表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/87

塔の中


 中にはどんな莫迦もいなかった。

 その代わり、巨大な繭のようなものがある。


 しかも、バックリ破れている。


 ……まさか。


 ドラゴンは部屋の隅に行き、丸くなる。


 フェリシアは部屋の入り口に行ってみた。

 扉に鍵がかかっている。


「サミュエル、確かあれ持ってたわよね。

 貸して」


「はい」


 あれ、でわかったらしく、サミュエルは懐から小袋を出してきた。

 フェリシアは鍵を開けて外に出てから、扉にある丸い窪みにあの金印を当ててみた。


 ピカッと光を放つ。

 フェリシアが扉を引っ張ってみると、鍵がかかっていた。


 もう一度、金印を当てるとまた光る。

 取っ手を引っ張ると、今度は扉が開いた。


「……ここ、魔王の寝所だわっ」


「これほど意味のない鍵開け、初めて見ました」

とサミュエルが言う。


 まあ、鍵関係なく、窓叩き割って入ってしまったからな、とフェリシアは思う。


「では、ここがドラゴンが閉じ込められていた魔王の寝所なのですか?」

とサミュエルに問われ、


「いや……、こんなところに人間の王が来て、鍵を開け閉めできるとは思えないわ。

 魔王の寝所は幾つかあるんだったわよね?」


 これは、そのうちのひとつなんじゃない?

とフェリシアが言うと、ファルコが天井から吊るされている巨大な繭を見上げて言う。


「これ、裂けてるんですけど。

 中からなにが……」


「魔王じゃないの?」

 そうフェリシアは言ったが、魔王は小首を傾げている。


「私はこんな場所は知らない」


「じゃあ、前の魔王なのでは?」

とフェリシアは言った。


「前の魔王は勇者に倒されたのではないのかっ」


「倒される前に、ここを裂いて出てきたか。

 寝ているところを勇者に、繭を裂かれて引きずり出されたのでは?」

 そうフェリシアが言ったとき、誰かが扉を叩きはじめた。


「うぬっ。

 鍵がかかっておるっ。


 こっちに呪われしドラゴンが飛んでいくのを見たのだがっ」


 そんな言葉のあと、扉の向こうから呪文のようなものが聞こえてきた。


 扉がバーンッと勝手に開く。


「ここにおったか、ドラゴンッ!

 さあっ、我に従えっ」

と現れた小さいおじいさんが言った。


「この方は……魔物?」

と呟くフェリシアに、


「ドワーフでは?」

とサミュエルが言う。


 それにしても、今のは――。


「もしや、おじいさんが、禁じられし呪法を使い、封印を抉じ開けて、ドラゴンを外に出そうとした人?」


「そうじゃっ。

 あと少しのところであったのに、ランドルフのせいで、ドラゴンを取り逃してしまったっ」


「ランドルフを知っているのですか?」


「あいつは雄々しい騎士であったからなっ。

 よく我々を討伐に来ておった」


 ……あなたがたはどのような悪事を?


 ふん、とおじいさんは鼻を鳴らし、

「王になんぞなりおって。

 まあ、奴が最前線に出てこないことで、わしらは助かっているがな」

と言う。


「あの、呪われしドラゴンを解放して、なにをするつもりだったのですか?」


「決まっておろう。

 ドラゴンは魔王に仕えておる。


 魔王のもとに連れていってもらうのよっ」


 魔王様なら、ここにいますが……。


 もう目的を果たしているのでは、と思ったが、

「偉大なる前魔王の魂を探しておるのだ」

とおじいさんは言う。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