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エディとの一戦

※本作品は独断と偏見により書き進めております※

 訓練が始まって数ヶ月。冬1の月の12日。


 寒い中、未だ俺は外で稽古を受けていた。メリエルは屋内だ。チクショウ!魔術訓練いいな!


「おい、まだ訓練は終わってないぞ。立て」


 エディはそういうと手を差し出してくる。厳しいながらもそういうところがあるから恨み言を吐きにくいというか・・・ねぇ?


 俺は今日は剣術訓練だ。メリエルは父さんの免許皆伝を貰っていて、闘気を使わない状態のエディとほぼ互角の戦いが出来るようになった。


 メリエルの魔法の才能は火属性に特化しているらしく、他の属性の魔法を使うと以下のようになる。


 メリエルが水魔法を使うと1滴だけ水滴が落ちてきた。


 メリエルが雷魔法を使うと極小の光が一瞬だけ放出された。


 メリエルが風魔法を使っても紙が浮かない。


 メリエルが土魔法を使うと小石が数ミリ動いた。


 ただし、火の魔法を使うと以下のようになった。


 本来焦げるしかない魔力紙が燃え上がった。


 初級の火属性魔法を使うと土が溶けて溶岩になる。


 中級の火属性魔法を使うと山が溶けた。


 全ての場合で魔力が枯渇して倒れた。火属性の魔力量が多すぎて調整が出来ないらしい。俺はどちらかというと器用貧乏なタイプなので何でも使える。


 何でも使えるのだが、本来の属性が5属性じゃないらしく(母さんが訓練中に気づいた)雷以外の魔法は普通の魔術師並みしか使えないらしい。


 これについては、在学中になんとかして見つけ出すという宿題が出されて母さんから免許皆伝を受けた。


 そんなわけでそれぞれ集中的に苦手分野の訓練を受けることになったのだが。


「おら!防いでばかりじゃいつかやられるぞ!」


 四方八方から襲い来る剣を見極めて弾く。弾く。弾く。


「くぅっ・・・」


 剣は苦手なのだ。弾いた瞬間に片手に持った剣の柄でエディの手を突き上げる。


 体の力を抜き剣を捨てる。両手を前に突き出して踏み込み、瞬間的に筋肉を凝縮させて押しだす。


「はぁっ!」


 自己流の発勁のようなものだが、威力は兄の体で実験済みだ。


「ぬぅ!ぐぅぅぅ」


 木剣の腹でガードしたエディは1メートルほど滑って止まる。


 俺は防がれたことに驚愕していた。完全に防御できる訳が・・・。


「悪い、闘気を使った。強くなったな」


 俺の頭にポンポンと手を当てる。毎度の事ながら首が痛い。


「タカ、剣はやめだ。棍を持って来い、そっちの方が得意だろ?」


 いままで何度言っても剣でやらせたのになぜいきなり棍を選ばせたのだろう?


「剣を扱うものは多い。それらと敵対した時、それらから武器を奪った時、剣を使えなければ弱者へと落ちる」


 意外だ、激しく意外である。エディは脳筋だとばかり・・・げふんげふん。


「さっさと取って来い!」


 俺の考えてることが分かったのだろう。少し怒気を含ませつつ叫ばれた。


 棍を探しに自室に戻ることにした。


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 よし、これでしばらく休める。


 俺は自室に戻り息を整えながら棍を探す。どこにしまったかなんて覚えていない。


 ベッドの下に隠してあった。どうしてこんなところに!


 そして一枚の紙を見つける。


「お兄ちゃんのえっちな本は全部燃やしました  メリエル」


「・・・・・ああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ゛あああ゛ああああ゛ああああああああああああ!!!!!」


 それから一時間、エディが呼びに来るまで俺は泣き崩れていた。


 そしてさらに一時間、エディと共にむせび泣いていた。


 あれはエディと俺の潤いだったのに!メリエル、俺の潤いを返してくれ!


