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追ってきたモノ


「この暗渠、なんで川を埋めたんですかね?

 氾濫するからとか?」


 上まで水が上がったあとがある、とフェリシアは左右の岩壁を指差す。


「埋めたところで、水は地面に浸み出すだろう。

 それで水っぽいのか、ここは」


 暗い水路の先、魔王の声は何処までも響く。


 なにがあるかわからないので、先頭が魔王。


 真ん中がフェリシア。


 最後尾がファルコだった。


 スライムの男の子はいろんなところをウロウロしながらついて来る。


 ファルコが、

「私が先頭を行きます」

と言ったのだが、魔王が、


「なにを言う。

 魔王を名乗る以上、魔族はみな、私が守らねば」

と言ったのだ。


 ファルコは感激していたが、フェリシアは、


 ……じゃあ、私は守らなくていいですよね、

と思っていた。


 敵対する聖女でも勇者でもないが、魔族でもない。


 ただの人間の女なうえに、後宮にすら入れない、とんでもない役立たずだからだ。


 それなのに、屈強な戦士のような二人に真ん中で守られて、申し訳ない気持ちだった。


 そもそも、なんだかわからないモノが追っているのは、私だけみたいだし――。


 そう思ったとき、ファルコが宣言した。


「魔王様っ。

 ありがとうございますっ。


 では、わたくし、後ろを守りますが。


 前からなにかが攻めてきたときには、私が後ろから斬りつけてやりますのでっ」


 そのときには、私と魔王様も一緒に斬られているのではっ!?


 そうフェリシアが怯えたとき、頭上でなにかが風を起こしているような音がした。


 巨大ななにかが飛んでいるような……。


 少し先が明るくなった。


 丸い地上の光が差し込む。


 ヤンの家の前以外にもあった水路の出入り口の蓋が開いたようだ。


 魔王が足を止め、フェリシアが魔王に、ファルコがフェリシアにぶつかる。


「あれを見ろ……」

と魔王が抑えた声で言い、指差す。


 入り口の丸い穴から赤い巨大な目が覗いていた。




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