家族のち訓練
※本作品は独断と偏見により書き進めております※
朝になり、朝食に呼びに来たレミリィさんに連れられてダイニングルームへと歩く。
レミリィさんと手をつないで眠そうにしたメリエルも一緒だ。ぷにぷにした小さい手の甲で目をこすっている姿はとても可愛い。
ダイニングルームで顔を洗う。水は魔法でくみ上げているらしい。このくみ上げる水道は半永久魔法陣という叔父さんの残した水道だ。ギルド内部の水道はすべてこの魔法陣が組み込まれているらしい。
半永久魔法陣というのは魔力を蓄積し必要時に発動させる魔法陣で、流時叔父さん以外は発動できないらしい。
なんとなく見てみたら七芒星でうっすらと文字が浮かび上がってきた。解読は出来なかったけど。
仕方なく諦めて顔を洗って席に着く。この世界にも上座とかあるのだろうか。
テーブルの上を見ると塩で焼かれたらしい焼き魚が、おわんに入った白い汁が1人ずつに配られていて、大きな皿にみずみずしい緑色のサラダがおいてあった。昨日と今日見ただけだが、色は日本とそう変わらないらしい。
レミリィさんが木製のおひつらしきものを運んでくる。中を開けると白い白米が!白米が!白米が!
「おおっ!」
思わず身を乗り出してしまう。エディとレミリィさんはほほえましく笑っている。メリエルは俺の声でようやく覚醒したようだ。
「リュージが好きだったからな。これは魔の森でしか育たない米というものだ。繋がりを絶ちたくなくて、な・・・。未練がましくずっと育てていた」
エディさんは悲しそうに目を伏せる。俺は昨日のことを思い出しながら告げた。
「そういえば流時叔父さんと連絡が取れましたよ。どうやら俺しか連絡が取れないようですが、エディさんの話をしたらとても嬉しそうでした」
「な、リュージと連絡が取れたのか!?」
「はい、残念ながら俺と流時叔父さんしか連絡が取れないみたいです。証拠としてロリコンって誰でしょう?まだ出会ってないようですが」
意気消沈したエディさんを見て自然な流れで話題を逸らす。
ロリコンという単語でピクッ!と吊りあがった眉が上下に揺れている。
「あのロリコンか、あいつはいま遠い場所にいて会えん。かといってメリエルに会わせたい訳ではないがな!」
どうやらロリコンは人物名のようだ。いや、予想通りだが。確かにメリエルはロリコンの対象範囲に入るだろう。
メリエルは名前を呼ばれて「はい、お父様?」と首をかしげて見上げてくる。エディさんが悶えているうちにレミリィさんがご飯をよそい終わった
こちらで日本食を味わえるとは想わなかった。白い汁も味噌汁だったようだ。これも流時叔父さんが・・・どれだけなにを広めているんだ・・・。
「隆久という名前は珍しいんですか?」
「そうだが、この世界では苗字がないほうが珍しい。だから苗字はガレシアを使え。タカヒサは今日からうちの家族だ。手続きも済ませてきた」
「え・・・は・・・ええ!?」
早いし!いきなり家族って・・・さすがリュージ叔父さんの友人だ。やることなすこととっぴ過ぎる。
「まあ、分かりました。今日からタカヒサ・ガレシアと名乗ります」
「それがいい。基礎知識を叩き込んだ後は訓練してやる、生きていく力を蓄えろ」
なし崩しに家族となってしまった俺はその日から訓練三昧の日々を送る。そのことをこの時の俺は知る由もなかった。
「ありがとうございます。これからよろしくおねがいします」
「タカヒサ、今日から家族?」
袖を引っ張ってメリエルが問いかけてくる。「そうだよ」と俺のできる最大限の笑顔で笑いかける。
「タカヒサ、お兄ちゃん、お兄ちゃん?」
しばらく悩んだ末、お兄ちゃんに決定したようだ。メリエルが妹になった!ってそんな簡単でいいのかなぁ・・・。
「お兄ちゃん」
「どうした?」
「えへへ、呼んでみただけ」
可愛らしく舌を出して微笑むメリエル。可愛い、抱きしめたい!けどエディから発せられる殺気がすごいので自重する。
そんなこんなで大量の資料を持ってきたエディにこの世界の常識や要らない知識まで詰め込まれたのは、おそらく恨みを買ったからだろう。
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それから数日、エディに詰め込まれた知識を持ってギルドに登録する。
登録は1人で何人分でも登録できる上に、虚偽の記載をしてもいいらしい。血液を金属のカードについた魔法陣にしみこませて作るため、よく調べれば同一人物だと分かるらしい。
タカヒサ・ガレシアとファルコンの二つを登録しておく。受付はエディさんがやってくれたのですこし嘘をついてみる。
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【タカヒサ・ガレシア】
年齢・17歳 誕生日・春1の月の20日(現実換算3月20日)
登録日・2042年夏1の月の4日(現実換算6月3日) 登録場所・ガレシア
依頼達成数・0件 特殊任務達成数・0件 R/G P0
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【ファルコン】
年齢・21歳 誕生日・夏1の月の4日(現実換算6月3日)
登録日・2043年夏3の月の21日(現実換算8月21日) 登録場所・ガレシア
依頼達成数・0件 特殊任務達成数・0件 R/G P0
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各カードにはそのように記載されていた。
エディが言うには徐々に依頼をこなしていって、初めのうちはモンスターとの戦いはさせないらしい。
依頼にはエディが付いていき、知識がきちんと備えられているかどうかを判断する。
その間、ずっと厳しい訓練をこなして、メリエルと共に学校に行く。メリエルの保護者役とも言う。
今日からさっそく訓練をするらしい、メリエルも一緒だ。
11月6日
充電器の代わりとなるUSBケーブルを発見。お騒がせしました!