第一姉嫁 ノエルさん、義妹弟離れをす・・・る?の巻
皆さんこんにちわ、藤原ロングウェイです。
皆様の暖かい感想をいただいたおかげであねおれファンディスク!製作できました(笑
当初はあねおれ2かあねおれ外伝を考えていたのですが、内容的にファンディスクが一番しっくりきたのでこんな感じのタイトルになりました。
不定期更新になるとは思いますが、これからも初月姉弟夫婦をよろしくお願いいたします。
とか言いながらしょっぱなノエルさん話ですけどね!
とりあえず今回は短編二話と外伝三話の計五話の一日一回更新です。
ヒイロとムラサキが結婚・・・二人の義姉として心にクルものがあるな。
さて、二人も新婚だ。私が気を遣って四週間くらい留守にしたほうがいいのかもしれんな。
・・・いや、四週間は長いか。二週間にしよう。
・・・・・・いや、二週間も長くないか? 一週間? さすがに一週間は短いか?
しかし、あまり長く離れていると二人が寂しがるかもしれん。
なんだかんだ言って、まだまだ子供だからな!よし、一週間にしよう!
全く、仕方ない義妹と義弟だ!
そんなことを考えながら二人の部屋に近づくと、話し合っている声が聞こえてきた。
「新婚・・・ないしょ・・・家・・・」
「・・・ノエル・・・迷惑・・・」
「!?」
つい、サッと隠れてしまう。
聞き取れた単語は・・・『ノエル』、『迷惑』?
そして『新婚』『家』・・・
も、もしや・・・
ほわんほわんほわんほわん(妄想開始)
ムラサキ?「(せっかく新婚なんだしないしょで家買っちゃいましょう!)」
ヒイロ?「(ノエルさんがそばにいたら新婚さん的に迷惑だよね!)」
ほわんほわんほわんほわん(妄想終了)
ま、まさか!
あの二人が、わ、私のことをめ、めいわ、めいわくだなんて・・・!
そんなはずないじゃないか!
・・・そんなはず・・・
私はいたたまれなくなって、部屋に戻りベッドに潜る。
しかし、いつまで経っても眠気は訪れないのだった。
「ノエルさんおはようございます。」
「エルエルおはー。」
「!? お、おはよう・・・」
自然体、自然体だ・・・
「・・・なんかノエルさん、目の下に隈できてません?」
「なーにー、おばけの夢でも見て寝れなくなっちゃったのかしらー?」
「そ、そんなわけあるか!これは、アレだ。その・・・この大陸の行く末を考えていたら、いつのまにか朝になっていたんだ!」
よし、咄嗟の言い訳にしては上出来だ!
実際は大陸の行く末とかちょうどうでもいいが。
「・・・・・・S級冒険者も大変ですね。」
「まぁな!ハッハッハ!」
「とりあえず朝ごはんにしましょ?」
ふぅ、上手くごまかせたようだな。
そのまま三人揃って朝食を食べる。
・・・この食事風景も、もうすぐ終わるのか。
やばい、泣きそうになってきた。
「・・・と思うんですけど。ノエルさん?」
「ファッ!?」
「「ファッ?」」
「い、いや、なんでもない!いいんじゃないか!?」
「じゃあ今日はそんな感じで。」
「う、うむ!」
やばい、何も聞いてなかった。
しかし今更『さっきのお話の内容なぁに?』とは言えん!
「ではいってきます。」
「え? どこへいくんだ?」
「え、今話したとおりですけど・・・」
「もしかして、ついにボケがはじまったのかしら?」
「ボ、ボケてないし!アレだよアレ、破軍炎剣的ジョーク、略してバーグだよ!ひっかかったな~?はっはっはっは!」
「「・・・・・・・・・」」
し、視線が痛い!
「ほ、ほらほら!でかけるんだろ!?いってらっしゃい!気をつけてな!知らない人についていくんじゃないぞー!」
「・・・いってきます。」
「あとでなんか薬買ってくるわねー。」
なんとかごまかし二人を見送る。
・・・・・・行ったな。
私は絶影のローブを羽織り、いつものように二人のあとを尾行るのであった。
アルゼンに到着した。
二人はどこに向かうのだろうか。
今のところ見つかっていないが、ムラサキの野生の勘は異常なので油断はできない。
「ママー、あのへんなマントきてる女の子、なにやってるの? すとーきんぐ?」
「シッ!見ちゃいけません!燃やされちゃうかもしれないでしょ!」
ちっ、うるさい親子だな。ほんとに燃やしてやろうか。
あ、二人が店に入った!
