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カリナの事情

【登場人物】

《アイリス・ラブレー》

・主人公

・乙女ゲームのサポートキャラに転生した。

《リエラ》

・乙女ゲームのヒロイン

・フェドートとゴールインした。

《ルーカス・アバンダント》

・乙女ゲームの攻略対象の王太子

・リエラが友情度しか上げてなかったので親友だと認識している。

《カリナ・スタードール》

・リエラとゴールインしなかったルーカスの婚約者に選ばれた乙女ゲームに登場してない侯爵家令嬢

・ルーカスとお互いに尊重し合える関係を築きたくて、アイリスに相談したが…。

《ネイト・マーヴェン》

・乙女ゲームのもう1人の攻略キャラ

・所謂、ツンデレ年下枠の次期神官長



「は?」


「ヒョエッ」


「ルーカス」


「ああ、ごめん。アイリスを威圧することじゃなかったよね…」



地獄の底でも這ってそうなルーカスの声にビビり散らしたアイリスの喉から変な声が出る。

すかさず、ネイトが割って入り、ルーカスを咎めれば、ルーカスも、すぐに持ち直してアイリスに謝った。



「それで?どういうこと?」


「どうも、こうも、スタードール侯爵家の内情は有名な話でしょ?

奥さん亡くなって即座に愛人を妻にした上に、侯爵そっくりなスタードール侯爵令嬢と年の変わらない連れ子の女の子って、明らかに地獄しか呼ばん事態。

まあ、一応、母方の実家に口出しされないために、金と教育は与えてたみたいだけど、愛情の与えられない家で、誰が『私は私のままでも愛される!』って価値観育めるよって話じゃん?

ましてや、侯爵は、ルーカスの言葉かりんなら、ガッツリ自己陶酔系で、自分より頭の良い女性の元奥さんは『クソ!』、頭のお花畑の現奥さんこそ『正義!』ってタイプじゃん?

だから、スタードール侯爵令嬢は、愛される女性=ドレスと宝石と美容以外に興味のない女性って刷り込まれてんのよ」


「…なるほど」



スタードール侯爵家の内情は、知ってる人は知ってる公然の事実。

夫に冷遇される妻と、頭の良すぎる妻を娶ることになった夫、どちらに同情するかで、その反応は様々だったが、ルーカスは、頭の良い女性の何が不満だ派だし、アイリスは、どんな理由があれ、浮気するヤツはクソ派だったので、侯爵には同情してない。



「簡単に王太子妃を承認してくれたから、助かったと思ったけど、外から見える以上に立場が悪いね…」


「チキンだから、迫害しきれてないんだよね。

死んだ妻の実家とか、周りの目とか気にしちゃって、与える物は与えてんの愛情以外。

そうしたら、優秀になり過ぎて、最愛の奥さんとの息子よりも『次期侯爵に!!』って声が増え始めて、慌ててた所に王家からの打診で、喜んで放り投げたっぽいね。

現奥さんとの娘さんは、『私が結婚したかった!』って駄々こねたみたいだけど、我儘聞いて王家に交渉する根性も、王家を蹴って低い身分に嫁がせる根性もなく、黙殺。

だから、見えてるよりも環境が悪いのよ」


「まあ…、よくそこまで調べられるね」


「おしゃべりな使用人はどこの家にだっているものだよ。

特にお茶会なんて、こんな話題ばっかだし」


「早く結婚しろって言われる意味がよく分かるよ…」



何でもないようにアイリスは言うが、正直、男性陣の集まりでは手に入らない情報のオンパレードにルーカスは苦笑する。



「それで過剰に演技が入ってたわけか」


「そゆこと。私からもフォローはするけど、自己肯定感なんかすぐ育たないから、暫く注意深く見て甘やかしたげて。

男慣れしてないだけで、同性の傘下には優しい主人だし、慣れたら甘やかしてくれるだろうし」


「僕も甘やかしてもらうの前提?」


「逆に膝枕とかしてもらって頭撫でられたくないの?」


「…」



からかうつもりで言った言葉に、返された言葉の状態を想像して、ちょっと…、いや、かなりアリ…と思って言葉に詰まったルーカスだが、即座に現実へ意識を戻す。



「ごほんっ、…まあ、状況は把握したよ。

こちらで保護した方がいいとかあるかい?」


「ん〜、とりあえず本人に確認してみるよ。

居心地最悪そうだけど、実害あるわけじゃないし、勝手には決めれないかな」

(ドアマットヒロインっていうには恵まれてんだよね)



浮気するクソ野郎な侯爵はチキンで、周りの目を気にして愛情以外は与えているし、継母と連れ子の娘は、自分にドレスと宝石が与えられれば、カリナに興味はさしてなく、というか、侯爵家の金を増やすので、放置するだけで金を産む金の卵か何かだと思ってる節がある。



(夫のことを清々しいくらいATMとしか見てないもんな、奥さん)



彼女は、お花畑過ぎて、自分のことしか愛してないので、前の妻の子だろうが興味がないのだ。



(まあ、侯爵が嫌ってるって安心感があるからかもしれんけどね)



自分以上に夫が嫌ってれば、わざわざ虐める理由もないのだろう。



(少なくとも、彼女にはなかった。それよりも、宝石とドレスとそれを自慢できるパーティーが大好きだったから)



なので、金を産む継子は放置したのだ。



(ネグレストといえば、ネグレストだけど、使用人が世話してるから、ネグレストじゃないといえば、ネグレストじゃない)



