。さすがクリスの父親だな。
あと、火属性は顔真っ赤病の人多いのかな?
「いや、あの、すいません、うちの姉、ちょっとアホなもんで・・・その、お許しください。」
「・・・・・・別に怒ってなどいない。」
俺がペコリと頭を下げると、クリスがあわててフォローにはいる。
「わ、私は父様の冗談、面白いと思いました!」
「クリス! 違う! フォローのチョイスが違う!」
そこは聞き流してやるべきなんだよ!
あーもークリスパパ、息子にまで気を使われてまた顔真っ赤になっちゃったじゃんよ。
「あの、父様、お師匠様の姉君は、その、こう見えて凄腕の冒険者なのです。ちょっと、いや、だいぶアレですが。」
「・・・だろうな。ヒイロ殿、貴殿の姉、ちゃんと手綱を握っておくべきだぞ。野放しにしたら何をしでかすかわからんタイプだ。」
会って数分でここまで言われるうちのお姉さま。ある意味才能ですね。
「とりあえず、一回家の中に入りましょうか。」
「・・・というような感じで訓練をしています。」
「なるほどな。面白い。良い師をもったなクリス。」
「はい!」
家の中でお茶を飲みながら冒険者としてのクリスの様子を伝える。
学校の三者面談みたいだな。
「・・・しかし、よくノエル・エルメリアと同じ家などに住めるな。」
「え? いや、普通に良い人ですよノエルさんは。拾ってもらった恩もありますし、家族同然です。」
「想像もつかんな。」
「・・あの、なんでノエルさんってそんなに恐れられてるんですか?」
「・・・恐れられる理由しかないと思うんだが。」
「はぁ。」
さきねぇと顔を見合わせる。
かわいくて優しいおばあちゃんやねんで?
「あの女がどういった人物か聞いていないのか?」
「自称大戦の英雄とは聞いてるけどねぇ。ボケてる可能性も視野にいれてはいる。」
「あの女がボケるとか恐ろしい話だな。大戦以降の話だ。」
「大戦以降・・・」
ノエルさんからはあんま聞かないなぁ。
ラムサスさんもそのへんのことは顔を青くして語りがらないし。
「あの女は自分のことをロリババアと呼んだイナルファ王国の王子を殴り倒した挙げ句、二階の窓から投げ捨てたという伝説がある。」
「「パネェ!」」
ヤンチャすぎるでしょ。
「まぁ王子の落下地点には池があったから死にはしなかったがな。だがそれを咎められると『自分は言葉の暴力を受けたから肉体の暴力で返した。フィフティフィフティの正当防衛である』と言い張ったらしい。」
うちのお祖母ちゃんのぶっ壊れたレートの報復っぷりすげぇな。
「他にも魔法学校に講師として呼ばれたその日に『ガキどもが生意気すぎる』と言って生徒を火あぶりにしようとしたり、『遠回りするのがめんどくさい』と言って土魔法で川を塞き止めたり、『森の中に逃げた盗賊を探すのめんどい』と言って森に火をつけようとしたり・・・数えればきりがないほどの危険な伝説を持つ、歩く災害のような女だ。普通森に火をつけるか? やつは仮にも森と共に生きるエルフだぞ?」
ノエルさん、やらかしてるなー。
俺たちの前ではそんなデンジャラスな要素見せないけどね。
でもなんだろう、とてつもなく似た何かをすぐ近くの人からすごく感じる。
やはり(色んな意味で)類友だったか。
「・・・ふむ。」
「・・・何か?」
クリスパパが熱い視線でじっとこっちを見つめてくる。
まさか、この人もラムサスさん的な性癖の持ち主なのか。変態なのか。
「性格、人格にも問題なし。人柄も良い。水魔法使いだが革新的な技能の持ち主でもある。そしてノエル・エルメリアと一緒に暮らせるほどの精神の強さ。どれをとっても申し分ない。」
「は、はぁ・・・?」
俺のこと? 褒められてるのかしら?
