三度、斜め45度にカッ飛ぶカリナお嬢様
【登場人物】
《アイリス・ラブレー》
・主人公
・乙女ゲームのサポートキャラに転生した。
《リエラ》
・乙女ゲームのヒロイン
・フェドートとゴールインした。
《ルーカス・アバンダント》
・乙女ゲームの攻略対象の王太子
・リエラが友情度しか上げてなかったので親友だと認識している。
《カリナ・スタードール》
・リエラとゴールインしなかったルーカスの婚約者に選ばれた乙女ゲームに登場してない侯爵家令嬢
・ルーカスとお互いに尊重し合える関係を築きたくて、アイリスに相談したが…。
《パティ・ブレナン》
・カリナの元乳母の侍女
《ファニー・ファッド》
・カリナの取り巻き兼侍女
・パワフルな子リス系子爵令嬢
「私、意地っ張りで甘え方が分からないけれど、貴方を支えたい気持ちだけは本物です。
私、意地っ張りで甘え方が分からないけれど、貴方を支えたい気持ちだけは本物です
私、意地っ張りで甘え方が分からないけれど、貴方を支えたい気持ちだけは本物です。
私、意地っ張りで甘え方が分からないけれど、貴方を支えたい気持ちだけは本物です。
私、意地っ張りで甘え方が分からないけれど、貴方を支えたい気持ちだけは本物です。」
「ええっ、と…、これは…?」
翌日、出勤したアイリスは、ソファに座って真剣な顔でブツブツとアイリスが、昨日カリナにルーカスに伝えた方が良いと言った言葉を繰り返す姿に困惑する。
同じ時間に出勤してきたファニーもビックリしているらしく、大きな目が、さらに大きくなってこぼれ落ちそうなくらいだった。
そして、アイリス達よりも入りも終わりも長いパティだけが、苦笑している。
「アイリス!
私、今日、ルーカス殿下にきちんと伝えるわ!だから、サポートお願いね!」
「ええっ、と…、伝えるとは?何をでしょうか?」
「もちろん!私、意地っ張りで甘え方が分からないけれど、貴方を支えたい気持ちだけは本物です。って!
他に何かアドバイスあるかしら?」
(なぜ、そうなった…!!!)
私が悪いのか????とアドバイスの仕方??言葉のチョイス??何が悪かったんだ!!!と思考を巡らせてカチンっと固まるアイリスの背を小さな手が優しく叩く。
「ラブレーさんは、悪くないですよ」
愛らしい顔に年相応の苦笑の表情を浮かべて、ファニーが励ましてくれる。
「ありがとう。ファッドさん」
第三者にそう言ってもらえると安心すると思いながら、とりあえず、またも斜め45度にカッ飛んだカリナの軌道修正を行うことにする。
パティが小さい声で「ごめんなさい。一応お止めしたのですが、『失敗したくない』の一点張りで…」と申し訳なさそうに、アイリスに声をかけて来たので、「お任せ下さい」とだけ返しておく。
(これが私のお仕事ですから!)
アイリスは、スっとソファに座るカリナの横に片膝をつけてしゃがみこむ。
「では、まずアドバイスを一つさせて頂きます」
「ええ」
「その繰り返すのをやめましょう」
「え…?」
アイリスの言葉に嬉しそうに頷いたカリナは、その後に続いた言葉にキョトンとする。
「でも、そう言った方が良いと言ったのは、ラブレーよ?
練習しないと緊張で、噛んだり、言葉が飛んでしまうかもしれないわ」
「それの何が問題でしょうか?」
「問題大アリでしょう?
そうなったら上手く伝わらなくて、ルーカス殿下からの評価も下がるわ。
だって賢い女性に見えないもの」
何故!!何故!そうなるんだ…!と痛む気のする頭を抱えながら、アイリスはカリナに目をしっかりと見つめる。
「カリナお嬢様、カリナお嬢様が繰り返されているのは“私”の言葉です。
私の口から出た、一期一会の言葉です。
“カリナお嬢様”のお言葉ではありません。
カリナお嬢様は、祝辞の原稿だけを見てするスピーチに、素晴らしいと感動されるとお思いですか?
誰かが代理で書いた原稿を丸暗記して、心も込めずに、話すだけで感動されるとお思いですか?
