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第十七姉嫁 外伝『遥か彼方の物語 そのなな』

いつのまにかあねおれの評価人数が200人になってました!すごい!

完結後もブクマやら評価やらしてくださる方がいらっしゃって嬉しいです!

また、あねおれに引き続きあねおれFDも継続して読んで感想をくださる読者さんもいて感謝感激です。

皆さんありがとうございます!

「ねぇヒロ、妖怪=精霊ってことは、精霊王は牛魔王ってこと?」

「いや、そこまで深く考えないでください。」




いつまでもここにいるのもなんだし、うちに招待するか。お腹もすいたし。


「せっかくだから、うちでご飯でも食べていかない?」

「よろしいのですか?」

「子供たちの命の恩人だ。それくらいは当然さ。」

「そうね。天国のエルエルもきっと許してくれるわ・・・ねぇ、エルエル?」

「さきねぇ・・・」


 さきねぇが切ない表情で空を見上げる。


「ばーちゃんは生きてるんだゾ!」「お祖母様はお元気です!」

「「ですよねー。」」


 まだまだ元気っていうか、昔と一切変化が見られない美少幼女です。


「それじゃ改めて。ヒイロ・ウイヅキです。よろしく。」

「ヒロの姉で妻のムラサキ・ウイヅキよん。」

「ワタシは・・・名がありません。」

「「え」」


 正真正銘の名無しさんなんて存在するのか。


「どういうこと?」

「我々はただ単に『オーク』なのです。ほとんどのオークに個というものは存在しないため、名が必要ないのです。」

「でも今はちゃんとした『個』でしょ? 適当に名乗っちゃえば?」

「実は、その件でお願いがございます!」


 急にその場で土下座をしだす元オークプリンス。


「ぜひ、ヒロ様にワタシの名前をつけていただきたいのです!」

「わかったわ!」


 なぜか即答するさきねぇ。


「え、いえ、あの、奥様ではなく、ヒロ様にお願いしたいのですが・・・」

「でもヒロに任せたらブタオとかオク蔵とかになっちゃうわよ?」

「失敬な。ちゃんと考えるさ。そうだな・・・ブタザエモンなんていいんじゃなかろうか。強そう。」

「ヒロ・・・」「とーちゃん・・・」「わ、私は良いと思いますわお父様!」


 さきねぇは菩薩のような顔、琥珀はうわぁ・・・って顔、真白は賛成してくれてるが頬がちょっと痙攣してる。


「・・・すまん、元オークプリンスよ。妻に任せてもよいだろうか。」

「ヒロ様がそう判断されるのならば異論はございません。」

「じゃあ、そうね・・・うーんと・・・・・・マルコ。マルコなんてどうかしら?」

「さすがかーちゃん、いいセンスなんだナ! とーちゃんとはモノが違うんだゾ!」

「うるせーよほっとけ。」


 息子の何気ない言葉に傷つく俺。


「わ、私はお父様の名前のほうが良いと思います!」

「真白、優しさは時に人を傷つけるのよ? 愛とネーミングセンスは別。別なの。」

「で、でも・・・」


 オロオロする真白の肩に手を置き諭すさきねぇ。

 オリジナリティを出したのが失敗だったか。オークスにしとけばよかったかな。


「ヒロ様、どういたしましょう?」

「うーん、俺もマルコのほうがいいかな。ダンディだし。」

「でしょ?」


 たゆんと胸を張るさきねぇ。

 いくつになっても素晴らしいお胸様でございます。


「では、ヒロ様の口から直接御名をいただけますか?」

「お? お、おう。」


 俺の前に跪く元オークプリンス改めマルコ。


「ん、んん・・・では、お前に名を与える。今日からお前はマルコと名乗れ。我が故郷の誇り高く偉大な戦士の名だ。その名に恥じぬ働きをせよ。」

「はっ!」


 パチパチパチパチパチ!


 さきねぇが拍手すると、それに続き琥珀と真白も拍手をする。


「実は、もうひとつお願いがあるのですが・・・」

「ん? 何? 俺でできることならいいよ。」

「もしよければ、ワタシをヒロ様のおそばに置いていただけないでしょうか?」


 ・・・え、なんで?


「俺のそばにいても特になんもないと思うけど・・・」

「いえ、ヒロ様の元で色々と学ばせていただけたら、と!」

「う~ん・・・」


 とは言われてもねぇ。

 今の俺はただのパン屋のおっちゃんだし・・・

 パンのこね方とか焼き加減の見極めとか教えればいいの?


