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第十二姉嫁 外伝『家族団らんの一ページ そのいち』

お久しぶりです。

今回は外伝『遥か彼方の物語』の数ヶ月前のお話で、一家団欒の一ページです。

やってることはいつも通りですけどね!


あと、短編『剣と魔法の世界に転生した俺が、なぜかメイドロボさんと魔王退治の旅に出る話』も投稿しました。非姉ですが。

元々は没にした長編ですが、このまま死なせるのもかわいそうかなと短編に直したものです。よかったらどうぞ。

「なぁなぁかーちゃん。必殺技教えてほしいんだナ。」


 昼食を食べ終わり、まったりしているノエル邸。

 突然息子の琥珀こはくがそんなことを言い出した。


「必殺技って・・・私のやつ108個あるけどどれがいい?」

「すげぇ多いんだナ!? さすがかーちゃん!オレが教えてほしいのは剣に火がボワァー!ってなるやつだナ!」

「あー烈火青雲剣か。いいわよ、ついてきなさい!」

「おー!」


 さきねぇと琥珀が外に走っていく。元気だなー。

 あの二人はほっとくと何するかわからんから俺もついていくか。


「よっと。」

「あ、お父様。お出かけですか?」


 オレが立ち上がった瞬間に台所からひょこっと顔を出した、世界で二番目にかわいい黒髪の超絶美少女は真白ましろ。我が愛娘である。

 さきねぇにそっくりな外見に加え、いつも笑顔で礼儀正しく穏やか、誰にでも優しく気配りもできるスーパー大和撫子。

 俺直伝の≪聖杯水アクアホーリー≫も使えるため教会で治療の手伝いなんかもしてて、アルゼンの聖少女なんて呼ばれてたりもするんだぜ?

 ほんのちょびっとファザコンで、俺の悪口を言ったやつにはボソッと『お父様の悪口言ってんじゃねーよ殺すぞカス』とか言っちゃう黒さも俺好みです。


「ああ、琥珀と母さんが特訓するらしいから俺も一緒にみていようと思って。」

「でしたら私もご一緒したいです!」


 笑顔を見せ、胸の前で手をパン!と合わせる真白。ぐぅかわ。


「ああ、おいで。あ、ついでにノエルさんにも声かけてきてくれるかい?」

「はい!お祖母様ー!」


 パタパタと音を立ててノエルさんを呼びにいく真白。とても素直でかわいらしい俺の天使である。

 あまりの母親似フェイスに初めて真白と会う人は必ず『お母さんそっくりだね!』というが、少し会話すると『全く母親に似てない!』に替わる。

 ちなみに、外見だけでなく才能までさきねぇ譲りの天才である。

 ・・・実はその有り余る才能を御せるのか心配していたが、杞憂だったようだ。

 さきねぇは自分と(才能面で)対等な人がいなかったため、子供のころは『人生ってマジつまんね』とかいっちゃう捻くれた面もあったのだが、真白の場合は義祖母ノエルさん母親さきねぇが自分と同等以上の天才であるため理解者と相談者には欠かさないからだ。


 そして、琥珀。俺は琥珀もちょっと心配なのだ。

 なぜなら、琥珀は残念ながら俺の遺伝子を色濃く継いでしまったため、才能という面では真白ほどではない。

 俺のように姉との才能の差、能力の差によるコンプレックスで心が折れなければいいが・・・

 まぁ実はいうほどは心配していないんだけどね。

 琥珀はさきねぇに似て鋼鉄のメンタルを持ってるから、たいていの危機は笑って立ち向かえる強い子だから。

 俺なんかとはモノが違うのさ!

 それに幼少時からさきねぇやノエルさん、ヴォルフなど大陸最上位に位置する冒険者たちから遊びという名の手ほどきを受けているため、10歳という年齢から考えるとかなり強いし。


