秘密企画の内容、驚愕
あの後小鳥遊君の努力により、比嘉崎先輩を落ち着かせることができた。
すると逢歌が、おずおずと手を上げた。
「あの……先輩はどこから現れたんですか? 最初どこにも見当たらへんかったけど……」
「ん? 小鳥遊透ならわかるんじゃないか?」
先輩の言葉を聞いて小鳥遊君の方を向くと、そこにはいつの間にか何かを飲んでいる小鳥遊君がいた。
小鳥遊君はストローをくわえながらこっちを向いて首を傾げて可愛いいいいいいいいいっ!!
………コホンッ、小鳥遊君はストローをくわえながら辺りを見渡し、屋上を指差した。
「多分、あそこから来たんじゃないか? 飛び降りれば丁度ここに来れるし」
「へ? あそこって……まさか屋上!?」
「ふっ、残念だったな小鳥遊透。見事正解だ!」
「あっ、正解だったんですか!? 残念とか言うから違うのかと思いましたよ!?」
私はそんな会話に驚きながら、ペースを全部先輩にもっていかれてるなぁと思った。
するとその流れを打ち切るかのように不動院君が先輩に話しかけた。
「……先輩、そろそろ企画を秘密にしていた理由を教えてほしい」
「ん? あぁ、そうだったな。じゃあ話す前に……」
そう言って先輩は背中の方に手を回し、どこに入ってたんだというくらい大きい紙を取り出した。
その折れた痕跡が全くない綺麗な紙を、またしてもどこからか現れたボードに貼りつけた。
貼り終えて一息ついた先輩はこっちを向いて、紙のある一点を指差した。
「話す前に、まずお前達にはここに名前を書いてもらう。それが条件だ」
「名前を……?」
私達は訳がわからなくて首を傾げ、とりあえず言われるままに名前を書いた。
それを見た先輩はニヤリと笑い、私達の方を向いた。
「それでは、今から説明をさせていただきます! まずこれはさっきあそこにいる彼女が言った通り、生徒会の秘密企画『ドキッ☆愛の告白大会』となっております! 内容は簡単、1人が好きな人に告白するというものです! ちなみにこれは男女関係ないので、男から女や女から男は構わないし、男から男や女から女でも構いません! ただし、この企画に参加するためにはあの紙にそれぞれの名前を書かないと参加することはできません! なお、たとえそれでフラれたとしても、生徒会は責任を一切もちませんのでご注意を! 以上です!」
先輩の長いような、だけどすらすらとしたわかりやすい説明に、私達はただ呆然としていた。
えーと、つまり……これは好きな人に告白するもので、参加するにはあの紙に名前を……ん? 紙に名前?
『あああああああああっ!!』
よく考えたら私達、さっきあの紙に名前書いちゃってる!
それに気づいた私達は、今すぐ取り消すように頼んだ。
「先輩! それを今すぐ取り消してください! お願いします!」
「ちなみに、名前を書いたら取り消すことができませんのでご注意を!」
「それを先に言えーーーっ!!」
しかし先輩に釘をさすように言われ、思わずといった感じで小鳥遊君が叫んだ。
すると先輩はため息をつき、またしてもどこからか縦長の小さくて白い紙を6枚取り出した。
え、なにこれ。四次元ポケット?
先輩はその紙を私達の前につきだした。
「ならばこうしよう。1人1枚この紙を引いて、当たり、つまり先端の色が赤色を引いた人がこの企画に参加する。これでどうだ?」
「………わかった。その提案、のみます」
代表して小鳥遊君がそう言い、私達は紙を1枚手に取った。
「それじゃあ離すぞ……せーのっ!」
その合図と共に先輩が紙から手を離し、紙がそれぞれの手に渡った。
私は瞑っていた目をおそるおそる開いた。先端の色は――……赤。
「えっ……」
「あっ、実乃里赤色やん!」
「へ?」
「神崎が……引いたのか?」
え、えええっ? これ、夢だよね? 夢で合ってるよね? そうだ、これは夢だ。
そう思った私は頬をつねり………痛い。
「えええええええええええええええっ!!??」
どうやら私は、思わぬ形で小鳥遊君に告白することになりそうです……。




