22話
ランカスターさんが帰った後、 私はどうすべきか考えましたが、どうする事が最善か答えが出ません。
あちらは私が相当腹を立てていると思っているようですが、正直、私自身今の生活に満足しているので少しも怒ってなどいません。
かといってその様に話してしまっては今の仕事を辞めなければいけなくなるような気がして素直な気持ちを伝えることが出来ませんでした。
王宮での生誕祭も別に頼まれたのなら出席するのは構いません。
只、私の方は夫の顔を知っているのにあちらは妻である私の顔さえ知らない、会ったら気不味い様な気がしたので何も言えませんでした。
さて、困りました。
こんな事、誰にも相談出来ないし、いずれ自分自身で決めなくてはいけません。
だけど、もう少しこのままという訳にはいかないのかしら? 取り敢えずは時間を下さいと言っておいたのでもう暫く様子を見てからにしましょうか。
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私は、次の日もいつも通り仕事に出かけました。
お昼近くに女将さんが手伝いに来られて、一段落した時に声をかけられました。
「これは旦那と私からの特別手当だよ」
そう言って紙に包まれたお金を手渡されました。私は驚いてそれを女将さんに返しました。
「こんなに頂けません働かせてもらっているでだけも感謝してるんですから」
すると女将さんは呆れながらもう一度、私の手に握らせます。
「何言ってんだい、あんたが来てから売り上げは、倍以上になったんだ堂々と受け取っとくれ。
それでこのお金でもう少しおしゃれでもしな、せっかく綺麗な顔してるんだから」
そう言ってくださり、今度はご主人までもが一緒になって言ってくれます。
「それに最近商品にした焼き菓子も大評判なんだよ、みんなお嬢ちゃんのお陰だ、遠慮なんかしたら怒るぞ」
私はその言葉がとても嬉しくて思わず照れてしまいました。
そして、常連客のハンスさんが営んでいる大きな商会があるのですが、其処へ連れて行くから少し普段着を買いなさいと言ってくれました。
たしかに、実家から持ってきた数枚のワンピースを着回していたのでそれを見かねての事だろうと思いました。
そして次の定休日に女将さん達と一緒にハンスさんの商会へと行く事になったのです。