そんな絶妙にドアマットに足りないのが、カリナ・スタードールなのだ。



(まあ、現実ならドアマットなんてならんのが1番だよ)



その後ハッピーエンドとはいえ、苦しい幼少期を味わいたい人なんざ居ないだろうとアイリスは思っている。



「はあ…、でも、そこまで状況が悪いとはね。

…今の侯爵家の繁栄も彼女のおかげだろうに、何が不満なんだか…。

僕は、もっと金の卵を逃したくないと愚図られると思ってたよ」


「今の奥さん達は、お花畑だから、その計算は無理でしょ。

何とかなるって思ってそう。

侯爵は、自分よりも優秀で家を繁栄させてるからこそ、コンプレックス刺激されて、早く出てって欲しいんじゃない?」


「没落するじゃん」


「没落はしないよ。勢力が元に戻るだけで。

無能ではないからね。…有能でもないけど」


「いーじゃん、いーじゃん、国からすればブイブイ言わせてる侯爵をたてる形で、繁栄の軸を王家に取り込めて、侯爵家の台頭を潰せるんだし、万々歳じゃん!」


「「…」」


「え!?何、その目は…?!」



一言興味なさげに口を挟んだネイトの言葉をルーカスがにっこりと微笑みながら、最後に侮蔑するように付け加える。

そんな2人に、アイリスは明るく良い側面を言ったつもりが、何故か哀れむような目で見られて動揺する。



「気にしないで。

何故、それが分かる情報収集能力と頭がありながら、機転と裏を読む能力が欠如してるのかなって思っただけだから」


「これは流石に分かるよ!?遠回しにお前バカだなって言ったって!!」


「直接言って欲しかった?バカだね」


「カーー!!これだから、腹黒男は…!!スタードール侯爵令嬢、考え直して!!絶対もっと良い男がいる!!こんな腹黒性悪男よりも絶対!!!!」


「残念だけど、もう婚約者同士だから、他の選択肢はないよ」


「ああ!!可哀想なスタードール侯爵令嬢!!こんな性癖ねじ曲がってそうな腹黒性悪男と結婚するハメになるなんて…!!」


「それを手助けするのが君の仕事だよ?」


「そうだった」



ポンポンと続く会話の隙を見てネイトは口を開く。



「ねぇ、もう報告終わった」


「ん?ああ、あらかた聞きたいことは終わったよ」


「なら、帰るよ」


「うえ!?」


「ルーカスはまだ仕事あるんだから、雑談で居座ったら問題でしょ」


「あっ、そっか」



いつもの調子で居座りそうになっていたアイリスは、ネイトの言葉ではっ!とする。



「じゃあ、またお茶会の時にでもゆっくり話そう」


「その時は、スタードール侯爵令嬢も呼ぼう!

救世主繋がりとはいえ、異性が2人もいるお茶会なんて不安だろうし!」


「ああ、確かにそうだね。

君はもちろん、リエラもスタードール嬢と関係があるみたいだし、疎外感を感じることはないだろうからね」


「そこら辺は、私とリエラが上手くやるよ」


「ああ、頼むよ」


「また…」


「ネイトもまたね」



ルーカスに手を振って、アイリスとネイトは、ルーカスの執務室から出て行く。



「…アイリスは、この後時間ある?」


「ん?別に夕方までなら予定ないよ」



夕方からは、いつもの婚活パーティーである。



(だる…)



いい加減、ちょっと疲れてきた気はしている。



(婚活ってメンタルやられるんだよねぇ…)



何人いても良い友人ではなく、たった一人の結婚相手を探す作業なので、ちょっと良いなって思っても逆に相手にされないことが多いので、もしかして自分って魅力ない…?と自尊心がベキベキ折られていくのだ。



「…なら、ちょっと市井を見て回らない?」


「え?」


「それとも嫌…?」


「めっちゃ行きます!!!!!!」

(最推し可愛ぇえええええええええええ!!!!!!!!!!!!!)



不安そうに口を一文字にして、眉をひそめて、首を傾げるのは、



(反則でしょう!!!!!!!!!!)



そう声を大にしてアイリスは叫びたかった。



「…ホント、僕の顔好きだよね」


「うん、大好き!!」

(最推しだからね!!!!)


「っ〜〜〜〜〜!!!」



自分で言っといて真っ赤になってしゃがみこむ所まで本当に可愛い!!!!!とアイリスは、この感情を誰かと共有したかった。

アイリスは、同担歓迎派だったので。



「ほら、行こうよ!」



面白がって、アイリスはネイトの袖を引っ張る。



「ああ、もう!分かったよ!!」



それが今の2人の距離だった。



ブクマしてくださってる優しい神々ありがとうございます!!

おかげで18話でブクマ18!!!!

快挙だ!!!と舞い上がって喜んでました!!ありがとうございます!!!!


とりあえず、カリナとルーカスの関係は動き出したから、ちょっと飛ばして次の恋愛音痴に行くか、もう少し、カリナとルーカスで掘り下げまるか迷い中…。

一緒に観劇とか今回話題に出たお茶会とかさせたいけど、ネタが思い浮かぶか…。

必要なら捻り出すけど…、サクサクいって欲しいとか、掘り下げてほしいとか、要望ありますか?


ここまで読んで頂きありがとうございます!

良ければ、下の★マークから評価してもらえれば、励みになります。

よろしくお願いします!!!!(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈⋆)

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