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第十姉嫁 初月姉弟、森の中で竜さんと虎さんに出会うの巻 そのに

「この大陸に限れば玄武さんより強い存在はいないですからね。精霊王様ですら『玄武はキレさせるなよ。俺がガチでやったとしても多分勝てないから・・・』って言ってましたし。」

「玄武さんそんな強いの!?」


さすがは玄武さん。四神最年長なだけあるぜ。

亀の甲より年の劫というが、玄武さんの場合は亀の甲=年の劫だからやばい。




「強いですよー玄武先輩は。まぁめったに怒らないですけどね。」

「白虎ちゃんより強いの?」

「え? ええ。私なんかじゃ相手になりませんよ。」


 突然話に入ってきたさきねぇにちょっと驚きつつも普通に話し始める白虎さん。


「じゃあ青竜ちゃんと白虎ちゃんだとどっちが強い系?」

「もちろん我輩のほうが強い系である!」「青竜先輩ですね。」

「「へ~。」」


 四神にも順位ってあるのか。


「なら朱雀ちゃんは?」

「やつは雑魚である。」「朱雀は四神最弱です。」

「マジうけるwww四w神wのw面w汚wしwよw」


 爆笑するさきねぇ。

 朱雀最弱かー。ゲームだとかっこいい感じだけど、ここだと扱い悪いな。


「あいつが強いのはゲームくらいであるな。」

「強いですよね・・・マリオカートとか007とか。」

「最悪であるな・・・」


 朱雀、ゲームジャンキーなのかよ・・・


「へ~。私とどっちが強いかしら?」

「朱雀ではないか? やつの強さと嫌らしさは半端ではないぞ。」

「そんなですか。」

「青竜先輩なんて一回キレて朱雀とケンカになりましたからね。」

「あいつが我輩をハメるのが悪いのだ!」

「だからって竜巻でゲーム機本体破壊しなくてもいいでしょう。」


 青竜こいつ、超危険人物じゃねーか!キレやすすぎだろ!


「ばいざうぇ~い。ねぇねぇ白虎ちゃん。触ってもいい?」

「え? かまいませんよ。」


 さきねぇが恐る恐る白虎さんに触れる。

 するとそのまま背中にダイブする。


「もっふもふー!ヒロ!すごい!もふもふ!」

「マジで!? あのー、白虎さん。自分も触っていいですか?」

「ええ、どうぞ。」


 白虎さんの毛を撫でる。


「ふおー!めっちゃもふもふー!もふもふ!」

「もふもふ!」


 二人でもふもふ言いながら白虎さんの毛をもふもふする。

 嬉しいような、困ったような顔の白虎さん。

 くっそ、めっちゃ飼いたい!

 すると、なぜかウズウズしていた青竜さんが口を開く。


「特別に我輩の体を触ることも許すぞ小娘!」

「えー。さっきちょっと触ったけど、なんか弾力あるしちょっとひんやりだから別にいいわ。とかげみたいだった。」

「と、とかげ!? 言うに事欠いて、とかげ!この我輩を!竜である我輩をとかげ扱いだとぅ!?」


 ゴロゴロゴロゴロ・・・・・・

 ビュゥゥゥゥゥゥ!


 空が暗雲で真っ黒になった。風もすごい。すげーな青竜さん。


「ちょっとやめてよー。風吹いたら葉っぱいっぱい落ちて掃除大変でしょー? 空気読めよなー。朱雀ちゃんかっつーの。」

「!? よりにもよって、す、朱雀と同レベル扱い、だと・・・?」


 とぐろをまいて縮こまる青竜さん。

 空は黒いまんまだけど。


「ま、まぁまぁ青竜先輩。確かに迷惑になってしまいますし、落ち着きましょう。」

「・・・白虎、貴様、いつも目立たないくせに今日たまたまチヤホヤされてるからって調子に乗るなよ。」

「ちょ、調子になんてのってませんよ!」

「ちょっと青竜ちゃん!とらちゃんいじめんな!」


 白虎さん、ついにとらちゃん呼ばわりに・・・


「・・・・・・地味なくせに。」

「・・・私だって好きで地味なわけじゃないんですよ!」


 四神ケンカしだしたぞ。

 こいつら案外精神年齢低いな。

 俺はグルルルル!と唸る白虎さんのそばに行き、その手を取る。


「地味でもいいじゃないですか白虎さん。」

「え?」

「地味とは言い換えれば縁の下の力持ちということです。面白みがないとは真面目ということ、無難ということは堅実ということ。地味で何が悪いんですか。真面目で何が悪いんですか。無難で何が悪いんですか。」

