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誰が封印を破ったか


「誰が封印を破ったか、か」

と魔王が呟く。


 ファルコが言った。


「もしや、ドラゴンが解放されたら、いにしえの王家の血を引く、フェリシア様を襲うと知っていた者が封印を解いたとかっ」


「さては、フェリシアの花嫁道具の中に、伝説の勇者の剣を潜ませたのと同じ奴だなっ」

と魔王が叫んだ。


 狭い水路の中でその声が反響する。


 パチパチとドラゴンらしきものが目をしばたたいていた。


 やかましかったのだろう。


 問題のドラゴンに見つめられながら、何故、これがここにいるのかと相談しているというのも妙なものだが……。


 そう思いながら、フェリシアは言った。


「伝説の勇者の剣を手に入れて、私の荷物に放り込み。


 禁じられし呪法を使って、眠れるドラゴンの封印を破って私を襲わせる。


 それがトレラントの王妃になりたい誰かの仕業なら、もうその人、王妃にしたらいいんじゃないでしょうかね?


 凄腕すぎですよ」


「まあ、単にカタリヤの旧王族に恨みのある人間かもしれないが。

 どちらにしても、只者(ただもの)ではないな」


 ……もうその人がこの世界の王になったらどうだろうか、

とフェリシアが思ったとき、魔王がふと気づいたように言った。


「そういえば、迷路の町で、あの老人に、

『この黄金の印の所持者の称号を与えよう』

と言われたのだが。


 あれは魔王の寝所の鍵だったのだよな?


 だったら、私はもともとその鍵の所持者なのでは?」


 そういえば、そうですね、とフェリシアたちは笑う。


 落とした自分の鍵を拾いに行った、みたいなものだ。


 だが、魔王は老人にしてもらった称号を与えられる儀式がいたく気に入ったらしいので、まあ、よかったのではないだろうか。


「っていうかですね、魔王様。

 そもそも、何故、自分の寝所を知らないのですか」


 魔王は目を閉じて、うーん、と悩み、

「それはたぶん、過去に存在した『魔王』が使っていた寝所だな」

と言う。


「もしかして、魔王様って、『魔王』って種族なんですか?

 世界に一人じゃなくて、いっぱいいるとか?」


「いっぱいはいないでしょう」


 いてくれたら困る、という顔で、ファルコが苦笑いする。


 まあ、上司がたくさんいても困るよな……とフェリシアは思っていた。





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