第十一姉嫁 初月姉弟、森の中で竜さんと虎さんに出会うの巻 そのさん
感想いただきました。ありがとうございます。ちょっと感想内容紹介。
・玄武さんは最強なの?
あねおれ的四神の強さ順位は『玄武さん>精霊王≧青竜>>>白虎>>>>>朱雀』です。玄武は異大陸にて最強。
・玄武さんの≪絶対領域≫ってどんな技?
効果は『自分を中心として周囲に結界を張り、結界内の全ての事象に死を与える』です。
絶対領域内では玄武さん以下のレベルだとどんな武具でも塵になり、どんな攻撃でも消滅し、どんな相手でも問答無用で絶命します。必中必殺の大技です。
・ノエルおばあちゃんの出番は? 最近赤くなってプルプルしてないよ?
ノエルさんは私が故意にプルプルさせているわけではなく、気付いたらなぜか顔を真っ赤にしてプルプルしているわけですが、出番が増えるようがんばります!
「「なんでそこに(朱雀)(玄武)が?」」
「「・・・(朱雀)(玄武)のこと知ってんの?」」
「「えっ」」
セリフがかぶりまくる俺たち姉弟だった。
「我輩、ここまでハモる人間も初めて見たな。」
「すごいですよね。」
四神様も関心している間にさきねぇと情報交換をする。
「しかし貴様ら、よく『神に会った事は他言無用』なんて守っていたな。あんなものなんの意味もないのに。」
「え、そうなんですか。てっきりなんか意味あるのかと。」
「そもそも、この世界の人間は四神なんて知りませんからね。会ったことを話したところで『誰それ?』で終わりですよ。」
「世知辛いわねぇ。」
そのまま四人(二人と二匹?)で色々お話をする。
俺たちはこの世界に来た時の話を。
青竜さんと白虎さんは四神のお仕事のことだったり精霊王様への愚痴だったり。
竜と虎と仲良く会話をするという人生初の素敵な時間だった。
「さて、変人一号二号にも会ったし、そろそろ戻るとするか。」
「そうですね。」
「あ、朱雀ちゃんは帰るときにお土産くれたけど、あんたらは何もないの?」
「ちょ、おま。お土産の催促とか小学生じゃないんだから・・・」
「ヒロはなんかもらわなかったの?」
「いや、お守りもらったけど・・・」
俺のその言葉にピクッとする青竜さん。
「玄武や朱雀が何かやったのに我輩が何も渡さなければケチくさいと思われるではないか。よし、我輩はこれをやろう。」
青竜さんは平べったい何かをさきねぇに手渡す。
なんぞこれ。
「なにこれ。」
「我輩のうろこである!世界でただひとつの激レアアイテムだぞ小娘!むせび泣いて喜ぶがいい!」
竜のうろことかすげぇな。ガチレアじゃない。
しかも近くで見るとでけぇな。A4ノートサイズくらいあるで。
「ムチにしたいからヒゲくんね?」
「ヒ、ヒゲ!? 誰がやるか!ヒゲ抜いたら痛いだろうが!」
青竜さんの巨体がぐねぐねうねる。
青竜のヒゲか・・・確かに名前的に強そうではある。
「しょうがないわねぇ。じゃあうろこで我慢しましょ。」
「それでは私は・・・うーん、どうしましょうか。ヒイロさんは土属性じゃないから私の恩恵はあまり受けられないですし・・・」
「白虎の毛皮なんてどう!? 防御力高そう!」
「「(白虎さん)(私)死んじゃう!!」」
俺と白虎さんが叫ぶ。
防御力は高そうだしインテリアとしてはかっこいいが、朋友の皮を剥いだアイテムなんてさすがに使う気にならんよ・・・
「何かあるかな~」
影の中に手を突っ込んでゴソゴソやってる白虎さん。
白虎さんが取り出したのはとがった石?だった。
「これは?」
「この前切った私の爪です。これに持ち手をつければ白虎の槍に!」
「・・・・・・槍、使えないです」
「あっ・・・」
気まずそうな白虎さん。
『あっ・・・』ってやめてくれ。本気で気まずそうな雰囲気が伝わってきて泣きそうになる。
「ヒロ、大変!めっちゃ血が出た!」
「なんで!?」
さきねぇのひとさし指から血が垂れている。
そして白虎の槍(仮)にも血が。
アレ素手で触ったのかよ!? 子供か!
「は、刃物に触っちゃ危ないでしょ!めっ!≪聖杯水≫!≪聖杯水≫!≪聖杯水≫!覚醒しろ、俺の小宇宙!≪超聖杯水≫!!」
ビシャ!ビシャ!ビシャ!ザバー!