「!?」


 白虎さんの目がカッと見開く。


「世界を動かすのはごく一部のスターじゃない。いつだって地味で目立たず、堅実に働く名も無き誰かです。俺は、それを誇りたい。」

「・・・あなたのお名前を教えていただいても?」

「ええ。私の名前は初月緋色・・・探偵です。」

「いや、違うわよね。」


 さきねぇのつっこみをものともせず握手をする俺と白虎さん。


「まさか、人間を友とする日がくるとは思ってもみませんでしたよ。」

「種なんて関係ありません。私たちは魂で繋がった友です。朋友パンヤオです!」

朋友パンヤオ!」


 熱い抱擁を交わす俺たち。

 人と霊獣、種の垣根を越えた友情が誕生した瞬間だった。


「・・・なぁなぁ小娘。こいつらなんでこんな盛り上がってんの。我輩蚊帳の外なんだけど。」

「きっとわかりあえるなんかがあったのよ。年長者らしく暖かく見守ってあげましょう。」

「そんなものであるか。」


 青竜さんがなんか言ってるけどスルー。


「そういや、とらちゃんはどうやってここにきたの? 青竜ちゃんは空からだけど。」

「普通に歩いてきましたよ。」

「それにしては足音どころか気配すら感じなかったけど・・・」

「ああ、それは・・・」


 そう言うと白虎さんはその場でピョンとジャンプし、着地した瞬間。

 白虎さんの姿が消えた。


「「え!?」」


 どういうこと!? 消えた!?


「こっちです。」


 その声に振り向くと、俺たちの少し後ろに白虎さんの姿が。


「目にも止まらない超スピード!?」

「それじゃ抜刀斎クラスじゃない。ほんとに速いのは目にも映らぬ速さらしいわよ?」

「貴様ら、白虎のそれは速さではないぞ。」


 青竜さんのドヤ顔。お前関係ないだろ。

 しかし、速さじゃない?

 ・・・ということは、まさか!あの有名な時間操っちゃう系能力!?


「もしかして世界!? ロードローラー!?」

「いや、超越の物語を語ったのかもしれない!」

「どちらにしろ熱いわね!」

「すいません、どちらも違います・・・」


 声の出所は足元。

 そこに目を向けると、目の前の地面から白虎さんの生首が生えていた。


「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

「よいしょっと。」


 地面から白虎さんが這い出てくる。


「これが私の能力の一つで≪影渡りシャドーウォーク≫です。」

「本一冊分程度の影さえあれば、そこに潜み自由自在に移動することができるのだ!故に白虎を捕らえるのは容易ではないぞ!」

「まぁいってみればそれだけの能力なんですけどね。」


 ドヤ顔の青竜さんと苦笑いの白虎さん。


「なんだよとらちゃんかっこいい技持ってんじゃん!」

「・・・・・・全然地味じゃないじゃん。」

「ヒロ、そんなすねないの。いーこいーこ。」


 さきねぇにいーこいーこされる。


「まぁ我輩の≪天候操作ウェザーリポート≫と比べれば地味オブ地味であるな!がっはっは!」

「朱雀の家に遊びにいくと毎回玄武さんに『甲羅乾いたからちょっと雨降らせろよ』とか言われてパシられてますけどね。」

「パシ、パ、パシられてねぇわ!あいつが『世界最強の青竜くん、ちょっと雨降らして。お前が頼りだ!』っていうから仕方なくだわ!」


 うーん、いいように使われてるなぁ。


「ザ・最弱の朱雀ちゃんは?」

「あいつは≪輪廻転生オーバードライブ≫であるな。四神最弱のやつにふさわしいこすい技である。」

「もっとも、朱雀本人はあの技大嫌いなのでまず使いませんけどね。」

「どんな能力なんです?」

「死んだ瞬間に本拠地で生き返る技です。」

「せっこいわね~。しかもそれってフェニックスじゃん。」

「ええ、だから使いたくないそうです。『自分はフェニックスじゃなくて朱雀っす!』って。」

「朱雀ちゃんもキャラかぶりで大変ねぇ。」


 なんでさきねぇは朱雀にこんな馴れ馴れしいっていうか、親戚のおばちゃんみたいな感じなんだろうか。

 火属性だから?


「じゃあ玄武さんはどうなんですか?」

「玄武の≪絶対領域アブソリュートゼロ≫は反則である!あいつはずるい!」

「あれはもうどうしようもないですよね・・・」


 怒る青竜さんとためいきをつく白虎さん。

 名前からすると絶対防御みたいなもんか?


「玄武が強い世界なんて存在したのね。世界は広いわねー。」

「朱雀が雑魚っていうのも新鮮だよね。」

「我輩たちからいえばお前たちのほうが新鮮だがな。」

「面白いことが好きな朱雀さんはともかく、玄武さんに気に入られる人間なんて初めて見ましたよ。」


 ・・・?


「「なんでそこに(朱雀)(玄武)が?」」

「「・・・(朱雀)(玄武)のこと知ってんの?」」

「「えっ」」


 セリフがかぶりまくる俺たち姉弟だった。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

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