拙くとも、相手のことを思い、心から出てきた言葉こそ、人に伝わるのだと、私はそう思っております。
だから、私は、私の言葉を丸暗記しているだけのカリナお嬢様のお言葉が、ルーカス殿下に伝わると思えないのです…」
「なら…、どうすれば…」
キュッと迷子の幼子のような不安げな表情で、戸惑い揺れる瞳がアイリスを縋るように映す。
「まず、私の言葉をカリナお嬢様は、どう思われますか?」
「そうね…、間違っていないと思うわ。
ルーカス殿下を支えたい気持ちも、甘え方が分からないのも本当だもの…」
「でしたら、苦手な理由を付け加えるとか」
「言い訳だわ。
どんな理由があろうとも、ルーカス殿下の婚約者に選ばれたのですから、ルーカス殿下に納得していただける女性にならねばならいのです」
(う〜ん、頑な!!)
甘え度が0なだけあって、頑なに甘えを切り捨てていくスタイルに、ちらりとアイリスの視界の端に映ったパティとファニーも苦笑している。
「はあ…、代表挨拶などの方が楽だわ。
アイリスの言葉を使ってはダメとなると、考える時間が足りないわね…」
う〜ん…、悩むカリナの横でアイリスは確信した。
(これは、荒治療必須…!)
そうと決まれば、あとは行動に移すだけである。
「カリナお嬢様、本日のルーカス殿下とのお話、私が良縁と結婚の聖巫として、進行をさせて頂いてもよろしいでしょうか?
絶対にカリナお嬢様に不利益になるような真似は致しません」
「まあ!それは心強いわ!」
アイリスの言葉に、悩ましげだったカリナの表情がパッと明るくなる。
カモミールのような愛らしくも明るくなる花がバックに咲いている気すらするとは、アイリスの感想である。
「アイリスがいれば百人力ね!」
(ごめん…、荒治療なんだ…)
カリナには、ショックが大きいだろう事態を引き起こそうとしているのに、キラキラ笑顔でそう言われると、座りが悪くて引き攣りそうになる頬を根性で留める。
「アイリーー」
──コンコン
「カリナお嬢様。ルーカス殿下がお見えになられました」
「今行くわ」
察しのいいカリナの目を誤魔化すことは出来なかったが、呼ばれた名前は言い切る前に、運良くルーカスの迎えが来てくれたことでカリナは立ち上がった。
「…信じていいのよね」
「嘘はございません」
「…」
立ち上がったカリナに、状況的に見下ろされる形になりながら、不信そうな強い口調で確認される。
もちろん、カリナの不利益になる気はないので、そこはしっかりと否定する。
そんなアイリスからは、先程のような不自然さは見当たらず、カリナは、不可解げに眉を顰める。
「…とりあえず信じるわ」
出会った当初からのリエラ越しの信用を壊してしまったらしく、カリナの対応が少し冷たくなったことが少しだけ悲しいと思うも、
(まだ、何も成し遂げてないから仕方ないよなぁ…)
そう諦めるしかない。
カリナに信頼されるだけの何かをアイリスは何もしていない。
少なくともアイリスは、カリナに「彼女の嘘は自分を傷付けない」。そう思われる関係性は築けていないのだから。
「本当に不利益はないんですよね」
ルーカスのいる応接室に向かう途中の廊下で、カリナから、いつもより少し距離を置いて歩くファニーに、じとりとした目で確認される。
(目に光がねぇえええ!!!!!!)
カリナガチ勢の怒りに怯えながら、アイリスは、カリナとの距離があるのを確認し、口に手を当ててそっと伝える。
「不利益はないですが、…ショック療法になります…。
想定以上に頑ななので…」
「あ…」
アイリスの言葉にファニーも理解した。
カリナの全面的な信用に、荒治療で対処しようとしている罪悪感から不自然になり、それがカリナにバレたのだろうと。
そして、ファニーもまさかカリナがここまで恋愛音痴だとは思っていなかったので、アイリスの提案は否定出来ない。
故に、
「のちのフォローは私がしますので、遠慮なくやって下さい」
「ありがとうございます」
アイリスの背を押したのだ。
もし、仕事中で主人の後ろを歩いていなかったら、ガシッと手を固く握り合っていたいただろう。
「カリナお嬢様がお着きになりました」
「入れ」
案内の使用人の言葉に、ルーカスの声が中から聞こえた。
(さあ、戦争の幕開けだ)
ぐっとアイリスは、気合を入れる。
今回はわりとつまんないかもー!!
導入編です!!
前回、イイネ3つも貰えました!!ありがとうございます!
ブクマ??ちょっと何言ってるか分かんないですね(;・3・)~♪
何がダメだったんだろ〜〜〜!!!!と思いながら今日も書いてます!
だって、読んでくれる人が居るのが嬉しすぎるので!!
次回、もしかしたら4日後になるかもしれないので、ご了承ください。m(_ _)m
ここまで読んで頂きありがとうございます!
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