褒められ慣れしてないからよくわからん。
「ヒイロ殿。我がクリフレッド家の分家筋に器量よしの娘がいてな。」
「はぁ。」
「結婚するといい。」
「はぁ・・・はぁ!?」
この人何言ってんの!?
「大丈夫、貴殿がどこの馬の骨ともしれないとしても、私は気にしない。先方にも言い聞かせておく。ヒイロ殿を侮辱するようなことがあればクリフレッド家を追放する、と。結婚式の準備なども全てこちらで手配しよう。ヒイロ殿は何も不安に覚えなくていいぞ。」
「いや意味わかんないし!」
俺のこと気に入りすぎだろ! なんなんだよこの一家は!!
「フン!」
「うわぁ!?」
ズガァァァァァン!
突然目の前のテーブルが粉砕される。
そこにはミカエルくんを全力でたたきつけた格好のさきねぇがいた。
「さっきから聞いてれば、意味わかんないんですけど? 死ねばいいと思うんですけど?」
「姉であれば弟の結婚は祝福するべきだろう。」
「私たち、夫婦なんですけど? 死ぬべきだと思うんですけど?」
「夫婦? 姉弟で結婚したのか?」
「は、はい! なのでそのお話はなかったことに!!」
「・・・いや、なら側室でかまわん。貴殿はクリフレッド家と縁戚になるべきなのだ。」
「側室!? どこの大名の話!? 豊臣家!? うちは初月家ですよ!?」
だめだ、俺も混乱してきた!
さきねぇが怒りのオーラを立ち上らせながらミカエルくんを構える。
「この私が本気を出した以上、異世界は今日滅亡する・・・!」
「さきねぇ、落ち着いて! 断ったから! 今断ったから! お姉ちゃん大好き!」
「ヒイロ殿ほどの男であれば女の二人や三人囲う権利、いや、義務がある。」
「ねーよ! 勝手に決めんなおっさん! つーか人の話聞けよ!」
なんなんだよこのカオスは!
クリス・・・はさっきのさきねぇアタックの余波で吹っ飛んで気絶してるし!
ずるい! 俺も仲間にいれてくれ!
「ただいまー! ヒイロ、ムラサキ、寂しかっただろう? 今帰ったぞー! しかも! ジャジャーン! お土産まである、ん、だ・・・」
そこに突然のノエルさん帰宅。
これで異世界は助かるのか。
・・・否。断じて否。
なぜなら。
「・・・ノエル・エルメリア?」
ここには他人がいるからだ。
そのクリスパパは目が点になっている。
当然だろう。
さっきまで『化け物』とか『歩く災害』なんて呼んでいた人物がジャジャーン!とか言いながらちょっとかわいいポーズをとり、両手でお土産を掲げながら入ってきたのだから。
一方のノエルさんは。
「あ、あ・・・」
ジョニーライデン専用機かと思うくらいに顔を真っ赤にしていた。
なんかすごいな。
今この場には七つの大罪『憤怒』の化身と言われても納得できるほどの怒気を放つ異世界の超新星ムラサキ・ウイヅキと。
魔法四聖の一つ、『火のクリフレッド』の現当主にして呆然としているゲオルグ・ウル・クリフレッドと。
大戦の英雄、『破軍炎剣』の二つ名を持ち、真っ赤になりながらプルプル震えているノエル・エルメリアと。
奇しくも火属性を持つ天才三人が相見えた。言うならば異世界幻想三国志。
・・・あ、ノエルさんが激しく震え出した。
カウントダウンはいりまーす。
3、2、1・・・
「全員記憶を失えぇぇぇぇぇ!!!」
凄まじい魔力の放出の直撃を受け薄れ行く意識の中、俺は、この後の家の中の片付け大変そうだなぁなんて場違いなことを思うのだった・・・
―終―
死んでません!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
なんかノエルさんがオチ担当みたになってきましたね。どげんかせんといかん。
でもコメディなので一回くらいは爆発オチやらないとね!
次の更新は、できれば二月中にバレンタイン話、を……投、稿……かゆ、うま……
わかりません!(笑)




