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7/19

スタードール侯爵令嬢は、やっぱり斜め45度にカッ飛んでた。

【登場人物】

《アイリス》

・主人公

・乙女ゲームのサポートキャラに転生した。

《ルーカス》

・乙女ゲームの攻略対象の王太子

・乙女ゲームのヒロインは、友情度しか上げてなかったので親友だと認識している。

《カリナ・スタードール》

・リエラとゴールインしなかったルーカスの婚約者に選ばれた乙女ゲームに登場してない侯爵家令嬢

・ルーカスとお互いに尊重し合える関係を築きたくて、アイリスに相談したが…。





「それで?話戻すけど、スタードール侯爵令嬢は何したの」



策略と教養の数値が高いから頭は悪くない、優しさと正義感の数値も高いから倫理観もある、何よりも本人が結婚に前向きなのに拗れる理由がアイリスには分からなかった。

アイリスはちゃんとルーカスは『頭が良い人が好き』、甘え度が低いから恥ずかしくても『プライドを捨てて甘えて』ってちゃんとアドバイスした筈なのだ。



「まず、会っては居るんだよね」


「ああ、婚約者だからね。

なるべく毎週会うようにしてるし、忙しくても2週間に1回は会ってるし、手紙も1日おきで交換している」



まあ当然だが、乙女ゲームの攻略対象に選ばれるような優秀な男が、この婚約を面白く思わない他人の噂に振り回されて一方的に嫌っているわけじゃないらしい。



(まあ、噂に振り回されるヤツは、策略や教養が低いからね。両方100オーバーのルーカスには無関係だよね)



なら、実際に会ったり、手紙でのやり取りの時に著しく評価を下げる発言か行動があったはずだ。



「ふーん。なら、スタードール侯爵令嬢は何をやらかしたの?」


「………、やらかしたというのは、語弊があるだろうね…」


「と言うと?」



煮え切らないルーカスの反応がよりアイリスの脳内を困惑させる。

何もないのに気に食わないと言い出す理不尽な男ではないのをアイリスは、ゲームの知識としても、友人としても知っているのだから。



「極普通のご令嬢なんだ…。ドレスと宝石とお菓子の話が好きなだけの…。

…それが悪いわけじゃない。

だが、国母になるのなら、それだけでは困るんだ。

国を愛す王妃に、王を支…いや、それはいい、次の王を育てれる賢い母になれない女性では…、」



王になる孤独な自分を支えて欲しいという自分の願いを押し込めて、国を憂うルーカスにアイリスは、悲しみから苦笑するしかない。



(それはダメだよ、ルーカス。

ルーカスがこの国の王になるんだから、ルーカスを支えられない人がルーカスの奥さんになるなんて、友達としてはもちろん、一国民としても許せるわけがない)



じゃあ、カリナは王太子妃になる資質がないのか、



(答えはNOだ。

ちゃんと噛み合えば、この国で彼女以上に、国の代表にもなる、重責を担うルーカスを支える奥さんに向く人なんて居ない)



だから、



(私がなんとかするしかないんだよな〜〜〜〜〜〜!!!!!!)



面倒臭そうな言葉を吐きつつ、頼られたことが嬉しくて、誇らしくて、緩みそうになる唇を噛み締めた。



「ん〜、私の知る前提条件とかなり違うね」


「まあ、学園では私と首席を争っていたくらいだからね」



まあ実際は万年2位だが、賢い女性が必ずしも評価されるわけではないこの世界で、学力という意味で頭の良い女性は珍しい。

学年の半分の成績もあれば、女性は才女と呼ばれると言えば、まあよく分かる話だ。

だが、アイリスの言いたいのは、そういう話ではない。



「いや、そうじゃなくて、ドレスと宝石が好きなスタードール侯爵令嬢なんて聞いたことないけど??」


「そうかい?

でも、確か、スタードール嬢は、社交界の流行りを作ってたんよね?」


「まあ、作っていたといえば作ってたけど、アレはファッド子爵令嬢の力というか…」


「そうなのかい??」



男性のルーカスは、女性の流行を知識として知ってるだけなので、イマイチ理解出来ないようで眉を顰めているが、貴族女性のアイリスから見れば、暗黙の了解のようなものだった。

貴族女性にとって、カリナが装飾品に興味がないのは常識だ。

だが、カリナは美しい。

そのカリナに心酔してる取り巻きの1人がファッド子爵家の令嬢で、美しい自分を着飾るのを好む商家出身の母と、新しい物を作り出すことと美しい妻に貢ぐことを生き甲斐にしている父との間に生まれたファッド嬢は、美しいカリナを着飾ることを生き甲斐し、母方の商家の力で新しいドレスや装飾品を作り出しては流行らせているのだ。

その功績を認められて、裕福とはいえども、平民の血の混じる子爵家という下級貴族令嬢でありながら、カリナの取り巻きに食い込んだ強者である。

ようするに、カリナは、ファッド嬢に言われた服を着てるだけなので、ファッションは男性と同じく、知識として詰め込んでるだけで興味はないのだ。



(でも、そっちにプライド捨てちゃったか〜〜〜〜〜!!!!)



