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第二十五姉嫁 ムラサキお姉ちゃん、運命に出会うの巻 そのいち

皆さん、ガチでお久しぶりです。藤原ロングウェイです。

仕事が忙しかったり体調を崩しまくったりネタがでなかったりと色々ありましたが、なんとか書けました。

いるかどうかはわかりませんが、待っててくださった方がいたらお待たせしました。


三ヶ月間で溜まった姉ゲージを全開放した結果、三話構成の予定で書いた今章が十話構成となりました。

何を言ってるのかわからないと思いますが、私も意味がわかりません。

というわけで12月6日(姉の日)まで十日間連続更新となります。よろしくお願いします!

そして12月6日(姉の日)、あねおれFD以外で何かが起こる……?


今章はあねおれ完結から約五年後、第二十一姉嫁から数ヵ月後くらいのお話です。

初月姉弟も立派な冒険者になりまし、た……よ?

「は~~~るばっる~きたっわ、いっなるっふぁー!」

「さきねぇ、ボリュームちょっと下げようか。めっちゃ見られてるから。田舎者を見る目で見られてるから。」


 俺たちは現在イナルファ王国へ来ている。

 理由は観光。ただそれだけ。

 トポリス王国内は大体回ったし、そろそろ他の国にもいってみようかーとなった感じだ。

 ちなみにノエルさんはいない。

 本当はノエルさんも来たがっていたが、お仕事の為欠席です。

 なんでも久々にS級昇格候補者が現れたため、現在S級を保持している冒険者は全員王都に召集がかかっているらしい。

 そのため、ノエルさんは泣く泣く俺たちを見送らざるをえなかった。

 その時のノエルさんの『体に気をつけるんだぞ? お金は足りているのか? 知らない人にはついていかないようにな?』というお母さんばりの心配っぷりと『この非常時に緊急招集とかめんどうなことしやがって・・・ぶっ殺す』という物騒な言葉が印象的だった。

 S級昇格候補の人、大丈夫かな。燃やされて火葬されなければいいが・・・


 そしてグダグダと二週間以上かけて、ついに俺たち姉弟はイナルファ王国の王都イナルファへついたのだった。

 そしてしょっぱなから周囲の人々にうさんくさそうな目で見られてる俺ら姉弟。

 子供たちにまで指を指されている状態だ。


「・・・・・・」


 するとさきねぇが俺の魔法袋に手を突っ込みごそごそしだした。

 なんだ?と思っていると、さきねぇが取り出したものは【オーガの面】と呼ばれるアイテムだった。

 怖い鬼の表情が描かれている面で、職人の技が感じられる一品だ。

 さきねぇが取り出したオーガの面を装着する。


「「・・・・・・」」


 王都ということもあり、さきねぇはプリンセスローブを着込んでおめかししていた。

 つまり、出来上がったのは世にも奇妙なドレス姿の鬼女。

 いろんな意味で恐ろしい。夢に出てきそうだ。


「・・・・・・・・・」

「「「「!?」」」」」


 そしてその姿のまま無言でゆっくりとゆっくりと子供たちに近づく。

 こっちを指差してバカにした顔をしていた子供たちの顔が恐怖にひきつり、一歩後退する。


「・・・・・・・・・・・・」


 さきねぇは子供たちのほうへゆっくりと歩を進める。

 ジリジリと後ろに下がる子供たち。

 そして。


「・・・・・・イナカモノデワルイガァァァァァ! ワルイコハイネガァァァァァァァァ!」

「「「「「「ギャァァァァァァ!」」」」」


 両手を広げ、絶叫しながら子供たちに向かって走り出すさきねぇと、恐怖の悲鳴をあげ逃げ出す子供たち。

 おーおーマジで殺されそうな顔で逃げ回ってるな。ガンバ!


