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宇宙(そら)の果て  作者: 桜橋あかね


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第11話 宇宙へ再び (前編)

あれから、どれくらいか時間が経った頃。

キャンベルが休んでいる部屋の扉を叩く音が聞こえた。


『少佐、入ります』

と、リンの声がする。


「どうぞ」

キャンベルがそう返すと、扉が開く。


「準備の方が整いましたので、お呼びに来ました」

「分かったわ、向かいましょう」


キャンベルは、ベッドから降りる。


「本当に、大丈夫ですか?少佐」

リンが心配そうに聞く。


「ええ、大丈夫よ。行きましょう」

「……はい」


二人は部屋を出る。


「そう言えば、ここからグレン王国までかなり時間が掛かるわよね。そこら辺の事は考えているかしら」

滑走路へ向かう途中、キャンベルはリンに聞く。


「わたくしらが使うゲラルージでは無く、ゴラージュ艦の使用許可が出ています」

と、リンは返す。


ゴラージュ艦は、ネネントアーム国の超高速戦艦の一種だ。


「そこは考えているのね。ゴラージュでどれくらい掛かるかしら」

「最短で1日半とお聞きしました。降伏文書の調印を要求する期限ギリギリですので、向うの首脳陣にはそこまで待つように頼んであります」


連携国を危険に巻き込んでしまったのは、自分で撒いてしまった種とは言える。

ただ、これが『戦争』なのだ―――


(……まったく、頭が痛いわね)


▫▫▫


滑走路に出ると、ゴラージュ艦が3隻並んでいる。

護衛をしていた、一人の兵士がこちらに気が付いて敬礼をする。


「お疲れ様でございます。技術士官組は、もう出発しております」

兵士がそう言う。


「ありがとう」

キャンベルがそう返すと、兵士は一礼をする。


「わたくし達は、1番後ろの艦です」

「分かったわ」


二人は後ろの戦艦に乗り込み、司令塔へと入る。


「お待たせしたね」

キャンベルが言うと、棟内に居た皆が頷く。


「キャンベル少佐」

一人ガンネ隊とは違う、ネネントアーム側の制服を着た兵士が呼び止める。


「この度ガンネ隊のゴラージュ艦を操縦させていただく、国防軍第一戦艦部隊所属で中尉のゲダイと申します」

「よろしく頼みます、ゲダイ中尉」


ゲダイは懐から1枚の紙を取り出し、キャンベルに渡す。

「こちら残り2隻のアーマー配備と、宇宙空間で合流する戦艦となっております」


前2隻が、ネネントアームのデミルガンとカンブロ。

次の2隻は、宇宙基地が近いマーリィ王国とアジャン連合国の戦艦とアーマーだ。

(ちなみに、合流する戦艦はゴラージュ艦と同等の速さで動く物を使用するとの事だ)


「この2国が着いてくれるのは嬉しいわね」

紙を見つつキャンベルが言うと、ゲダイは頷く。


マーリィ王国は世界屈指の宇宙艦隊を擁し、アジャン連合国は陸戦に長けている。

連携国に名乗り出ているのは知っていたが、ここで協力してくれるのはありがたい……そうキャンベルは思った。


その時、艦の無線が入る。

『そろそろ出航いたします』


―――午後0時37分、ゴラージュ艦3隻は基地を飛び立った。


▪▪▪


その頃、ギリシは同盟国の基地にて戦艦の補給をしていた。


「大尉、よろしいですか」

部下の一人が話しかける。


「どうした」

「……例のグレン王国ですが、文書の件について回答をまだ貰っていなくて」


その言葉に、ギリシは疑問に持つ。

「まだ期限内だろう?どうしてその報告をしたんだ」


その部下は言いにくそうにしている。


「もしや、向こう側が動いた……とでも言うのか?」


ギリシの言葉に、部下は少し頭を下げる。

「……その、通りでございます。無線傍受で得た情報です」


「奪回作戦をするまで回答をするな、か。それならこちらも動くしか無いな」


「そ、それと、もう一つ報告があります」

「なんだ、早く伝えろ」


部下はギリシに耳打ちをする。

「解析班より、かの女兵についてしていたスパイ活動を中断したと聞いています。情報は得たものの、見抜かれたと」


「何故それを伝えなかったのだ」

「申し訳ありません。先程、こちらに情報が入ったので」


ギリシは溜め息をつく。

「重要な情報は、すぐに報告をと言っているだろう。今は戦時下、尚更だ」


「大尉の言う通りでございます。以後、気をつけます」


「まあいい。残りの兵に再びグレン王国に向かうと伝えてくれ」

「はい、承知しました」


ギリシは司令塔の艦長室に向かい、パソコンを取り出す。

そして、解析班と繋ぐ。


『お疲れ様でございます、大尉』

班長がそう言う。


「現地組の件は聞いている。至急データを貰えないか」

『分かりました』


ピコン、とメールの受信をする。

それをギリシは、小窓で確認をする。


『現地組に関しては、こちらに戻っております。今現在の情報収集再開は不可ですが、いかがしましょう』


「いや、しなくていい。ここまでの資料が揃えば上出来だ。ただ、接近し過ぎたのはいけんところだがな」

『はい、そこは大尉の言う通りで……申し訳ありません』


「また何かあれば頼む」

そうギリシは言い、通話を切る。


そして、改めて送られた資料を見る。


(……かつて首を切った兵士の娘、か。世の中は広くて狭いな)


▪▪▪


ゴラージュ艦は無事に疑似大気圏を抜け、宇宙に出た。


「マーリィ王国宇宙第二遊撃隊、アジャン連合国ニシジマ隊と通信が取れました。一時間弱程で合流可能との事です」

リンがそう伝える。


「前2隻のゲラルージ艦に、合流をするまで敵陣営には特に気を付けてと伝えてくれくれますか」

キャンベルが言うと、リンは頷く。


「咄嗟の判断力、特例とは言えど少佐に登り詰めた方は違いますね」

ゲダイがそう言う。


「そう言ってくれると、モチベーションに繋がるわ……ありがとう」

「こちらこそ、少佐のお側に立たせて頂いて光栄です」


キャンベルが席から立ち上がろうとした時、立ち眩みがして再び席に座った。


「大丈夫ですか、少佐。やはりもう少しお休みになった方が良かったのでは」

ニッケラが言う。


「そう、ね。多少は無理をしないと、と思ったけれど」

「自分達以上に、気を張っていますから……ここは一旦、任せてくれませんか」


これは、ニッケラの言う通りだろう。


「ドーマ、少佐を空いてある部屋に連れて行ってくれないか」

「はい、分かりました」


ドーマに支えられつつ、キャンベルは司令塔を出た。

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