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第二十七姉嫁 ムラサキお姉ちゃん、運命に出会うの巻 そのさん

感想、評価いただきました。ありがとうございます。

もうすぐ12月、皆さまも体調には気をつけてくださいね。

「じゃあクマさんって呼んでいい?」

「さきねぇ! ここアルゼンじゃないからね!? アルゼンじゃないどころか他国だからね!? いつもどおりの感じじゃなくて、もうちょっと落ち着こうか!?」

「おう、いいぜ。」

「ええんかーい! ええんかーーーい!!」


 つっこみすぎて疲れた。




「ぐぁっはっはっは! クマさんは俺の昔からのあだ名みたいなもんだから今更気にしねぇよ。」

「あ、そうなんですか?」

「おう。じゃあ自己紹介しとくか。俺はこの冒険者ギルド・イナルファ王国本部の副本部長、アーク・マーロンだ。」

「「アーク・マーロン・・・」」

「そう。俺のでかい体と名前からよくクマって呼ばれてたのよ。二つ名も〝戦斧獣ウォーベアー〟だったしな。」

「なるほど。」

「ザ・ワールド! トランプマーン!!」

「古いな!」

「???」


 クマさんキョトン顔。気にしないでください、病気です。

 でもキューティーベアーと違ってこっちのクマさんは優しそうで良かったと思いましたまる。


「あ、ヒロ、お姉ちゃん喉渇いたわ。わーらーぷりーず?」

「おーいえーす。≪聖杯水アクアホーリー≫っと。アーク副本部長も飲まれますか?」

「ん? じゃあいただこうか。」


 魔法袋からHとMと書かれた二つの銀製のマイカップ(材料提供・ノエルさん)とお客様用の銅のコップを取り出し≪聖杯水≫を注ぐ。

 ちなみに銀製のマイカップはNの文字の入ったノエルさん専用のものもある。

 三人お揃いのティーカップなのだ。


「いやーやっぱ美味しいわねこれは。お姉ちゃん的にはもうちょっとポ○リ味に近づけられたら嬉しいんだけど。」

「俺はアク○リ味に近づけたいんだけど、なかなか味の調整って難しくてね。」

「・・・ほう、美味いな。水魔法を使うってことは、噂の〝紫電旋風テンペスト〟の弟ってのはお前か。」

「お、さすがクマさんお目が高い! ここにいるのが私の弟にして夫の「あ、あのー・・・」


 さきねぇの弟演説が始まりかけた時、恐る恐るといった感じで隊長A氏が声を掛ける。


「あ、隊長A氏まだいたの? もう帰っていいわよ?」

「う、うーん・・・」

「なんだぁ? なんかあったのか?」

「はい、実は~」


 かくかくしかじかと今までの経緯をクマさんに説明する隊長A氏。

 かくかくしかじかって便利だね!


「なるほどな。でもさっきもいったとおり、A級ってのは皆どっかおかしいやつばっかなんだ。子供を追っかけたくらいで捕まえてちゃ牢屋がA級冒険者で埋まっちまうぜ! 聞いた感じ、別に暴力沙汰を起こしたわけじゃないんだろ?」

「は、はぁ・・・」


 まぁA級冒険者なんてそんないっぱいいるような存在じゃないけどな、と付け加えるクマさん。


「俺の顔に免じて許してくれや。何か問題があったら俺が面倒みるからよ。な?」

「わ、わかりました。よろしくお願いします。・・・あの! 私はもう戻りますから今後は変態的な行動は慎んでくださいね!」

「了解であります隊長殿!」

「・・・では失礼します。」


 やっと肩の荷が下りた、という疲れ切った表情でギルドを後にする隊長A氏。

 いつの時代も真面目な人が苦労をしょいこむっていうね。どげんかせんといかん。


「クマさんさんくす!」

「ありがとうございますアーク副本部長。」

「なに、いいってことよ・・・タダだなんて一言もいってねぇからな。」


 そう言ってニヤッと笑うアーク副本部長。

 おっと、そうきましたか。


「・・・一介の冒険者である自分たちが副本部長殿に何かできることがあるとは思えませんが。」

「いや、噂どおりなら多分お前たち以外誰もできねぇお願いよ。」


 どういうことだ?

 とりあえず『安請け合いしないように』とさきねぇとアイコンタクトを送る。

 返事は投げキッスだった。

 わかったのかわかってないのか、わかった上で安請け合いするつもりなのか・・・

 あれ、アイコンタクトした意味あったかこれ?


