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情報を集めてみました

 

「この町の長老なんじゃないの?

 わからないとかあるの?」


 そう言いながら、フェリシアは白いヒゲが床に届くほど、長生きしてみんなに敬われているおじいさんを妄想する。


「そうなんですけどね。

 フラッと町中に現れたりもするらしいんですが。


 何処に住んでいのるかはよくわからないみたいで」


「この町の王様に訊いてみたら?」

とフェリシアが言うと、サミュエルは、しーっと口元に指先を当てる。


「実は、ちょっと内密に手に入れたいものがあって、長老には密やかにお会いしたいんですよ。

 我々は、ここに別件で来てることになっています」


「なんだかわからないけど、別件で来てるのに、こんなに町をウロウロしてていいの?」


「入国の目的に、観光も入れておきました」

とサミュエルは威張って言う。


 へえ、そうなんだ、と相変わらずの適当な返事をしながら、フェリシアは肉のタレのついた手を見る。


 名残惜しい。


 あの味をもうちょっと味わっていたかった……。


 でも、仮にも王妃ともあろうものが、ちょっと指先を舐めてみるとか、そんな行儀の悪いこと、できるわけもない。


「そうねえ」

と適当なことを言いながら、小首をかしげるついでなフリをして、口元に指先を持っていってみた。


「……もう一個買って差し上げましょうか?」

とサミュエルに言われる。


 バレバレのようだった。




 結局、みんな、もうひとつずつ食べながら、それぞれが得てきた情報を聞く。


「長老は極稀に町中に現れて、なにかためになる情報を教えてくれるらしいです」


「長老は町の真ん中に住んでいると聞きました」


「この肉の屋台と似たような肉の屋台が、もうひとつあるらしいです」


「町の真ん中が何処なのか、町の人たちにもわからないそうです」


「肉の屋台はそこの通りを抜けたところにあるらしいです」


 全員の報告を聞いたフェリシアは深く頷き言った。


「すごく有益な情報ね」


「あなた、肉の屋台の場所しか耳に入ってないでしょう」

とサミュエルが言う。





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