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大聖女さまなのだから



 おばあさんと話しているうちに、何処からかおじいさんがやってきて。


 おばあさんたちを呼びに来た孫がスライムが変化した男の子と遊び出した。


 すると、そこに孫の友だちがやってきて、その孫の友だちを探しに来た親たちもやってきた。


 ……人が増えてきたな、とフェリシアは思う。


「この大聖女様たちがこの湖を元の湖に戻してくださるそうじゃ」


 おじいさんが言い出す。


 いや、大聖女とか名乗ってないんですけど、とフェリシアが思ったとき、女の子の一人が言った。


「え~。

 綺麗なのに、この湖」


 確かにっ、と思い、フェリシアは言う。


「これでハート型だったら、観光客が殺到しそうですよね」


「ハート型にしようか」

と魔王が言い出す。


 この湖をピンク色にしたのは魔王のチカラなのかもしれないが。


 魔王自身ではないようなので。


 それをハート型にしたところが、魔王の意思ということになる。


 ……ファンシーな魔王様だな、とフェリシアは思ったが。


 ともかく、村人たちはこの色のままでは不安なようだった。


 魚がとれないのは昔からだが。


 なんとなく、この異常な色と結びつけて考えてしまいそうなので。


 そのうち、魔王が湖をピンク色に染め、魚が住めなくなったという不名誉な伝説が出来上がってしまいそうだった。


 魔王様にはピザの恩がある。


 不名誉な噂は消してさしあげなければ、とフェリシアは思った。


「私が湖に潜ってみましょう」


 そう名乗り出たフェリシアに、村人たちがざわめく。


「大丈夫なのですか? 大聖女さま」


「あんな怪しい水に浸かるとか」


「いや、待て。

 大聖女さまなのだから、なんかこう、身体に膜でも張って、水に触れずにいられるとかあるのではないか?」


 いや、そんなことはできませんが……。


 魔王は広い湖を見つめ、フェリシアに問う。


「そもそもお前、泳げるのか?」

「いいえ」


「じゃあ、お前が湖に入ったら、それは潜っている、という状態ではなく、溺れている、という状態なのでは?」

「まあ、そうともいいますね」





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