「お父様、お祖母様も少ししたら行くから先に出てて構わないとのことです。」

「そっか。じゃあいくか。」

「はい!」


 当然のように俺の手を握る真白。

 この年の子って父親と手を繋ぐもんなんだろうか。よくわからん。

 まぁよそはよそ、うちはうちってやつですね。




「もっとこう、ハァァァ!って感じで!次にフンッ!って感じ!そして最後にウォォォ!って感じよ!」

「かーちゃん、もっとりろんてきに教えてほしいんだナ。」

「理論的と来ましたか・・・難しい言葉を覚えたわね。」


 特訓スペースに来るとさきねぇが琥珀にダメだしされていた。

 さきねぇは基本的に感覚のみで生きてるからな・・・


「母さん、そんな頭の悪そうな教え方やめてください。ハクまで頭悪そうに思われちゃうでしょ。」

「ちょっとヒロ、今の聞いた!? 真白がもう反抗期よ! シクシク!」

「・・・泣き真似しながらお父様に抱きついて、こっち見ながらアッカンベーするのやめてもらえます?(ピキピキ)」


 さきねぇと真白はなんでこんな『問題児と真面目な風紀委員長』みたいな関係なんだろうか。

 しかも母親のほうが問題児役っていうね。


「さて、と。じゃあ真面目に教えますかね。コツは剣を手の延長として考えるのよ。」

「剣を手の延長? どういうことだナ?」

「ん~、つまり剣と自分が同化っつーか一体化?した感覚を身に着けるのよ。」

「・・・?」


 首をかしげる琥珀。

 ん~、とあごに指を当てて考えるさきねぇ。


「じゃあね、剣を自分の指と考えなさい。六本目の指。親指、人差し指、中指、ヒロからもらった結婚指輪が常に嵌ってる薬指、小指、そして剣指よ。」

「???」


 コハク は こんらん している !


「多分、コハクにはその教え方だと時間がかかるぞ。」

「あ、ばーちゃーん!」

「あはは、かわいいなこいつめー!」


 ノエルさんに抱きつく琥珀と抱きつかれて嬉しそうなノエルさん。

 ノエルさんもなんだかんだいってもうすぐアラツーハン(アラウンドツーハンドレッドの略)だ。

 しかし、俺らの子供たちが生まれてから子育て(というか孫育て)が楽しくて仕方ないらしく、結婚とかそういうのは興味がないらしい。

 子供たちを甘やかしすぎて、目を離すとすぐ何かを買い与えようとするので注意が必要だ。


「ムラサキ、もう一回やって見せてくれ。」

「うい。」


 さきねぇが目を閉じて集中する。


「ふぅ・・・臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前!燃え上がれ、私の愛の炎!ムラサキ流奥義、烈火青雲剣!」

「「おお!」」


 さきねぇの手から剣の形をした炎が吹き上がる。


「やはりな。それはお前の一週回ってアホかと思うくらい緻密な身体魔力操作で成り立っている。おいそれと他人が真似出来るものではないよ。」

「・・・ばーちゃん。じゃあオレは使えないんだナ?」


 しょんぼりする琥珀。

 しょんぼりする姿も我が息子ながらかわいいな。

 そんな琥珀を見てノエルさんニヤリと笑う。


「ムラサキのは、な。私がもっと使いやすい魔法剣技を教えてやるぞ。」

「ホント!? ばーちゃんありがとうなんだゾ!」

「はっはっは!かわいい孫のためだ!当然だろう!」


 抱きしめ合う二人。

 真実は祖母に甘える孫と孫に甘い祖母なんだが、見た目は小学生カップルみたいになってるな。

 そして琥珀は普通に『大きくなったらばーちゃんと結婚するんだゾ!』とか言ってる本気ガチのグランドマザコンなのでこの先どうなるかちょっと怖い。

 まぁ実の姉と結婚した男がどの口で何言ってんだって感じだけど。


「まずは剣を用意する。」

「用意したんだゾ!」


 魔法袋からマサムネさんを取り出す琥珀。


「いいか、まずはよく見ていなさい。」


 ノエルさんは右手に剣を持ち、左手の手のひらに炎を出現させる。


「この炎を、剣の根元に持っていく。それから剣を覆う感じに創造すると・・・こうなる。」


 ノエルさんが刀を鞘から抜くような動作を見せると、刀身が炎に包まれる。

 するとさきねぇが琥珀を抱き寄せる。


「琥珀、これが噂の炎剣ぷんぷん丸よ。すごいでしょ。」

「え、ちが「さすがばーちゃんなんだナ!見た目も名前もかっこいんだナ!尊敬するんだナ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・まぁな。」


 ノエルさん・・・ついに認めてしまったのか・・・

 さきねぇがすごいニヤニヤしている。

 ノエルさん、多分このネタで十年はからかわれるだろうな。

 ノエルさんと目が合う。

 悲しい瞳が『言うなヒイロ。仕方ない、仕方なかったんだ・・・』と物語っていた。


「んんっ!ムラサキのように何もないところから炎の剣を作り出す必要はない。あるものを使えばいいんだ。やってみなさい。」

「了解なんだゾ!」


 琥珀がノエルさんの動きを真似るも炎が剣を覆うことはなかった。


「ゆっくりでいいんだ。まずは出来るという自信を持つこと。速さや正確さなどはあとからついてくる。」

「はい!」

「・・・さすがお祖母様ですね。それに引きかえ、母さんは・・・はぁ。」

「ふふふ。全てを私から教えてもらうのではなく、まずは色々なことをやってみなさいという母からの愛の教訓よ?」


 うさんくせぇ。




ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


SFC版魔装機神は二十回くらいクリアしてるマイフェイバリットゲームの一つです。

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