あの店は・・・!?
二人が入っていった店の看板を見て驚愕する。
その店は、アルゼンで様々な住宅を扱う不動産屋だった・・・
「ただいま帰りましたー!」「ただーまー!」
「・・・・・・」
「あれ、ノエルさんいないんで、っていますね。」
「なんか暗くね?」
私は覚悟を決め、二人に話しかける。
「二人とも、私に何か話すことがあるのではないか?」
「え!?・・・さすがノエルさんですね。隠し事はできませんか。」
「・・・・・・ああ。」
「じゃあ単刀直入に。実はですね・・・」
ヒイロが何かを話しているが、何も頭に入ってこない。
目を閉じれば、二人との思い出が今でも鮮やかによみがえる・・・
――――――――――――――――――――
「おぎゃー!おぎゃー!」
「おお、元気な双子の赤ちゃんだ!私がお前たちのお姉ちゃんだぞー?」
二人の出生・・・(注 妄想です)
「おねーちゃーん!けんおしえてー!」
「ぼくはまほー!」
「あはは、二人にはまだ早いよ。もう少し大きくなったらな?」
「「はぁーい!」」
二人の成長・・・(注 これも妄想です)
「こらこら、何をケンカしてるんだ?」
「わたしがのえるおねえちゃんとけっこんするの!」
「ちがうよ!のえるおねえちゃんはぼくとけっこんするんだよ!」
「・・・あはははは!困ったな!」
二人の私の取り合いっこ・・・(注 もちろん妄想です)
「ヒイロ、久しぶりに一緒にお風呂でも入ろうか?」
「い、一緒にお風呂なんて恥ずかしいから入らないよ!」
ヒイロの思春期・・・(注 当然妄想です)
「ねぇエルエル。」
「ん? お姉ちゃんと呼んでくれないのか?」
「い、いつまでもお姉ちゃんなんて呼ばないわよ!」
ムラサキの反抗期・・・(注 しつこいですが妄想です)
――――――――――――――――――――
「・・・ということなんですが。どうでしょう?」
「ぶばびぼぼぼぶぼうびぶべばいいぼ!」
「「何言ってるのか全くわからない!!」」
ダメだ、涙と鼻水が止まらん・・・
「え、ちょっとエルエル、本気で大丈夫? いつもおかしいけど、今日はマジでおかしいわよ?」
「どうかしたんですか?」
「ひぐっひぐっ、ずまんな。お前たちがこの家から去ると思うと、つい感傷的にな・・・」
「「・・・え?」」
ヒイロとムラサキがひどく驚いた顔をしている。
「え、誰がいなくなるって?」
「だ、だから!お前たちが!」
「あのー、この家を出る予定とかないんですけど・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
コノイエヲデルヨテイガナイ?
え、ヒイロは何語でしゃべってるんだ? 異大陸語?
・・・・・・ん?
「この家を出る予定とかない!? だ、だって新居を買うって!それに、わた、わたしのことをめ、めいわ、め、めいわくっでぇぇぇぇ!」
「え。何それどこ情報? 流言飛語で忠誠心を下げて二虎競食の計とか駆虎呑狼の計狙い? このへんに敵対勢力で荀彧とかいたっけ?」
「いやー、聞いたことないけど・・・」
「し、しかし・・・」
私は思い切って、昨夜の会話を盗み聞きしてしまったことを告げた。
すると。
「「あはははははは!」
「わ、笑い事じゃない!私がどれだけヤキモキしたと思ってる!」
「すいませんすいません。それはですね、『新婚だしないしょで家建てちゃおうぜ、庭に』『無断で敷地内に家建てたらノエルさんに迷惑でしょ。許可とらないと』って話ですよ。」
「・・・・・・・・・庭に?」
「はい。すぐそこに離れみたいなのを増設して、夫婦用の部屋にできたらなって。ほら、俺たちも夫婦ですから、その、ほら、ねぇ? 色々あるじゃないですか。」
「さすがに『爆炎の処女』エルエルには荷が重いんじゃないかって思って。毎晩毎晩顔真っ赤にして耳ふさいでプルプル震えながらベッドにもぐりこむのもかわいそうかなっていうウイヅキカインドよ。」
「む、むぅ・・・」
そこまで気を使っていたのか・・・
「もちろんノエルさんさえよければ、ですけど。ノエルさんがそろそろ冒険者として独り立ちしろと言うなら出てい「お前たちはまだまだひよっこだから家を出る必要などなし!!!」
言い切る。
せめて二人がかりでもいいから私を倒せるくらいにならないと心配だ!