空から滝のような≪聖杯水≫が降り注ぎ、さきねぇがびしょ濡れになる。
「・・・ヒロ、気持ちは嬉しいんだけど、最初の一発だけで大丈夫よ?」
「心配で・・・。よっ!水も滴るいい女!」
「ふっ、惚れたろ?」
「すでに惚れてます!」
びしょびしょになったさきねぇもかわいいですね。
「・・・違うのにしましょうか。何がいいですかね~?」
また影に手をつっこみガサゴソする白虎さん。
「あ、これなんかいいかもしれません!」
白虎さんの手にはなんかでかくて丸い物体が。
「これは?」
「白虎の鈴です!」
「もうさ、とらちゃんの名前タマでよくね?」
「猫じゃないですか!私は虎ですよ!」
でもこれで白虎さんに赤い首輪と鈴つけたらハイパーかわいいな。
「これは何か特別な効果があるんですか?」
「この鈴を鳴らせばどこにいようと私の耳に音が届きます。そしたら私の分身であるミニ白虎をお送りしますので、きっと助けになるでしょう。」
「「ミニ白虎・・・・・・」」
ほわんほわんほわんほわん(妄想開始)
『ピンチだ!こういう時こそ白虎の鈴を!』チリーン!
『にゃーん!』
ほわんほわんほわんほわん(妄想終了)
「「いいね!」」
「だから猫じゃないですよ!虎!私は虎!」
「ちっちっちっち。」
「なんかよくわからない長めの雑草をフリフリしてもじゃれつきません!」
いつのまに引っこ抜いてきたのかわからないが、さきねぇがなんかよくわからない長めの雑草を白虎さんの目の前でフリフリするも、白虎さんの超光速猫パンチで雑草が吹き飛ばされる。
白虎さんガード固いな。
さすがは四神の一人で大陸西部守護担当なだけあるぜ。
「ではありがたく頂戴します。大事に使いますね!」
「でもこれでかくね?」
たしかに。神社にある鈴くらい大きいから常時装備は無理だな。
「ああ、じゃあ小さくしましょう。」
白虎さんが爪先で鈴をつつくと、スモールライトに当てられたように小さくなる鈴。
「はい、どうぞ。」
「とらちゃん、どこでもドアにスモールライトまで使えるのかよ。エルエルの異世界どらえもん枠のピンチね。」
「ノエルさん、そんなイロモノ枠じゃないから。」
手のひらですっぽり覆えるくらいまで小さくなった一組の鈴をポケットにしまう。
あとでキーホルダー的な感じで装備につけるか。
「我輩のうろこの時に比べ、なぜそんなに長々と話すのだ!そんな鈴なんかより我輩のうろこのほうがすごいぞ!」
「じゃあヒゲ頂戴よヒゲ。」
「・・・・・・・・・よし、では本当に戻るか。」
逃げやがった。
「ではそろそろお暇します。またいつかお会いしましょう。」
「さらばだ人間の小僧と小娘よ!がーっはっはっはっはっは!」
そう言うと青竜さんは空へ昇っていき、白虎さんは影に沈んだ。
・・・と思ったら白虎さんが影から頭だけ出してきた。
「そういえば言い忘れてました。私たちに出会ったことは「「他言無用!!」」・・・クスッ。ええ、お願いします。それでは!」
また影に潜る。今度は本当に帰ったらしい。
空を見上げると、天気はすっかり晴れ模様となっていた。
「まさか一日に二匹も神様に会うなんてね。長生きはするものね~。」
「いや、俺らまだ二十年ちょいしか生きてないけどね。」
「ヒロ、いーい? 生きてるってこと、それ自体が一つの奇跡なのよ?」
「え、そういう壮大な話だったの今の。」
深いですね。
「さて、青竜ちゃんのうろこどうしましょ。でかいのよねこれ。これ一枚でうろこのたてになっちゃうわ。」
「あ、それナイスアイディアじゃない? 盾。防御力とかめっちゃ高いだろうし。」
「うーん、でも私の装備に盾ってなんかダサくない? ハンマー×盾とか。」
「でもマサムネさんならコーディネート的にも合うんじゃない? 片手剣×盾だよ?」
「そうねぇ・・・じゃあじっちゃんに頼んで盾に加工してもらいましょうか。失敗したと思ったら青竜ちゃんからまたもらえばいいし。」
そんな話をしていると、向こうから全力疾走してくる銀髪美幼女の姿が。
「ふたりともぉぉぉぉぉ!だいじょうぶかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「だいじょぶだいじょぶ~♪」
「どうしたんですかそんなに慌てて。」
「急に空が暗くなったと思ったら、落雷がこのあたりで何回もあっただろう!二人が心配で・・・!」
異変、外にバレッバレじゃねぇか。
結界っぽいの張ってんだったらそのへんもカバーしとけよ。
「一体何があったんだ?」
「それは・・・」
さきねぇに目配りする。
そして。
「「秘密です!」」
俺たちは笑顔でそう答えたのだった。
その後、白虎の鈴を鳴らしまくって毎日ミニ白虎さんを召喚してもふもふしていたら『さすがに何度も呼びすぎです!』と怒られたり。
青竜さんのうろこをうろこのたてにしてもらおうと思ってアルゴスさんのところへ持っていったら、青竜さんのうろこのあまりの凄さにアルゴスさんが気絶してしまったり。
『二人が私に隠し事を・・・』とノエルさんがいじけてしまったり。
色々なことが起こるのだが、そのお話はまた別の機会に。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
「それは、秘密です。」
わかる人には懐かしい口癖です。
次回更新は来月になります。次回もよろしくお願いします。ぺこり。




