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君と歩む世界  作者: 沙由梨
Chapter4
34/44

ペア変更、謎の任務

「なぁ、あれって……」


「え? あれ……どうしたのかな?」


「………気になるか?」


「ふぇ!? あ、いや、その………うん……」


「俺も気になってるから気にするな。じゃあ……」


「うん、そうだね……」




「「――……一肌脱ぎますか!」」



 *


「っ、はっ……!」


清海の言葉を聞いた俺は、その場にいたくなくて思わず逃げてしまった。


その時清海は俺のことを呼んでたが、今の俺にはそれに反応することができなかった。


「はっ……何、してんだよ、俺は……。くそっ!」


悔しくてたまらなくて、俺は寄りかかっていた壁を何度も殴りつけた。


しばらくして落ち着くと、目線の先に誰かの足が見えた。


(この足は……男子じゃなくて女子だな……。でも清海のじゃなかったはずだし……じゃあ誰だ……?)


そう思って俯かせていた顔を上げると、そこには透とデートしているはずの神崎がいた。


「え、神崎……? どうしてここに……つか、透は!?」


「あはは……。ほら、ここって人が多いでしょ? だから最初は腕をくんでたんだけど、人混みのせいで腕から手になって、最終的には手すら離れちゃって……」


「あー、なるほど……それで透と離れちまったんか……。やっぱナンパされたのか?」


「うん、まぁ……。だから透もナンパされてるんじゃないかと思うと………ドウシテモ落チ着ケナクテネ……フフフ…♪」


「神崎、それすっげーこえーよ……」


透、ナンパされんじゃねーぞ……。じゃなきゃ相手の命があぶねぇ……。


そう思っていると、神崎が「だからね」と話しかけてきた。


「ん?」


「もしよかったら、霧谷君も一緒に探してほしいの。お願い霧谷君、一緒に探シテクレルヨネ……?」


「はっ、はいいいいいいっ!!」


神崎の嫉妬の恐怖に負けた俺は、一緒に透を探すこととなった。



この時神崎が、俺の見えないところで口元を緩ませていたことに気づかずに――――。


 *


秋ちゃんから頼んでいた物をもらったウチは、とてつもなく後悔していた。


(やっぱりあの時、霧谷君を追いかけるべきやったのかな……?)


確かにウチの初恋は秋ちゃんやった。その事実は変わらへん。


でも秋ちゃんはただの初恋の人であって、今は……。


「……っ、ああもう! 人の話を最後まできちんと聞けっつーねん!」


「うわっ!?」


「………へ? 今の声、まさか……?」


聞き覚えのある声が路地裏から聞こえ、ウチはそこに目を向けた。


するとそこには、今は実乃里とデート中であるはずの小鳥遊君がいた。


「あれ? 小鳥遊君、どーしてここにおるん? 実乃里は?」


「ああ……実は人混みのせいで離れちゃってな……。しかも実乃里と離れて1人になった途端に逆ナンされまくってさ……」


「なるほどな、そんで人のこない路地裏に逃げとったんか」


「そういうことだ。あ、それから気になってたんだが……煉馬はどうしたんだ?」


「っ……」


小鳥遊君にそう聞かれ、ウチは思わず俯いてしまった。


小鳥遊君は自分のことに関しては鈍感やけど、人のことに関してはかなり敏感やから、きっと今ので何かあったと気づいてしまったやろう。


しばらくの痛い沈黙。それを破ったのは小鳥遊君やった。


「あー……じゃあ、さ。清海も一緒に実乃里を探してくれないか?」


「へ……? うん、いいけど……?」


「決まりだな。ほら、早く行こうぜ」


「あ、うん……」


小鳥遊君が踵を返して歩き始めたので、それに続くようにウチも歩き始めた。



それを見た小鳥遊君が小さく「任務続行、だな」と呟いたことに気づかずに――――。



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