「まず聞きたいんだが。お前たちがあの〝破軍炎剣バーニングピアス〟の弟子ってのは本当なのか?」


 その瞬間、俺の警戒度は一気に高まった。

 ・・・俺たちをダシにノエルさんになんかさせるつもりか?

 イナルファ王国本部の副本部長のお願いなんて絶対碌なことじゃないだろう。

 なんて答えるべきか。


「弟子っていうか、私たちのお義祖母ばあちゃんだけど。」

「・・・おばあちゃん? 誰がだ?」

「え、エルエルでしょ?」

「・・・・・・エルエルって誰だ?」

「え、だからばーにんぐぴあす(笑)さん。」

「「「・・・・・・・・・」」」


 無言に包まれる俺たち三人。

 アーク副本部長は理解が追いついていないせいで、俺は警戒で、さきねぇはおなかすいたーという顔で。

 そして。


「「「「「・・・・・・ノエル様の孫ぉぉぉぉぉ!?」」」」」」


 とてつもないでかい声で静寂が破られる。

 アーク副本部長だけでなく、周囲の冒険者たちまででかい声で叫ぶので耳を抑える俺とさきねぇ。


「ままままま孫ってことは、ノエル様に旦那がいるのか!? 誰だ!? 聞いたことないぞ!? え、お前たちは娘の子!? 息子の子!?」

「娘の子か息子の子かと言われたら、どちらかというと他人の子かしら?」

「「「「「意味がわからん!?」」」」」


ギルド内がパニックになっている。

仕方ない、ちゃんと説明するか。


「えっとですね、祖母といっても血が繋がっているわけではなくてですね。身元引受人というか、保護者というか、そんな感じで血ではなく心で繋がった家族です。」

「か、家族・・・心に強力な対人結界を常時張っていることで有名な、あの〝破軍炎剣〟の、家族・・・」


 心に対人結界て。

 みんなノエルさんを無差別殺人鬼とか大災害みたいな感じで言うんだよな。

 俺たちが知ってるノエルさんと、俺たち以外の人から聞くノエルさんの話が一致しなさすぎて困る。

 あんな(色んな意味で)かわいい人、さきねぇ以外で初めて存在を確認したけど。

 ある意味異世界のUMAですよ。

 その時、何かを考え込んでいたさきねぇが真剣な目をして呟く。


「・・・言うなればOMフィールドってとこかしら。」

「・・・その心は?」

「お前ら燃やすぞフィールド。」

「うーん、あんま上手くないかなー。弟的にはちょっと苦しいなー。せめてちゃんとAとTでもじってほしかった。」

「だって思い浮かばなかったんだもん!!」


 じゃあ言わなきゃいいのに・・・


「な、ならそんなお前らに一生の頼みがある!」

「な、なんでしょう。」

「お、俺がノエル様とお会いすることは可能だろうか!?」

「「・・・・・・は?」」

「でででででできたら、あ、握手もお願いしたい!」


 顔を真っ赤にして興奮しているアーク副本部長。


「南総里見ロリコン発見伝!」

「憲兵さーん! こいつです!」

「ち、ちちちちがう! そういうよこしまな感じじゃない!」


 アーク副本部長がすごい勢いで真っ赤な顔を横にブルブル振る。

 もうクマさんでいいやこんなやつ。

 やはり俺が唱える偉い人=変態説の真実味が増してきたな。


「お前ら、いいか、S級冒険者だぞ!? 現在ではたった四人しか存在しない冒険者の頂点! その四人の中でも最年長にして最強と言われる方だぞ!? 外見は見目麗しい少女であるにも関わらず、その光刃は全てを断ち切り、その紅蓮の炎は全てを焼き尽くす! ああ、ノエル様! 一度でいいのでご本人の口から武勇伝を・・・!」

「「・・・・・・」」


 俺たちが知っている光刃げっこうけんさんは野菜ばっか切ってるし、紅蓮の炎は川の水を沸かして風呂のお湯しか作ってないけどな。



ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


覚えている人はいないかもしれませんが、ノエルさんは実はすごい人なのです。


南総里見ロリロン発見伝とは!

妖怪にさらわれた絶世の美幼女、伏姫を救うために立ち上がった八人のロリロンによる、愛と勇気と歪んだ性癖の物語である!

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