交差する場所
フェリシアたちはあの像を探して歩くことにした。
とりあえず、岩の街に戻り、あの川沿いの像に水晶の目をはめ、光らせた。
サミュエルが一生懸命地図の上の薄布に描き込んだり。
像の目を光らせたことが街の人々にばれ、
「さすが大聖女様っ」
ともてはやされて、宴会を催されたりした。
「いやあの……、この目、私じゃなくても、はめたら、勝手に光るんだと思うんですが」
今日は光っている目を眺めながら宴会をしたいというので、外だった。
まあ、何事か起こってはいけないので、少し照射してから、目は外したのだが。
どんどん街の人もやってきたので、運ばれてきた料理では足らず、外でも作りはじめた。
組んだ木に吊り下げられた三つの鍋からは、いい香りがしている。
ホットワイン。
骨付き肉と芋の煮込み。
きのことカブのスープにはヨーグルトが入っているようだ。
夜の川沿いは冷えるので、ちょうどいいメニューだった。
その横では大きな肉の塊がぐるぐる回されながら焼かれている。
滴り落ちる肉汁が下に敷かれた石に落ちて、ジュッといい香りと湯気を放っていた。
みんないい気分で酒を呑み、肩を組んで歌っている。
そんな騒がしい宴会の場で、サミュエルは広げた地図を眺めながら言う。
「これ、空の一点を指しているように見えますね」
他の像のところにも行ってみないとわかりませんが、と付け足したあとで、二つの像から放たれた光の交差しているところを指差した。
「幾つ集めても一緒かもしれないですね。
おそらく、指しているのはここではないですか?」
魔王も覗き込み、
「その場所、地上は山のようだな」
と言う。
「ここになにがあるんでしょうね?
空の上では確かめることも……」
とファルコは言いかけ、黙った。
みんなも黙る。
そうだ。
魔王様とドラゴンがいる、と思ったのだ。
いや、魔王様の方はいまいち当てにならないのだが。
「……行ってみる?」
とフェリシアがみんなを窺い言った。
「なにがあるのでしょうね、この先に」
とファルコが言い、
「――ラスボスがいるのでは?」
とサミュエルが笑う。
魔王が、
「……私はここにいるのだが」
と小さく主張していたが。
あなたは、その辺からその辺を統べる魔王様ですからね。
「でも、そういえば、勇者は地上で旅をしているままね」
アーローを呼んで来なくていいかしら、と言うフェリシアにファルコは笑い、
「なにをおっしゃいますか。
勇者の剣を持つ大聖女様がいらっしゃるではないですか」
と言った。
「じゃあ、ドラゴンを呼んでみましょうか?」
みなに見守られる中、満天の星空のもと、フェリシアがドラゴンを呼んだ。
ドラゴンはやってきた。
魔王はいじけた。
「いや……まあ、ともかく出発しましょう」
フェリシアはすべてをうやむやにし、全員でドラゴンに乗り、星空に向かい、飛び立った。




