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君と歩む世界  作者: 沙由梨
Chapter4
35/44

本当の気持ち

お待たせしました! 煉馬と逢歌のデート編、最終回です!


あの後、透と逢歌は今はもう使われていない教会に来ていた。


「あれ、ここは……教会? どうして教会なん?」


「ん? ああ、ちょっとな……。清海、悪い!」


「へ!? ちょ、小鳥遊君!?」


透はそう言うと、逢歌1人を教会に残して去っていった。


その場に残された逢歌が、透のことを追いかけようとした時だった。


「ついたよ霧谷君!」


「おい神崎? ここって教会だ………ぞ……? は? 清海!?」


「へ……?」


透と逢歌が入ってきた扉の反対側から実乃里と煉馬が入ってきて、状況がわからない煉馬と逢歌は間抜けな声を出した。


そしてそんな2人を見てニヤニヤしていた実乃里は「じゃあね〜♪」と言ってその場から去っていった。


「………と、とりあえず……座らへん?」


「あ、ああ……そう、だな」


嵌められたのだと気づいた2人は、とりあえず周りにある椅子に座ることにした。



(後で絶対に仕返ししてやる…!)


(とりあえず後で実乃里にお返しせんとな……)



………心の中に、透と実乃里への復讐を誓いながら。



 *


「あの2人、ちゃんと話せてるかな……?」


「どうだろうな……。あの2人、明るい性格の割には結構ネガティブ方向に考えるからな……」


「そうだね……。付き合えるといいなぁ……」


「………ところで実乃里、俺はなんだかさっきから嫌な予感しかしないんだが」


「………奇遇だね。私も嫌な予感しかしてないよ」


「「…………」」


「………帰るか。そんで対策を色々考えるか」


「………うん、そうだね。それが今現在の最善の行動な気がするよ」


「「はぁ……」」


 *


((……………逃げたい))


煉馬と逢歌は、そんな状況におかれていた。


さっきの出来事もあって話しかけずらいのはもちろんのこと、いざという時にはお互いの言葉が被ってしまったりと、ずっとそんなのが続いていた。


(でも……このままじゃ駄目だよな……)


(きちんと誤解を解いて、本当の気持ちを……)


((いやいやいやいやでも待てよ!?))


………しかし、さっきから悩んでばかりいる2人の姿はまるで見合いの男女のようで、透と実乃里がいたら必ず何か言われてるであろう状態だった。


そして先に決心した逢歌は「霧谷君」と呼び、真っ直ぐに煉馬の顔を見た。


「あのな、勘違いしてるなら一応で言っておくねんけど……ウチにとって秋ちゃんは『初恋の人』であって、『今好きな人』ではないで?」


「ぅえ? は、え、そうだったのか!? いやまぁ、何となくならわかってたぜ、うん!」


「絶対にわかっとらんかったろ」


「いや、わかってたぜ!? つーかそれはどうでもいいだろ!」


顔を真っ赤にしてそう叫んだ煉馬は立ち上がって逢歌を見下ろすが、途中であることに気がついて「ん?」と声を出した。


「清海さっき『今好きな人』って言ったか……?」


「言ったで?」


「そーか言ったか………って、はああああああああっ!? ちょっ、今いんのか!? え、誰!?」


「…………」


煉馬の言葉を聞いて、逢歌は煉馬も透と同じように自分の恋愛感情に対しては鈍感なのだと悟った。


それを理解した逢歌は呆れながらため息をつき、ジッと睨むように煉馬を見た。


「まだわからへんの? どうしてウチがわざわざあとを追いかけてまで誤解を解きにきたと思ってるん?」


「え……すぐに誤解を解きたかったからじゃ、ねーのか?」


「それやったらメールとか電話とか、他にも方法があったやん。それなのに追いかけるという面倒なことをした………それやったら答えは1つやろ?」


そう言って逢歌は立ち上がり、煉馬にズイッと近寄った。


そして背伸びをして口を煉馬の耳に近づけて、囁くようにして言った。






「誤解を解いて――……その後も一緒にいたかったから、に決まってるやろ?」






「え、あ、ぅあ、なっ!?」


その言葉を聞いた煉馬は再び顔を真っ赤にし、それを見て逢歌はニヤリと笑った。


「ま、そーゆーことやから、この後も2人きりでデート、しような♪」


そう言って逢歌は踵を返し、教会の扉をゆっくり開いた。


外から入ってくる光が煉馬の目の前を照らし、煉馬はその光に当たっている逢歌を見ながら思った。


(あーあ、すんげー悔しいけど俺よりも男前で、それでいて……天使みてーに綺麗だな……)


そんな煉馬の心中に気づかない逢歌はクルリと振り向き、今日一番の笑顔で言った。




「ほら煉馬(・・)、早く続きしようや♪」




「………ああっ、今行くよ、逢歌(・・)!」



 *


そして、月曜日。



「つーわけで……」


「実乃里に小鳥遊君、覚悟はできてるよなぁ?」


「やっぱり嫌な予感が当たっちゃった…!」


「実乃里、こっち来い!」


「う、うんっ!」


「ほうほう、まさかのお姫様だっこで逃亡すか……」


「煉馬、ウチ達も対抗してお姫様だっこで追跡するで!」


「おうっ、任せろ!」



今日の花吹雪学園には、新たに『お姫様だっこをしてもらうとラブラブになれる』というジンクスが増えたのでした。



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