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団欒

「クゥ〜」


「やっぱり訓練の後の’ひとっぷろ’は最高だよね!ねぇ?君もそう思うでしょ?」


「は…はい!とっても…」



ー ジエル・イノリス・黒髪の青年の3人からなる勇者パーティー”新生エース・ハインド”は、拠点であるジエルの自宅に建設された下町の銭湯並みの広さを誇る浴槽に3人は仲良く横に並んで混浴を満喫していた。



(いやぁ〜!やっぱり緊張するな〜女性二人に俺一人!シュチュエーションは最高なんだけど、やっぱりまだ慣れないな〜あと、室内って言う状況も相待って、湯気で前が見えずらい事が俺の緊張を少しだけ和らげてくれている)


現実世界からゲームの世界に閉じ込めれてしまった黒髪の青年は、この世界で自分の存在を認めてくれたジエルに恩義を感じ、そのジエルの力になるべく日々の修行を全力で取り組んでいた…


「ところで、二人はよくあんな作戦思いついたわね?」


ジエルは先程行われた二対一の戦闘訓練で、青年とイノリスの二人の連携に最後の最後で追い込まれていた。


「あれは全部ヤツの作戦なんです!そして、ヤツは僕にこう言いました!」


『…』



ー 『俺が所持している迷彩パウダーは、1分間ふりかけた人物や物の姿と気配を消すことできる!まずイノリスが、俺がパウダーをふりかける時間と俺への意識を逸らす為に、ジエルさんに特攻してくれ!俺はタイミングを見て、ジエルさんの背後に忍び寄る…その後、俺が土魔のカケラでジエルさんを拘束する!

ジエルさんは、雷魔法を使用する事を俺は視認している。雷魔法の弱点である土魔法をジエルさんに使用すれば効率よく彼女を拘束する事が可能な筈!その為、ジエルさんはちょっとやそっとじゃ相性の悪い土魔法から逃れる事は出来ないはず!

もし俺の攻撃が不発に終わったとしても、俺達のコンビネーションでジエルさんの隙を生む事は可能だ!そんな隙が生まれたジエルさんへお前に渡しとくもう一つの土魔のカケラでジエルさんに攻撃しろ!きっと俺の攻撃は、お前の攻撃の布石になる!

そして…最後の最後はお前がこの訓練を終わらせるんだ!きっとお前の方がスピードもジエルさんを追い詰める筈!だから最後の最後は、お前が決めろ!!』


「…」


青年が計画した作戦が、戦いのプロである勇者ジエルを追い込んだ…ジエルは自身の追い込んだ二人に可能性を感じざるを得なかった…



「雷魔法が土魔法と相性が悪い事に着目した事も褒めてあげる!けれど、それは私自身も理解している決め事よ!私は雷魔法を封じられても、私が使用できるもう一つの火魔法があれば、雷魔法が対応出来ない状況に遭遇した時にも臨機応変に対応出来るの!

ま!そんな事より、君達二人は私の想像以上の人物よ!まだまだ欠点も多いけれど、その欠点以上に長所が光っていたわね!改めて勇者パーティーの一員としてこの場所に連れてきた事は間違えじゃなかったわ!」



『ニッコッリ!』



青年はジエルに褒められる事が何よりの至福の時間なのだ…しかし、そんな瞬間はジエルの一言により、一瞬で緊張感のある場面へと変化してしまった…





「あとね…私!気づいた事がるんだけど、君って何者?」




(え!?)


ジエルは訓練中や日常の会話の中で、青年のこの世界の秩序に関する知識に関する”ムラ”に違和感を覚えていた。


「君!この世界の知識にムラがありすぎるのよ!私も知らない”冒険の極意”みたいなモノを知ってる時もあれば、この世界の常識を全く理解していない時もある…以前君は、自身の記憶がないと言っていたけれど、それはどこまで覚えていて、どこまで覚えていないの?」



ー そもそも青年にこのゲーム世界で唯一扱える特殊能力を身に付けていた…それはメニュー画面の事である!アイテムの詳細や使用方法は自身のメニュー画面で確認する事が出来るのだ。メニュー画面の効果はそれだけではなく、メニューを開いている時の精神世界中にはゲームの世界の時間を停止する事が可能だった。

メニュー画面の特性を最大限に活かした青年は、緊張感のある戦闘中でもメニュー画面へ一旦逃げ込み、頭の中を整理する事により精度の高い作戦を戦闘中に思いつく事が可能であった。

しかしながら、メニュー画面とはあくまで精神世界…メニュー上でアイテムを使用したり装備品の付け替えるといった現実に干渉する行為は出来ない為、最終的にはメニュー画面へ逃げ込む行為はただの現実逃避に等しいのである!