頭の良い女性でいい、とアイリスはアドバイスしたが、カリナにとって、愛される女性とは、冷遇の末に亡くなった賢い母ではなく、お花畑の継母なのだ。

常に女性の取り巻きに囲まれてて、テストでも安定して2位を取り続けるカリナは、その美しさに反して、男性から敬遠されていたのもあって、その価値観がより強固になっていたはずだ。

ましてや、甘え度0だったことを踏まえても、甘え方というのが分からなかったのだろう。



(必死に甘え方を考えた結果が継母の真似だったのかなあ…)



そう思えば、良心がギシギシ痛む。

父の愛を奪い、母を追い詰め、自分を冷遇する継母の真似をするのは、どれほど屈辱か…。

ましてや、その結果、愛されたいと願った王太子に嫌われるとなれば…。



「とりあえず、私がスタードール侯爵令嬢の侍女になれるように手配して貰ってもいい?」


「ああ、もちろん。

…向こうだって、僕との関係をわざと壊したい訳じゃなければ、僕の推薦を拒否しないはずだよ」



そう自嘲的に嗤うルーカスは、どうやら自分が気に食わなくて、馬鹿を演じられていることも視野に入れてるようだった。



(それはないと思うけどなぁ…。まっ、一応確認しとくか)



愛されたいと願った必死さを知るアイリスは、一応確認しておく。


【カリナ・スタードール«攻略条件»

権力:40

財力:20

美貌:0

策略:30

武力:20

教養:20

素直さ:30

優しさ:10

正義感:30

SAN値:0

甘え度:80

甘やかし度:0

ルーカスへの友情度:19

ルーカスへのラブ度:35】



(スタードール侯爵令嬢のスペックで許される攻略条件じゃねぇ!!!!!

てか、ルーカスからの好感度低いのにスタードール侯爵令嬢からの好感度クソ高ぇな!!!)



ざっくり言うと友情度とラブ度は、

マイナス:苦手〜嫌い・嫌悪

0-19:顔見知り・異性として見てない

20-39:まあ仲は悪くない・異性として見てる

40-59:友人・恋愛対象としてあり

60-79:かなり仲良し・好き

80-:大親友・大好き

なのだ。

ルーカスが、カリナを苦手・異性として見てないレベルの好意度なのに対して、

カリナからのルーカスへの好意度が、親しい顔見知り・恋愛対象一歩手前といえば、好感度の高さも分かる。



(恋は盲目って感じでもなかったし、策略も教養も高いスタードール侯爵令嬢が、ルーカスの好感度の低さに気付かない訳ない。

ただ、ルーカスを好きだと即答出来ずに、尊重し合える関係を、と言ったスタードール侯爵令嬢の好感度が下がった結果が今とも考えにくい。…となると、)



思い当たる結果にアイリスは頭が痛くなった気がした。



(…嫌いなのに丁寧に扱ってくれるルーカスへの好感度かあ…。

もしかしたら、前会った時よりも好感度上がってる可能性すらあるとか、まじクソ…)



嫌われてるのを自覚してるから、まあ仲が悪くないとも、恋愛対象とも思えないけど、そのギリギリまで好感度が上がってると思うと、悲しみすら感じる…。



「まあ…、それは大丈夫だと思うよ…」


「そう?

アイリスが言うなら、信じるよ」



カリナのルーカスへの愛が伝わってない哀しさに引き攣った笑みを浮かべながら、アイリスは頷いた。



「じゃあ、侍女の件、お願いね」


「ああ、なら今から手配するよ。見送りは?」


「いいよ、婚約者との仲が微妙な状態のルーカスに送られて、変な噂されてもヤダし」



アイリスの返答にルーカスは、苦笑して納得した。



「そりゃそうだね。じゃあ、また、お茶会を開いた時に」


「うん」



また皆でお茶会する約束を取り付けて、アイリスはソファから立ち上がり、ルーカスと廊下に出ると、別々の道へと歩き出した。



ここまで読んで頂きありがとうございます!

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