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 ある夜のこと。

 美湖の姫が一人では怖くて眠れないと言って、(どうやらとても怖い夢を見たようだった)霧雨の部屋にやってきたことがあった。霧雨は「しょうがないですね」と言って、美湖の姫と一緒に二人で自分のお布団の中で眠ることにした。(美湖の姫はすごくよろこんでくれた)

 枕元にあるぼんやりとした橙色のろうそくの明かりを吹き消して、霧雨と美湖の姫はまっくらな部屋の中で眠りについた。すごく安心したのか、「ありがとう。きりさめ」と言ってから、美湖の姫はすぐにすやすやと眠ってしまった。(とってもかわいい。食べちゃいたいくらいだ。と霧雨は思った)

 霧雨は将来、美湖の姫はどんなに美しい姫になるのだろうとその夜に空想した。とっても美しい美湖の姫。きっと都で一番というくらいの美しい姫になって、さぞや名のあるお家の(美湖の姫のお家とつり合いが取れるくらいの)たいそう立派な君とご結婚をして、とても幸せな家庭を築くのだろうと思った。

 子供も生まれるだろう。男の子なら、とてもりりしくて、女の子ならとてもかわいらしい子が生まれるに違いないと思った。(もちろん、そうでなくてもいいのだけど。どんな子供でもいいのだ。どんな変わった子供でも)

 そんな自分の子供を抱いて笑っている美湖の姫さまのいる風景が早く見てみたいと霧雨は思った。そのときまでは頑張って死なないように生きて、ちゃんと自分もそこにいて、そんな夢のような風景をしっかりと目にやきつけなければいけないと思った。(できれば、そのときの気持ちをお歌にして残したいとも思った)

 それが美湖の姫の御付きであるわたしの生涯の務めなのだと霧雨は思った。

 ぐーぐーと大きな口をあけて、だらしない顔で気持ちよさそうに眠っている小さな、小さな美湖の姫。(わたしの宝物だ)

 わたしは美湖の姫のためだったら、きっと自分の命だって失うことができると霧雨は思った。

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