ゲームのプレイヤーとしてこのゲーム世界に降り立っている青年という存在は、この世界にとっては不可思議な異物そのものである。しかも青年はこのゲームの知識がうる覚え為、メニュー画面で得た正確に確認出来る情報以外は殆ど”感”で行動している為、ジエルの芯を食った指摘にぐうの音も出ない状況であった。



「…えーと…あの〜うん…っと」



この世界の秩序を乱さんとして取った青年の嘘にも限界があった…この世界に対する中途半な常識を携えている青年よりもこの世界の住人であり、勇者としてこの世界の理を理解し、この場にいる誰よりもこの世界のルールを熟知していたジエルに問答対決に敵う人物は存在しなかった…

それを踏まえた上で青年はジエルの指摘にどう返答すればいいのか決めかねずに、ただただあたふたするしか無かった…


そんな中、動揺を隠せなかった青年に普段から仲の悪いイノリスから驚きの助け舟が投げられた!


「…すませんジエル様!」


「横槍を入れるつもりは無いのですが、ヤツの代わりに捕捉させて頂けないでしょうか?」


「あら?イノリス!貴方が彼を庇うんなんて珍しいわね?」


「ヤツに対してはいつもフラットに対応しているだけですよ!」


「…まあいいわ!話を続けて!」



「所でアンタ…奴隷王のことは覚えているか?」


唐突に、見覚えのない人物の名前をイノリスの口から聞く事になった青年は、必死に脳内で奴隷王と呼ばれる人物の名前を検索してみた…




(…奴隷王?聞いた事ないな? 二周目ででくるキャラクターの事かな?)


「…いや!聞いた事ないな!」


「やはりどうだったか…」


青年の脳内データーに奴隷王が存在しない事を確認したイノリスは、青年に対して抱いたジエルの懸念を払拭する為に、とある説をジエルに解説する事にした。


「すみませんジエル様!僭越ながら僕の口から奴の記憶が曖昧な理由に関係する奴隷の秘密を説明させてもらいますが宜しいですか?」


「…ええ構わないわ」


イノリスから語られるであろう奴隷達の秘密に、若干心当たりがあったジエルは、自身の表情を少し曇らせていた。


「実は…奴の記憶が曖昧な理由は、ヤツだけの問題ではなく奴隷全体の話でもあるのです!そう…僕たち奴隷には、『マジック・タトゥー』が存在する…それはこの世界に存在する全ての奴隷に刻まれた一生消えることの無い烙印…」


ジエルは、イノリスの『マジック・タトゥー』と言う言葉に過剰に反応し、自身の胸に手を当て恐怖と怒りで小刻みに震えていた…



「ジエル様もご存知だとは思いますが、『マジック・タトゥー』には奴隷の能力を制限し、一定以上の能力の向上と一切の魔法能力を封印しているのです…」




(待てよ…もしかして俺がレベル30以上になれないのは、その『マジック・タトゥー』の影響なのか?)



青年は自身のステータスを確認した時にレベルの項目が9/30と表示していた事に疑問を抱いていたのだ。


「僕たち奴隷には、自身の主人に反旗を翻せないように、奴隷として認知された時から能力を制限できる烙印をその身に刻まれるんです…」


『サッ!』


マジック・タトゥーについての説明中だったイノリスが突如その場で立ち上がり、ジエルと青年に見える様に自身を体幹を隠していたタオルそっと捨て去ってみせた…


「おおおお…おいイノリス?お前一体何を?」


大胆な行動に出たイノリスに対して最初は目のやり場に困っていた青年だったが、彼女の”それ”を目の当たりにした青年は何とも言えない感情が自身の中で渦巻く事になった…


『……』


『!?』


「お前!それって」


「ああ!勿論僕にあるのさ!消える事のない奴隷の証明が!」


『!!??』


イノリスは同じ奴隷である青年に見せ付けるように、自身の腹部にある『マジック・タトゥー』を二人に見せつけた!


