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真に遺憾ながら・・・あちらで『ヒャッハー!』していらっしゃるのがお宅の姫様です。


 今日も今日とて、ドッゴーンっ!! ドカーンっ!! バキバキっ!! メキョっ!! と、大きな地響きやら、なにかの衝突音が大気を震わせ、轟音として響き渡る。


「オルァっ!! その程度かよっ、キングの名が泣くぜっ!! ヒャハハハハハハハハハっ!!」


 ゴーン! ドーン! バーン! という爆音と共に、潜もったような声がハイテンションで高笑う。毎度思うが、あれって金属鎧の中で反響して煩くねぇのかな? いや、爆音のが喧しいか。


「ぁ~、それで、なんでしたっけ?」


 爆音と轟音に加え、ちょっとアレ系な高笑いをBGM代わりに、王城から来たという使者を見やる。


「で、ですからっ………………」


 またもや、ドッゴーンっ!! という盛大な音に掻き消される使者の声。


「なんです? ちょっと、あっちの音が大きくて」


 つか、元々ビビッているのか、声自体も震えていて聞き取り難いし。


「せ、戦闘をっ、一時的にお止めしてくださいっ!!」

「は? なに言ってんの? 馬鹿なの? 見て判んないの? アレ、オーガキングなんだけど? あの喧しいド突き合いやめさせたら、こっち向かって来るんだけど? 俺らは兎も角、アンタらオーガキングと、それが統率してる群れに囲まれて生きてられんの? ちなみに、無傷で守れってのは受け付けないから。つか、無理だし。普通に見捨てて逃げるけどOK? ああ、異論は認めねぇから」


 そう聞くと、城からの使者共はサッと顔を青褪めさせた。


「だからっ、さっさと第二王女を出してください!」


 おお、今度は必死なのか、ちゃんと通る声だ。


「姫には、恩賞として砂漠の国の後宮へと嫁ぐことが許されましたっ!!」


 王城からの使者がなんぞアホなこと言ってんなぁ。つか、知らんのか。そうかそうか。


「真に遺憾ながら・・・あちらで『ヒャッハー!』していらっしゃるのがお宅の姫様です」


 そう言ってドンパチやってる方を指差した俺の言葉に、使者共の目が驚愕に見開かれる。


「な、なにを言っておいでだっ! 一国の、それも(たお)やかで虫も殺せぬような第二王女が、あのようにオーガキングと互角に渡り合える筈がないだろっ!?」

「いえいえ、真に遺憾ながら、あちらで『ヒャッハー!』していらっしゃるのがお宅の姫様です」


 と、俺は繰り返す。


 手前ぇらに取っては、以前の姫さんなら大人しく言いなりになるだろうって、クソみたいな当てが外れて、残念だろうがな?


 つか、その『嫋やかで虫も殺せぬような姫様』を、(ろく)な装備も持たせず、バックアップも無しに火竜討伐に出したのはどこのクソな国だかなー?


 んで、火竜に国を亡ぼす意志が無いと判って、数ヶ月後にのこのこやって来て言った言葉がこれかよ? 巫山戯(ふざけ)んなっての。


 ちなみにだが、我が国の第二王女こと姫さんはオーガキングと互角に渡り合ってはいない。それどころか、むしろ姫さんのがオーガキングを押している。オーガキング、苦戦中。姫さん、見た目はマジで細っこいし可愛らしい美人さんなのに。相変わらず色々と人間離れしてんなぁ。


「別に、あっちでヒャッハー! して愉しそうに暴れてる姫さん呼んでもいいけどさー。オーガキングも洩れなく付いて来んぜ? アイツら基本脳筋だし。一騎打ちの邪魔すると、こっちに矛先向けて来ると思うけど。アンタら相手できんの? ちなみ、俺は魔術師で後衛なー? 邪魔されてキレてるオーガキングから、アンタらが俺の盾になってくれるワケ? なら今すぐ呼ぶけど?」


 そう言ってやると、使者共は顔を青くしてぶんぶん首を振った。


 ま、前衛ができないとは一言も言ってねーけど。でも、姫さんやその師匠とちょい動ける魔術師程度の俺は全く比べもんにならんし。俺じゃ、あんな暑っ苦しい脳筋と組み合えないって。


「ああ、ついでに言っとくが……オーガキングと一戦終えた後は、リザードマン達と。更にその後には連中のボスの火竜とド突き合いが待ってるから。あれ、最近の日課な? 火竜と姫さん、意気投合しちゃってさー。毎日愉しそうに遊んでんだよ。ここは荒野でな~んも無いからいいけどさ? 姫さんが城に戻るとして、だ。その道中、毎日火竜が突撃しに行くと思うが。大丈夫なん? アレ、見てみ?」


 ドッゴーンっ!! と、派手にぶつかり合ったオーガキングと姫さんが、また一つクレーターを生産した。クレーターは、また別のクレーターができるときに埋まったり、地面が隆起して小山ができたり、それを更に火竜のフレアブレスで焼き締められたりして固くなって固定されたりしている。そうやって、ここら一帯の地面は非常にボッコボコになっている。滅茶苦茶ド根性のある草木しか生えない、まさしく荒野だぜ。


 毎日地形変わるから、もし地図作るならマジ大変そー。つか、絶対追い付かんだろうなー。


「城までの街道がめっちゃずたぼろになりそー。城も、火竜の襲撃に備えられんのー? 毎日だぜ? 万が一火竜の超高温ブレスが放たれたらどうなるかなー?」


 ニヤリと笑いたいのを堪えて聞くと、


「だ、大至急陛下へ確認して参りますっ!!」


 使者共は尻尾巻いて一目散に逃げ去った。


 はっはっは、一昨日来やがれっ!! とは、めっちゃ思っているが口には出さない。出すとめんどくさそーだし?


 さぁて、後でちょいと散歩でもして来るかなー? フラン様もお誘いしてみよ♪


✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰


 読んでくださり、ありがとうございました。

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