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完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   作者: ヴァンドール


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28話

「旦、旦那様、大変で御座います離れから奥様がお見えです」 

 と、大きな声でランカスターがやって来た。それを聞いた私は、ランカスターと同じく動揺を隠しきれずに

「ど、どうしたら良い?」

 と尋ねてしまった。

 するとランカスターは今お会いにならなければこの先いつお会い出来るか分りません。すぐに応接室へ来て下さいと言う。

 私は動揺した気持ちを抑え応接室へと向かった。

 そして扉を開け、中に入いると驚いた事に其処にはレカンで働いている女性が居た。

 私は女性に思わず

「何故君が?」

 と言ってしまった。すると彼女は

「初めましてでは無いですね、何度かお会いしてますものね」

 と言ってきた。


 私は、先日街で見た二人の仲睦まじい姿を思い出しモヤモヤする気持ちを抑えながら

「君には本意では無いとはいえ、辛い思いを強いてしまい本当に申し訳無かった」

 と謝罪した。すると彼女は

「いえ、ある程度は覚悟して嫁いだ身ですのでお気になさらないで下さい。むしろ今では住む所を与えて下さっていることに感謝しております」

 と言う。それが皮肉なのか本心なのか、わからぬまま勝手な願いを口にした

「一応、書類の上だけかもしれないが、君は私の妻という事になっている、今度王都で行われる陛下の生誕祭へは貴族の義務として出席しなければならない、悪いがそれには付き合って貰いたい」

 そう言うと彼女はたった一言だけ

「承知しました」

 と返してきた。そして

「お恥ずかしい話ですがその為の支度が今の私には出来ません。 

 ドレスだけは嫁ぐ際、姉が用意してくれましたがアクセサリーなどその他の小物は持ち合わせていません。申し訳無いのですが当日だけで構いませんのでお貸し頂ける様お願いしたいのですが」

 と言ってきた。

 それを聞いた私は

「勿論、全て此方で用意する、近々商会の者をそちらに向けるので好きな物を選んでくれ」

 と伝えた。

 そして私は

「言い訳に聞こえるかもしれないが砦から帰って来てから何度か別宅を訪ねてメイドを付けてはどうか確認に行ったが会えなかったんだ、今からでもメイドを置くというのはどうだろうか?」

 と尋ねると

「それは遠慮させて頂きます、自分の事は自分で出来ますから」

 と言われてしまった。

 そして彼女は急に席を立ち

「それではこれで失礼させて頂きます」

 と言って去ってしまった。お茶さえ出す間も無い程の一瞬の出来事に私とランカスターは只呆気に取られ立ち尽くすだけだった。

 暫くしてランカスターが

「旦那様は奥様にお会いしたことがあるようですがどちらで?」

 と言うので私は

「あの有名なアップルパイの発案者だよ」

 と言ったら先程よりなお一層驚いていた。

 そして仕事とはあのパン屋でしたか。とつぶやいていた。


 その後直ぐに彼女の元へ商会の者を向かわせる様ランカスターに指示をした。

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