2話
最近、国境付近が騒がしい、これは戦の兆候か?
こんなに忙しい時に早く結婚しろだと? 陛下は何を考えているのだ? 守る者が居る方がより忠誠心が湧くとでも思っているのだろうか。
私には大勢の部下達がいるそれで充分ではないか世間体? そんなのどうでも良いではないか。
私は全く気にもならないのだが。
それなのにあまりにも急かしてくる。
だったら適当な者を見つけて来いと執事のランカスターに命じた。
数ヶ月後ランカスターが大きな声で
「おりました、丁度良いご令嬢が! 旦那様は大変お忙しい方なので、あまり構ってあげることは出来ませんが持参金は不要だと告げたら先方は大変乗り気で、なんでも男爵家の四女だそうです」
と騒いでいる。私は
「式など面倒な事はしないぞ、ただ陛下の手前結婚するだけだ」
と言うと
「いやいや、あの様子でしたら、多分大丈夫かと」
と言う。
まあ、あとはランカスターに任せておけば適当に上手くやってくれるだろう。
私は暫く砦から帰って来れそうに無いしな。
「後は、ランカスター、お前に任せる」
そう言い残して私は砦へと急いだ。
多分、次に屋敷に帰る頃には逃げ出して実家に戻っているかもしれんな、何と言っても所詮は貴族のご令嬢だ、こんな辺境の地で知り合いも居ない、王都のような華やかな場所もないときている。
そんなことに我慢出来る令嬢などいるはずがない。
私は結局、一度も顔を合わせることもなく済みそうだなとホッとしていた。