-------------------------------------------------------------------------


「ゴホン、気を取り直して訓練を再開する」


 エディの顔には真っ赤なあざが出来ている。


 母さんがあまりにもうるさいため様子を見に来たのだ。


 俺達がむせび泣いていた理由を知ると、エディは強烈なビンタを食らった。自業自得だ。


 俺は特にお咎めはなかったが、次からは隠す場所をしっかりと考えようと思う。


「来いよ、エディ」


 挑発するように笑いかける。普段は乗ってこないだろうが、今日は訓練だ。


「行くぞ」


 読みどおりに乗ってきたエディは視界から消えた。


 ぞくりと右後ろから嫌な気配を感じて棍をかざす。棍に衝撃が走ると同時に吹っ飛ぶ。


 地面とこすりあったら確実に皮が削げるであろうことに恐怖を覚えながらも棍を地面に突き立てる。


 ぎゃりぎゃりと音を立てながらも十メートルほどで俺の勢いは止まる。


「本気で来いタカ、受けきってやる」


 俺はこっそりと懐に入れていたイザヨイに魔力を流し込む。


 イザヨイがひょい、と肩の上に飛び移る。


「なんじゃ、エディと戦っておるのか」


 久々に聞いたイザヨイの声は耳元で話されたせいだろう、すこしくすぐったかった。


「主殿は明日というものが理解できておるのか?半年前ではないか!とにかく今日は説明するのじゃ。これが終わったらまた魔力を流し込むのじゃぞ?」


「分かった。いくよ」


 雷魔法の魔法陣を描きイザヨイへと当てる。もちろんその魔法は【スタンボディ】だ。


 【スタンボディ】を10回ほど発動してイザヨイへ話かける。


「溜め込んだ後はどうすればいい?」


「主殿が説明を聞かないからじゃ。今日は我がどうにかするゆえ、発動のタイミングだけ教えるのじゃ!」


 「わかった」と言いながら走り出す。エディは律儀にも攻撃せずに亀のように身構えている。


 俺は棍を振りかぶり、エディへと投げつける。


「今だ!棍へ【スタンボディ】!」


「わ、わかったのじゃ!」


 激しい電流が棍へと向かう。さんざんエディを倒すために練習したんだ。


 エディが余裕の表情を見せる。魔具には別属性の魔法は付与できない。付与したあとに消えてしまうからだ。


 だからこそ、俺は練習した。【スタンボディ】じゃなければ出来なかっただろう。


 【スタンボディ】の雷の軌道を少し逸らす。魔法の追尾効果で棍へと向かう。


 俺は釣りを思い出しながら雷に意識の糸をつける。


 棍は地面をイメージして雷はルアーだ。自然と棍へと落ちる雷を引き上げる。


 クィックィッと上下に動きながら棍の上を雷が滑っていく。


 エディへと当たる瞬間に棍の先へと雷が到達する。そのまま棍が当たり雷もその棍を追いかける。


「ぐぁあああああああ」


 魔具は付与した後、コンマ数秒は効果が発動されているのだ。


 そのコンマ数秒にあわせて敵の体に当てればご覧の通りだ。


 これは上級者ほど、俺の魔具を知っているほど引っかかる。魔具には他の属性は付与されないという常識にとらわれているために油断するのだ。


 もちろん1度でも見ていれば防がれるだろうが。


 俺は投げた後に走り出していて、そちらが本命だと思わせるのもコツの一つだ。


 体をひねり、棍に向かって手を突き出し、その手で棍をつかみ握り締める。勢いがついた棍はエディをそのまま後ろへと吹き飛ばす。これも発勁に分類される、はずだ。


 エディは数十センチ宙に浮いて足で着地する。


「上級魔法並みの威力だったな・・・ぐ・・・」


 その足で立っていた。体からは透明色の何かがあふれ出ている。


「闘気を纏っておいて正解だった。よくやった」


 言うなりまた姿がぶれる。


 俺は数発の攻撃を防いだところで力尽き、首筋への手刀で意識を刈り取られた。

すみません!メリエルの誕生日が書けなくてorz

代稿としてこちらを先に出します。



追記:PV10,726アクセス到達!ありがとうございます。ユニークは1,965人でした。

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