8話
女性の案内でパン屋さんの中に入ると、とても優しそうな男性がトレーに載せた焼きたてのパンをガラスケースの中に並べていた。
すると女性が
「あんた、新しく働いてくれる子が見つかったよほら、このお嬢さんだ」
するとご主人は
「そりゃあ本当かい? 助かったーこれでお前も少しは身体が楽になるな」
そう言ってくれたので私はご主人に
「初めまして、この度此方の領地に住む事になりましたアンジュと申します。一生懸命働かせて頂きますので宜しくお願いします」
とご挨拶させて貰いました。
するとご主人は
「こちらこそ宜しくな、それでいつから来れるんだい?」
と言うので
「私はいつからでも、出来ればなるべく早く働かせて頂けたらと思っています」
と答えると
「じゃあ 決まりだ、早速明日から来てくれるかい?」
と言って下さいました。私はその後お二人にお礼を言って、明日の朝こちらに伺わせてもらいますと言って、店を出て行こうとしたらご主人が
「良かったらこれ食べてくれ、俺が焼いたパンだ」
と言いパンを袋に詰めて下さいました。
すると女将さんが
「うちの旦那のパンは美味しいよ、夕食にでも食べるといい」
と言って送り出してくれました。
本当に助かります。
そしてその後、市場で必要最低限の買い物をしてから住まいとなっている別宅へと帰る事にしました。