(注 忘れてる方もいるかもしれませんが、ノエルさんはS級冒険者で世界最強クラスです)
「しかし、なぜ家など下見していたんだ?」
「いやー、離れを建てるっていってもこの世界の建築ってよくわからなかったんで、せっかくだから色々見てみたいねって話になって。あれ、朝にお話しませんでしたっけ? 今日は見聞を広めるために家の見学をしてきますって。」
「んで結局、エルエル任せでいいんじゃね?って話になった感じ。というわけでよろしこ!」
・・・そうか。
「そうか!そうかそうか!いやーやっぱりお前たちはほんと困るな寂しがり屋で!ほんと困っちゃうな!なんだよもー私がいないとほんとダメダメだなー!そんなんじゃいつまで経っても成長できないぞー?あっはっはっはっは!」
「「・・・・・・」」
「ひそひそ(ここで『今のは嘘でやっぱり出て行きます』って言ったらどうなるかしら)」
「ひそひそ(多分冗談じゃすまないレベルの事態が発生するから絶対やめてね)」
「ひそひそ(さすがにここまで喜んでるおばあちゃんをいじめるほど鬼じゃないわよ)」
よし、そうと決まればやることは一つ!
「今から王都いってくる!」
「今から!?」
「も、もう夕方だけど・・・馬車出てる?」
「心配するな。今ちょうど飛竜定期便が来ている。それに乗って王都へ一直線だ!」
「そ、そんな急に行って乗せてもらえるものなんですか?」
「いや、『乗せてもらう』んじゃない。『乗る』んだ。手段は問わん。」
「手段は問うてください!穏便にいきましょう!?」
まぁ私が『お願い』すれば大抵のことはどうにかなる。
「二人とも!行きで・・・向こうで・・・それから・・・で・・・四日だ!四日したら戻ってくる!それまで寂しいだろうが我慢するんだぞぉぉぉぉぉ!」
待ってろ二人とも、結婚祝いに素敵な離れを作ってやるからな!
「いっちゃたわね。」
「いっちゃったね。」
「・・・は!? ということは、四日間は二人っきりということね・・・?」
「あー、うん、そうだね・・・ってさきねぇ!? 目が闇夜の黒猫のように輝いてるけど!?」
「ぐへへへへへ、がおー!食べちゃうぞー!」
「きゃー!」
建築のためのスタッフを引き連れ、約束どおりの日程で家に戻る。
ムラサキはいつも以上に元気だったが、ヒイロはなぜかぐったりというか、げっそり?していた。
きっと寂しさで私の帰りが待ち遠しかったのだろう。かわいいやつだ。
「よし、お前たち七人に命じる。快適かつ立派な離れを作るべし!期間は三日!できるな!?」
「「「「「「「はい!!」」」」」」」
「ならば、作業開始!」
「「「「「「「おおぉ!!」」」」」」」
それからのこと。
ノエルの連れて来た七人のスタッフの活躍により、防音・防寒・断熱など様々な機能を備えた立派な離れがわずか三日で建ったことに驚きを隠せないヒイロなのであった。
そして、ヒイロとムラサキは知らない。
この七人全員が現or元A級冒険者であり、熱狂的なノエル信者だということを。
そして、ノエル本人も知らない。
冒険者ギルド本部に『あのノエル・エルメリアがA級冒険者を七人も集めて何かをしようとしている』という情報が入り、上へ下への大騒ぎとなっていることを。
後日、この出来事がまた違う騒動を引き起こすことになるのだが。
そのお話はまた、別の機会に。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
というわけでノエル一家は二世帯住宅になりました。
家の新築というより増築って感じです。
□□□□□←ノエル宅
□□□□□==□□←増設した渡り廊下と部屋
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