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第十三姉嫁 外伝『家族団らんの一ページ そのに』

あねおれ、春のロボ祭り!

ということでなぜかロボもののパロディがけっこうあります。

「・・・さすがお祖母様ですね。それに引きかえ、母さんは・・・はぁ。」

「ふふふ。全てを私から教えてもらうのではなく、まずは色々なことをやってみなさいという母からの愛の教訓よ?」


 うさんくせぇ。




 それから時間が過ぎ、ぷんぷん丸がいくらか形になってきた琥珀が俺をじっと見つめてきた。


「ん? どうした琥珀。」

「ばーちゃんには炎剣ぷんぷん丸、かーちゃんにはなんとかなんとか剣があるんだナ?」

「『剣』しか合ってないけど大丈夫?」


 さきねぇ、苦笑い。


「問題ないんだナ。えっと、つまり二人にはすごい必殺剣があるんだナ?」

「ああ、そうだな。すごいな。」

「じゃあとーちゃんにはなんか必殺剣ってないのかナ?」

「「「「!?」」」」


 その場にいる琥珀以外の全員が琥珀を見る。


「・・・さぁ、そろそろおやつの時間にしましょうか!」

「美味しいクッキーを焼いてやるからなー覚悟しておけよー?」

「ハク、聞いた? お祖母様が美味しいクッキーを焼いてくださるそうよ? 楽しみね!」


 三人の優しさが痛い!


「かーちゃん、さっき昼飯食べたばっかなんだナ? お腹いっぱいだからまだいいんだゾ。とーちゃん、必殺剣ないのかナ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ある。」

「「「えっ」」」「あるんだナ! みたいんだゾ!」

「よーし、父さん頑張っちゃうぞー!」


 さきねぇからは『いや、ないわよね。大丈夫?』、ノエルさんからは『無理するなヒイロ・・・』、真白からは『逆境に負けずに頑張ってくださいお父様!』という三者三様の視線が俺にぶつかる。

 やってやるさ!


「ふぅー・・・」


 け、剣だろ。なんかあったっけ。水とか氷使った剣。なんだ。なんかあるか。

 とりあえずでっかい氷の剣でも作って『どう思う? すごく、大きいです・・・』みたいな勢いでお茶を濁すか?

 決めた。氷の剣だ。これでいこう。いいよな。いいんだよな?

 よし!

 俺が氷でできた剣を創造しようとした瞬間。


「クリスにーちゃんがとーちゃんは大陸最高峰の魔法使いの一人っていってたから、どんなすごい剣が出てくるか楽しみなんだゾ!」


 はいハードルあがったー! 氷の剣無理ー! 地味ー!

 クリス、貴様・・・!

 俺の脳内クリスが笑顔で『頑張ってくださいお師匠様!』と言っていた。


「・・・(ヒロが『答えもわからないのになんとなく手を上げたら、たまたま先生に指されて黒板の前に立たされた生徒』みたいになってるわ。どうするのかしら。)」

「・・・(ヒイロ、今ならまだごまかしようがあるし手も貸す。潔く負けを認めるべきではないのか?)」

「・・・(汗をダラダラ垂らして『やべぇどうしよう』って悩んでるお父様も素敵!)」


 そ、そんな、さきねぇとノエルさんだけならまだしも娘まで『授業参観で心配そうに子供を見つめる母親』みたいな顔をしないでくれ!

 やってやる、やってやるぞ!

 あ、水龍を出す刀とかあったなそういや。でも魔力量的に厳しいっていうか絶対無理。

 マジどうしよう。


「・・・・・・・・・」

「・・・とーちゃん、もしかして、必殺剣ないんだナ?」

「あああああるし!今創造しようとしてたとこだし!」

「楽しみなんだゾ!」

「・・・・・・あぁ。楽しみにしてろ。」


 もう腹を括るしかない。どうせならデカくて派手なものにするか・・・

 よし、君に決めた!


「刮目せよ! 我が魂の叫び!! はぁぁぁぁぁ・・・」


 俺の体を水が覆う。

 そしてその水が氷へと変わっていく。

 これは≪氷魔鎧クリスタルアーマー≫といって防御に特化した俺の独自魔法である。

 ここからさらに・・・!


「ウオォォォォォォォ!」


 氷の鎧がどんどん大きくなり、最終的に俺の三倍近い大きさにまでなる。

 氷の巨人の完成です。


「フォォォォォム、チェンジ!」


 さらに、俺の叫びと共に、無骨だった氷の巨人の姿がスタイリッシュに変化する。

 そして!


「こ、これはまさか!」

「顕現! 氷龍神丸! ジャキィ-ン!」

「「「「おぉぉぉぉ!!!」」」」


 今の俺の姿は某魔神マシンの完全なパクリだった。

 わからなければ、全長4mくらいの小型ロボット(主人公機)だと思っていただきたい。

 ちなみに、今の状態は氷のきぐるみを着ているような感じなので超冷たいです。


「ちょっとヒロそれ私も乗せなさいよ!」「とーちゃんかっこいいんだナ!」「お父様素敵!」「すごいなヒイロ!?」

「まだまだこれからよ!ムンッ!」


 パキパキと音を立てて、右手に電柱くらいある氷の大剣を創造する。

 持てよ、俺の魔力量・・・!


