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第三十六姉嫁 ああっお父さまっ!の巻 そのに

前回の投稿から二ヶ月以上時間が開いたにも関わらず、多くの方から感想をいただきました。

ありがとうございます。

中には「続きが読めるのをあきらめかけていたが更新してくれてよかった」という読者さんもいらっしゃいました。

本当にありがとうございます。

あねおれFDは不定期連載ではありますが、実は最終話はもう考えてあるのでエタることはありません。ご安心ください。


また、キリタニさんという姉弟ファンタジーものを書いている作者さんからあねおれのレビューをいただきました!

やっふー! ありがとうございました!

「傷をつけるのはいいですが・・・別に、あなたを倒してしまっても構わないのでしょう?」

「・・・は、はははは! 水魔法使いが! この魔法四聖の一つ、クリフレッド家の当主たる私を倒すと言うのか! いいぞ、遠慮せずこい! ねじ伏せてやろう!」


 そして、戦いの火種は切って落とされた!




 ~15分後~


「ま、参りました・・・」


 バテバテで地面に横たわっている俺がいた。

 クリスパパは余裕で腕を組んで立っている。当然無傷。

 いや、普通に考えて無理でしょ。

 だって俺D級魔法使いよ? 相手世界ランカーみたいなもんよ?

 そりゃ無理だよ。魔法使いムリーちゃんですよ。

 俺に主人公パワーみたいのがあって、強敵との戦いの中でそれが覚醒するような熱い展開をほんの少しだけ期待していたが、やはり俺はさきねぇのような特別な人物ではなかったようだ。

 ノエル先生、ファンタジー世界の空気を吸うだけで、僕は高く跳べると思っていたのかなぁ・・・


「ふん・・・立てるか?」

「ありがとうございます。」


 俺に向かい手を差し出すクリスパパ。

 くそぅ、イケメン紳士とかズルすぎる。

 手を引っ張って起こしてもらう。


「しかし驚いたな。」

「あんだけ大口たたいておいて、弱すぎてすいません・・・」

「ん? 何を言っている。逆だ。貴殿になら安心してクリスを任せられる。」


 ・・・ん?


「え、いいんですか?」

「当然だろう。貴殿は単属性の水魔法使いだろう?」

「ええ、水オンリー、一途な純愛水ヤローです。」

「私は今まで水魔法使いは防御や回復しかせず、他人の後ろで守ってもらうことしか考えない腰抜けしかいないと思っていた。いや、もちろん防御や回復が大切なのはわかってはいる。だが攻撃できなければ敵には勝てない。そうだろう?」

Exactlyそのとおりでございます。」


 攻撃は最大の防御とも言いますしね。

 まぁ水属性自体攻撃に向いているものではないので、基本的に防御と回復だけできれば問題ないと思うけど。

 俺の場合は、ほら、防御と回復だけじゃさきねぇの足手まといになっちゃうからね。。

 防御・回復以外にも状態異常とかスタンみたいな攻撃補助ができればいいなと試行錯誤してるわけであります。

 人知れず頑張っております。


「しかし貴殿は違った。これほど多彩な攻撃手段を持つ水魔法使いなど出会ったことがない。それに基本に忠実なだけかと思いきや、冒険者らしい相手の虚をつく勝つための戦い方も展開した。机上の理論ではなく実践に基づいている。加えて、扱う水魔法も独特なものだ。私が見たことがないようなものばかりだった。しかも全てに相手に勝つという気迫が込められている。」

「・・・えーっと、一言でいうと?」

「素晴らしい。」


『素晴らしい』いただきましたー!

 魔法四聖に褒められましたー!やったよー!


「そういえば貴殿は先ほど魔法力、魔法量ともにDと言っていたが本当か?」

「ええ、昔計った時もこの前計った時もそうでした。」

「ふむ・・・解せんな。私の私見ではともにCクラスはあると思うのだが。」

「本当ですか? 訓練してくれてるノエルさんからは特に何も言われませんけど。」

「・・・アレは化け物だ。例えば魔力1000の人間から見れば10も20も100も大して変わらんし、違いはわからん。」

「なるほど。」


 そこだけ聞くとノエルさんが脳筋というか脳魔って感じだが、なぜかすごい説得力を感じる。

 そして大陸有数の魔法使いの名家である魔法四聖から化け物扱いとかノエルさんマジパネェ。


「しかし不思議なものだ。」

「何がです?」

「貴殿だ。ヒイロ殿はうちのクリスのような天才ではない。というより、普通の凡人だろう。なんというか、そういった人種が持つ独特なオーラが一切感じられん。にも関わらず、あれだけの魔法が扱える。きっと弛まぬ努力の賜物なのだろうな。」


 本人の前で『普通の凡人』とか『オーラが一切感じられない』とか言うな。

 いや、褒めてくれてるのはわかるけれども、もうちょっと言い方どうにかしろよ。

 クリスといい、この家の家訓とか家風なのだろうか?