「すいません、この飲み物ってなんですか? お酒?」

「え、あ、あぁ。これはブドゥの実から作ったジュースだよ。トポリス産のブドゥだから美味しいよ! 一杯30パルだよ!」


 美味しそうな匂いに釣られて屋台のおばちゃんに話しかけると、笑顔でセールスしてくる。

 300円か。ボッタクリ価格っぽいが、まぁ屋台だしこんなもんだろう。


「我が故郷のブドゥか。じゃあ二つもらおうかな。」

「まいど! しかしあんたら、トポリスからきたのかい。やっぱり王城見学かい?」

「え、何それ詳しく。」

「知らんでトポリスからわざわざここまで来たのかい? ご苦労なこって。今日はな~」


 おばちゃんの話を聞くと、今日は年に一度のイナルファ王国のお城見学会があるらしい。

 普段は厳重な警備に守られているイナルファ城だが、今日だけは一般開放して庶民でも見学できるようだ。

 もちろん城内部を見学できるといってもごく一部だけだし、けっこうな見学料がとられるみたいだが。

 しかし、さすが商業国家とでもいおうか。お城すら財源の一部に変えてしまうという発想はすごいな。

 そして年に一度のその日にたまたまこの地を訪れた俺たち(というかさきねぇ)の運の良さはやばい。


「おばちゃんありがとうね。これ少ないけどとっといて。」

「毎度あり~! また帰りにでも寄ってくれればサービスするよー!」


 おばちゃんに情報料を含めて多めに100パルを手渡す。

 ここは商業国家……! 金……! 大事なのは金なのだ……!


「さーて、今週のさきねぇは?っと・・・」


 一人でザワつきながら、さきねぇの姿を探してあたりを見渡す。

 すると、通りのすみっこに槍で武装した兵士が十人近く立っている箇所がある。

 もしや・・・

 全速力でそこへ近寄る。

 そこには。


「チガウンデス、ハナシヲキイテクダサイ。コノノロワレタカメンガワルイダケデアッテ、ワタシハワルクナインデス。」

「あーそういうのいいから。さっさとこっちきて!」


 両手を縄で縛られ、頭から布を被せられて詰め所に連行されているドレス姿の鬼女の姿があった。

 もちろん俺の姉だった。


「待ってくださーい! 話を! 話を聞いてください! どうか警察沙汰だけは!」

「ん? おたくは?」

「えっと、その、そこの逮捕者の弟っていうか、夫っていうか、保護者というか・・・」

「家族?」

「はい、家族です。」


 兵士Aさんにはぁ・・・とためいきをつかれる。


「病気の人はちゃんと見てないとダメでしょ?」

「はい、全くもってその通りです。申し訳ありません・・・」

「ワタシ、ベツニビョウキジャナイケド。」


 仮面を被っているため、声が篭っているさきねぇ。

 さすがの俺でも怖い。


「今日は見学会だから人も多いの。だから変なのに時間使ってる暇ないの。わかる?」

「はい、仰るとおりです・・・」

「ワタシベツニビョウキジャナイケド!」

「とりあえず、この人は拘留しないとまずいよ。だって変質者だし。」


 捕まったら王城見学いけないやん。

 弟としてどうにかせねば!


「あ、あの! 自分たち、冒険者なんですよ。それなりに有名な。なので、そのー、見逃していただけると大変ありがたいなぁ、と思う次第でありまして、はい。」

「冒険者? 有名な? 名前は。」

「私はヒイロ・ウイヅキと言います。B級冒険者です。こっちはムラサキ・ウイヅキと言いまして「ムラサキ?」


 俺の言葉が言い終わる前に周囲の兵隊さんたちがざわめく。


「ムラサキっていえば、トポリス王国で活躍してる有名な冒険者だな。」

「〝絶対姉姫シスタープリンセス〟って二つ名の人だろ? 俺も聞いたことあるわ。」

「しかもアレだろ。この前A級になったって話だよな。」

「なんでも小山ほどあるギガンティックゴーレム相手に、ワイバーンに騎乗して一騎打ちで倒したとかいう噂の。」


 さすがさきねぇ。お隣の国でも噂になるほどの活躍っぷりらしい。

 あと、そのゴーレム戦、俺もちゃんといましたよ。いっぱい援護しましたよ。

 ゴーレムの足元凍らせたりとか頑張りましたよ。


「たしか凄まじい戦闘力でもって悪しき魔物をうち滅ぼす絶世の美女って話だが・・・」

「ワルイゴハイネガー。」

「「「「「・・・・・・」」」」」


 兵隊さんたちの視線の先には、雄たけびを上げながら子供たちを追い回していた鬼のお面を被ったドレス姿の変な女がいた。

 しかも布を被ってお縄にかかっており、どう見ても犯罪者にしか見えない状態の。

 もちろん俺の最愛の姉だった。


「・・・偽者だな。」

「偽者じゃないです! 本人なんです! 信じてください!」

「いや、だって・・・なぁ?」

「確かに変質者にしか見えないかもしれませんが、本当なんです!」

「ワルイコハイネガー。」

「さきねぇちょっと黙って!」

「ダマルー。」


 兵隊さんたちが可哀想な人を見る目で俺を見てくる。

 同情するなら俺の話を聞いてくれ!


ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


ムラサキお姉ちゃん、捕まる!

あと、今話のムラサキお姉ちゃんの「ダマルー」ってセリフがかわいくてお気に入りです。

書いたの自分ですけど。

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