小話※初夜※会話文のみ
◆ミハエラとナイトリーのある夜の会話◆
「ナイトリー……いや、もうジャスティンと呼んでもいいよな?」
「はい、ミハエラさま」
「“さま”は要らないぞ? おまえはわたしの夫なのだから」
「……自分には、すぐには、無理です……」
「ふむ。つれない男だな、おまえは」
「み、ミハエラさま、そのっ……」
「なんだ?」
「あの、そのっ……急にっ自分の膝の上に乗ってくるのは、そのっ、なぜでしょうか!」
「今夜が初夜だから、だろう? ここはベッドの上だし。 おまえは背が高いが、わたしが膝の上に乗ったら近くなるから内緒話もしやすいぞ?」
「え、あ、いや、その、あの」
「――ジャスティン」
「はい、ミハエラさま」
「わたしの腕を縛ってくれないか?」
「……はいぃぃぃいいいっ?⁈? なぜですかっ」
「なんだか無意識に攻撃魔法をぶっ放しそうな気がするんだ」
「むいしきに、ですか」
「あぁ。なんせ、ダンスステップを習ったときにもパートナーの足を踏みにいった女だからな、わたしは。それも無意識であったよ」
「はあ」
「どうやらわたしは、正面に立つ相手をぶっ飛ばさないと気がすまないという業を負っているらしいんだ」
「ごう、ですか」
「無意識にやってしまうのが問題で……愛するおまえ相手ならなんとかなるかもしれないが、愛する男を閨でぶっ飛ばす花嫁は、さすがのおまえでも嫌だろう?」
「……ミハエラさまのなさることなら、自分に是非などありません」
「……それは、どうかと思うぞ?」
「……そうで、しょうか…………ちゅっ」
「……ん……ちゅ……んん……」
「分かった! わたしを押し倒してはいけないっ!」
「え?」
「あっぶなかったぞ? この右手が無意識に閻魔刀を召喚しそうになった! へそ天になるのは、わたしには無理だ。理性があるうちなら耐えられるが」
「はい?」
「よし、わたしが上になる。――これならなんとかなりそうだ」
「え?……あぁ、はい…………あ♡」
「ジャスティンはかわいいな」
「…………アーーーッ…………♡♡♡」
そんなこんなで初夜が完遂されましたとさ♡
【とっぴんぱらりのぷぅ】
ご高覧ありがとうございました。
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因みに。
ミハエラとジャスティンの孫娘が主人公のお話があります。
過去作『多産を見込まれて嫁いだ辺境伯家でしたが旦那様が閨に来ません。どうしたらいいのでしょう?』(N2652HF)(これも題名長いなー!(おまいう)
たびたび主人公アリスの口から(あるいは周囲の者から)“ミハエラおばあさま”の話題がでますが、ご本人は出ませんし、アリスの性格も能力もぜんぜん違います……。
アリスはどっちかというとドアマットヒロイン系?
『多産(略)』の時点でミハエラさまは63歳。美魔女w
いまだ現役で魔獣討伐隊に加わっています。
さすがに先陣は切らず、若い子や新人の後方からアドバイスする教師役です。
『戦場の戦乙女』の本来の配置に戻ったかんじ。