「必殺! ひょー!りゅー!けーん!」


 氷の大剣を両手持ちし、特訓用の岩に振り下ろす。


 ザンッ!

 ズズンッ!!


 真っ二つになる巨岩。


「・・・俺は今、猛烈に熱血している!」

「ヒロ! ちょっとというか大分違うわ!」


 あ、魔力やば! 魔力やば! 気を失っちゃう!

 すぐに魔法を解除し、地面に着地する。


「ふふ、どうだった琥珀。父さんの必殺技、氷龍剣は。」

「かっこよかったんだナ! さすがとーちゃんなんだゾ!」

「真白は?」

「とても素敵でしたお父様! 大陸で一番かっこいいです!」

「はっはっはっは! そうだろうそうだろう! 他にも星屑を集めて敵にぶつける流星爆剣とかもあるんだぞー?」

「とーちゃんすごいんだナ! 今から街にいってみんなに自慢してくるんだナ!」

「あ、私もいくわハク!」


 琥珀と真白が走っていく。

 姿が見えなくなったのを確認した後。


「「「はぁ・・・」」」


 三人同時にため息をつく。


「いやー結局でかい氷の剣を出しただけなんだけど、勢いでごまかせてよかったわー。」

「ヒロ、すごかったじゃない! 今度私に邪虎○作ってね!」

「いいけど、自分でやっといてなんだけどヒート○ックでも着込まないと寒くてやばいよあれ。要改善。」

「しかしヒイロ、あんなの初めて見るがいつ創造したんだ?」


ノエルさんの感心顔。


「ついさっきです。やってやる、やってやるぞ!っていう気持ちが溢れた結果です。」

「・・・創造力に関しては私でも太刀打ちできんな。この前は創造主不在で失われた固有魔法を文献読んだだけで再現していたし。さすがは『該博深淵ライブラリ』だな。」

「もー何言ってるんですかノエルさんやだなー褒めても何も出ませんよー」

「相変わらずエルエルに褒められるとデレデレねヒロ。お姉ちゃん不満です。」


 ほほをプクーっと膨らませるさきねぇ。

 だって俺みたいな地味な凡人が師匠であり大陸を代表する魔法使いから褒められたらそりゃあ、ね?

 そしてアラフォーにも関わらずそのしぐさが似合っており、うちのお姉さまは相変わらずかわい美しい。

 つーかさきねぇもノエルさんも俺も年とっても全然老けてないしね。

 なのでノエル一家は最近街に来た人にとっては誰が家長なのかわからない謎の一族らしい。

 すごい人だと『五人兄弟なんですか?』なんて言い出す人もいるくらいだ。


「しかし、今回はなんとかごまかせたけど、次回に向けてなんか考えておかないと父親の威厳がやばいな。」

「ふむ・・・ヒロの弟力おとうとぢからを全開にして敵に切りかかるハイパーブラザー斬りとかどうかしら。」

「いや、どうやって弟力を剣にするのかがまずわからないんだが。」

「じゃあ七色に光る≪虹の架け橋の剣オーロラブレード≫とかどうかしら? 綺麗じゃない?」

「なにそれかっこいい採用。」

「・・・そんなもの創造できるのか? というより威力はでるのか?」

「琥珀はアホだから実用性より見た目でだませるでしょ。」


 さきねぇの発言に『えー・・・』って顔してるノエルさん。


「まぁとりあえずなんか考えとこ。・・・そういや。」

「「ん?」」

「いや、ノエルさんの炎の剣とさきねぇの青雲剣ってどっちが強いのかな~って。」


 俺がそう言った瞬間に二人のほほがピクッとする。

 ・・・アホか俺は何言ってんだ。そんなこと言ったらこの後どうなるかなんてバカでもわかるじゃないか。


「そりゃあ、ねぇ?」

「なぁ。そりゃあ、な?」

「「私に決まってる(わよ)(じゃないか)!」」

「「・・・・・・・・・」」


 無言で炎剣を構えるさきねぇとノエルさん。

 そして。


「消えろ、イレギュラー!」

「私がオリジナルだ!」


 炎の剣戟が森に響いたのだった。




 その後、剣から放たれる炎が森に飛び火して火事になりかけたが、ヒイロ消防隊員によって消火され事なきを得たのだった。


 今日の教訓。

 口は災いの元。




ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


ワタル、リューナイト、ラムネ&40、魔装機神、アーマードコア、ダンバイン……スーパー系よりもリアル系や小型のものが大好きです。

けっこう年上の従兄の影響で幼稚園児の頃からロボ好きな私です。

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