35話
翌朝私はカリンに頼んで沢山用意した焼き菓子を教会の子供達に届けて欲しいので、本宅に居る旦那様に渡しに行ってもらいたした。
するとカリンが戻って来て
「旦那様が、良かったら奥様も一緒に行かないか聞いて来てくれと頼まれました」
と言う。私は暫く読書もしてなかったので喜んで一緒に行くことにしました。
私はナタリーに支度を手伝ってもらい、髪型は一人では出来ないような編み込みにしてくれました。そして薄くお化粧もしてもらい、お昼に旦那様が迎えに来てくれて私を見ると、とても驚きながら
「良く似合っている」
と、褒めて下さいました。
そして馬車で教会へと向かい、馬車の中で旦那様が
「侍女とメイドの件だが、君の許可なく勝手に付けてしまい済まなかった、一度断られていたので気になっていたんだ」
と仰ったので
「いいえ、今では、三人で楽しく過ごさせてもらっています。それにとても楽をさせて頂き感謝しています」
と言うと、旦那様は
「そういえば今日は仕事に行かなくても大丈夫なのか?」
と聞かれたので
『そうだ仕事を辞めた事をまだ伝えてなかったわ』
と思い
「お店の方は完全に辞めました」
と言ったら
「君はそれでいいのか? 淋しくは無いのか」
と言われたので
「別に遠くに行く訳では無いので、いつでも会いに行けますから大丈夫です」
と答えた。すると旦那様は複雑そうな顔をされて何かを言いかけたが黙ってしまわれた。
そんな沈黙が耐えられなかったので私から
「そう言えば旦那様、お義母様からあんなにも沢山の贈り物を頂きありがとうございました。お義母様にお礼のお手紙を送っても宜しいでしょうか?」
と聞くと
「ああ、きっと、母上も喜ぶと思う」
とそっけなく返されてしまいました。急に不機嫌になられてどうしたのかしら?