「きっとクリスに必要なのは貴殿のような方なのだろう。これからも息子をよろしくお願いします。」

「そそそそそそんな! こちらこそ!」


 そういうと深々と頭を下げるクリスパパにキョドる俺。

 この家の人たちは変人だけど良い人ばっかだな!


「いや、今日は来てよかった。貴殿に出会えたのはまさしく僥倖といえるだろう・・・ところで、貴殿はウイヅキという姓をお持ちのようだが、聞いたことがない。どのあたりの生まれなのだ?」

「えっと、実はその辺はノーコメントでお願いできませんか?」

「・・・なるほど、了解した。なに、貴殿のことだから後ろ暗い理由ではあるまい。私は気にせん。」


 別に秘密ではないんだが、千葉県生まれですうぇーいとか言ってもわかんないから混乱しちゃうだろうしね。

 つーか俺に対する信頼度、異常に高いな! いつのまにか呼び方が『貴殿』になってるし!

 会ってから二時間も経ってないのに『貴様』から『お前』→『君』→『貴殿』と三回呼び方変わってるよ! 出世魚か俺は!


「そういえば、クリスは今日はここにはいないのか?」

「今は姉が(暇つぶしで)特訓に付き合ってます。特訓といっても体力作りのランニングですが。」

「ランニング?」

「ええ。魔法使いだろうがなんだろうが、人間は体が資本です。体力のない貧弱な魔法使いなど紙屑同然。まずは生き延びるための体力です。」

「なるほど。実践に即しているというわけだな。さすがヒイロ殿だ。」

「そろそろ帰ってくると思うんですが・・・」


 すると。


<ギャー!


 遠くから悲鳴が聞こえた。よく知った声だ。


「「・・・」」


 クリスパパと目があう。


「・・・今、何か声が聞こえたような気がしたが。」

「ここは森の中なので、風で木々が揺れたのでしょう。」


<ギャァーー!


「「・・・・・・」」


 再度クリスパパと目があう。


「・・・・・・悲鳴のような気がしたのだが。」

「この森には変わった動物が多いので、きっとその鳴き声でしょう。」


 その時、向こうの方からこちらに走ってくる二人の姿が見えた。


「ほら走れー! 誰が速度を落としていいと言ったー!」

「う、嘘だ! ボクの速度は落ちていないはずだ! さっきから面白半分でぎゃぁぁぁ!」

「つべこべ言うなー! 走れないやつは金髪だ! 走れるやつは訓練された金髪だ!」

「い、意味がわからなぎゃぁぁぁ!」


 息も絶え絶えで必死に走っているクリスと、ニヤニヤ笑いながら棒を持って並走しているさきねぇだった。


「・・・何かが光るたびにクリスが悲鳴を上げているようだが。」

「ムラサキ式特殊訓練の一環です。」

「内容を教えてもらえるだろうか。」

「えっとですね・・・」


 説明する直前でさきねぇとクリスが俺たちの目の前を走り抜ける。


「ゴール!」

「ぎゃぁぁぁ! お、おかしいだろう! なぜゴールしたのに電撃イヤイヤ棒で突かれなければいけないんだ!」

「気分よ。」

「やっぱり気分なんじゃないか! お師匠様、絶対に姉君の頭はおかしぎゃぁぁぁぁぁぁ!」


 さきねぇが警棒のようなものでクリスをつつくと、軽いフラッシュとともにクリスが悲鳴をあげ、ついにまえのめりに倒れた。


「このように、クリスの後ろを並走していたうちの姉が持っている電撃イヤイヤ棒には微弱な、ごく!微弱な!電気が流れておりまして。ゴールするまでにランニングの速度が落ちると後ろからこの棒で突かれるため、必死に走らざるを得ないという過酷な軍隊式の訓練方法です。」

「・・・今、クリスはゴールした後にその電撃イヤイヤ棒?で突かれていたようだが。」

「今のはゴールしたクリスを祝う花火のようなものです。」

「なるほど。」


 納得するのかよチョロすぎだろ。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


あねおれでガチバトル展開なんてあるわけないでしょ!!

あと、クリスはギャグキャラですので電撃イヤイヤ棒を食らった瞬間は体が透けて骨が見えてます(笑)

でもあねおれにいじめはありません!いじめ、カッコ悪い!

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