「何でも致します! 掃除でも洗濯でもどんな細かいことでも致します!」

「いや、逆にダメだと思うわそれ。」

「な、なぜですか?」

「うちのおばあちゃんの仕事だから。取ったら逆に骨の芯までジンワリと焼き尽くされるわよ?」

「に、人間たちの領域はよくわかりません・・・」


 さきねぇの言葉に衝撃を受けるマルコ。

 俺たち家族のお世話をするのがノエルさんの生きがいだからなぁ。

『全く、お前たちは私がいないと全然ダメだな。困ったものだ。』とか超笑顔で言われちゃうとね。

 こちらとしてもお任せする以外ないというか。


「まずはアルゼンに住んでみたらどうでしょう?」

「アルゼン?」

「はい。私たちが暮らす街です。みんな優しい人ばかりだし、変わった人にも慣れてるから暮らしやすいと思いますよ。」

「なるほど・・・」


 真白の提案に考え込むマルコ。

 そこにさきねぇがひょこっと顔を出す。


「ヒロ、ついでにうちで雇っちゃえば? ヒロも人手が増えれば時間に余裕ができるし!」

「おお! 奥様、素晴らしいアイディアでございます!」

「でしょ?」


 喜色満面のマルコとドヤ顔のさきねぇ。

 せっかく十年以上も修行して霊獣になった頑張り屋さんにパン焼かせるの・・・?

 でも本人嬉しそうだしなぁ。


「えっと、マルコはそれでいいの? うち普通のパン屋だからあんまりお金は上げられないけど。」

「かまいません。むしろ無償でも結構です!」

「ヒロ聞いた!? なんてコスパの良い従業員なのかしら!」

「いや、さすがにお金は払うよ・・・」


 どんなブラック企業だよベーカリーウイヅキ。給与とか福利厚生はちゃんとするよ。


「まぁとりあえず街にいくか。そこでのびてる新米もギルドに運ばなきゃいけないし。」

「マルコ、持ちなさい。」

「はっ!」


 さきねぇの指示に従い駆け出し冒険者の少年を担ぐマルコ。

 普通にマルコをあごで使ってるなぁ。適応早い。


「・・・そういや、なんでさきねぇと真白はやりあってたの?」

「私何もしてないのに真白がいきなり襲ってきたー。」

「はぁ!? 何言ってんの!?」


 真白、激おこ。

 まぁ『私何もしてないのに』っていうやつほど何かやってる法則だよね。

 何もしてないのにパソコン壊れたーっていうやつと一緒だ。


「お父様、信じないでください! この女の姦計です!」

「うん、まぁわかってるけど。あと一応母親なんだからこの女扱いはやめようね?」


 この母娘おやこ、仲が悪いわけではないんだが・・・

 どうしても真白はさきねぇに対抗意識をもってしまうようだ。

 天才美人と天才美少女が俺をめぐって争う・・・素晴らしいモテっぷりですね。

 まぁ実の姉と実の娘なんだけど。

 この状況、我が息子は一体どう感じているんだろうか。

 チラッと横目で琥珀を見る。


「だナだナ~♪ 早く帰ってばーちゃんと遊ぶんだナ~♪ ばーちゃんラヴなんだナ~♪」


 特にどうも思ってないようだった。

 このグランドマザーコンプレックスめ。

 まぁあんな強くて優しい美少幼女のおばあちゃんが物心ついたときから可愛がってくれてたら大好きになっちゃう気持ちもわかるが。


「えっと、んでなんでケンカしてたの?」

「母さんがいきなりマルコさんを爆撃したんです!」

「わぉ。」


 最初の『ぼかーん!』はさきねぇ→マルコだったのか。


「で、さきねぇはなんでそんなボマーみたいなことを?」

「だって見た瞬間『あ、こいつ霊獣だ』ってわかったんだもん。あの駄馬どもの同類を子供たちに近づかせるわけにはいかなかった。それでカッとなってやった。今は反省している。」


 なんで被疑者の供述風なんだよ。

 まぁさきねぇの忍法タイムボカンは『そこそこの威力の割りに絶対に死なない』という素晴らしいみねうち魔法だからまだよかった。

 アフロになる可能性は高いけどね。


「あー、マルコ、ごめんな? 母親の母性本能ゆえの攻撃だったみたいなんだ。許してくれると助かる。」

「何を仰いますヒロ様。あの時召喚疲れでヘトヘトだったワタシに絶妙な角度で死なない程度に入れられた素晴らしい蹴りに比べれば、たいしたことはありません。」


 トラウマになっとる。ごめんね。


「さて、と。よし、じゃあとりあえずアルゼンにー、出発!」

「「「おー!」」」「はっ!」


 五人でアルゼンを目指して歩き始める。

 こうして、俺たちに新たな仲間へんたいが加わったのだった。

 続く?


ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


これにて今回の更新は終わりですが、次回更新がいつになるかちょっとわからない感じになってます。来月中に更新できたらいいな。

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