イノリスは恥ずかしそうに、目線を二人から逸らしながら、自身に刻まれた宿命という名の烙印の重さを身をもって表現してくれた。


「もういいわ!イノリス!もうわかったから…」


ジエルはそうイノリスに伝えると、湯船に漂うイノリスが羽織っていたタオルを拾い上げ、イノリスの体幹に被せてあげた…


ジエルの気遣いにより冷静さを取り戻したイノリスは、顔を赤らめながらその場でしゃがみ込んだ。




「すみません!取り乱しました…もう落ち着きました…」


「イノリス…本当に大丈夫?」


「はい…ありがとうございます!…では改めて、マジック・タトゥーを生み出した奴隷王ギュスターヴについて説明させて貰います」




「『奴隷王ギュスターヴ』とは、奴隷達にマジックタトゥーを刻み、奴隷という存在を作り上げる事の出来る唯一の存在で、名前以外全てが謎に包まれた奴隷達の王と呼ばれる存在なのです…

ギュスターヴは自ら、各国の権力者達に接触を試みており、自身の奴隷達を高値で売りつけているのです…そんなギュスターヴは、もちろんエスペランス学園の学園長にも商談を持ちかけて来ました。

クロコの先輩が言うのは、学園長は少しでも多くの罪のない奴隷達をギュスターヴから買い取って、奴隷達の人権や貧困を減らすために自身の目の届く学園へ招き入れているらしいです…勿論、学園長もギュスターヴの顔を見た事が無いそうです!」


「次に『マジック・タトゥー』についてです。マジック・タトゥーにはジエル様も知らない副作用がございます!それは…”記憶の欠損”です!

記憶の欠損には個人差があり、奴隷になる前の記憶を残した者もいれば、全く記憶がない者もいます!僕のように物心がつく前に奴隷として引き取られている場合は、勿論奴隷になる前の過去の記憶は存在しません!その為…奴が記憶が曖昧なのは、マジック・タトゥーの副作用と見て間違い無いでしょう」


「…僕からの説明は以上だ」


(なるほど…そもそもゲームには様々な裏設定や各キャラクターのバックボーンが存在しているのは理解出来る…実際にこの世界に没入して分かった事は、現実世界でも起きている社会問題や貧困問題がこのゲームを感情移入しやすくしている理由の一つでもある事だ…しかし、奴隷が増え続けるこの世界の闇のプロセスに無償に心の奥を揺さぶられてしょうがない…)



感情を掻き乱す奴隷達の存在理由を知った青年は、物語を進める事によって出会うであろう奴隷王の存在を忘れないでおこうと心に誓っていた。


そんな中、イノリスによる奴隷に関する解説のおかげで、ジエルが青年に対して抱いていた不信感が払拭されてのであった。


「辛い話をさせて悪かったわ…イノリス!けど…これで君の素性も理解出来たわ!」


「ははは…それなら良かったです」



(あっぶね〜何とかイノリスの身を削った奴隷の内部事情の説明のお陰で、俺の面目が保たれた訳だ!よしよしっと!)


「ちょっと雰囲気も暗くなっちゃったから、本来私が君達に説明したかった話を私がユーモアを交えてこの世界の魔法について楽しく説明させて貰うわね」



自身の中に生まれたモヤモヤが弾き飛んだ事により、改めてジエルからいつもの笑顔が飛び出した。笑顔のジエルは何を思い立ったのか、何処からともなくシャンプーハットを取り出し、自身の頭に被せ!彼女なりの知的なポーズでその場を収めた。


「か…かっこい」


イノリスは相変わらずジエルが何をしても、尊敬の眼差しを絶やすことは無かった…


「オッほん!では私からこの世界の魔法について説明させて貰うわよ!」


「まず魔法の種類なんだけど、大まかに分けて三種類が存在するの!攻撃魔法・補助魔法・回復魔法の三種類があるの!この世界の住人には、魔属まぞくという自信が持っている魔法の属性が存在してるの!戦士や魔法使いはその魔属を用いて、魔法や特技(剣術など)に組み合わせて戦闘を行うの!そんな魔属には理由は解明されていないんだけど一人2種類までしか自身に備える事が出来ないの」



(なるほどね!ジエルさんが使用していた火と雷の魔法や特技は、ジエルさんに備わってる元々の属性の事なのだろう…備わっている属性が2種類だけなのはちょっと引っ掛かるかるけど、きっとゲームのプログラムの問題なんじゃないかな…)


青年は、改めてこのゲームに存在するプロブラムや細かい設定について考えさせられていた…


「ちょっと難しい話になるんだけど、本来人間には魔法が扱えない生き物らしいの!そんな人間が魔法を扱える理由の一つに、食物連鎖が関係しているの…私達に備わってる魔属に切っても切れない関係なのが『マナ』なの」


「そもそも『マナ』とは、この世界の全て自然<大地・水・海など>から発生する天然の魔力エネルギーの事を指すの!そんなマナから生まれたのが、『クオーツ』なの!ちなみにマナと魔素の大きな違いは属性が有るか無いかなの。例えば、大地から生まれたマナは土属性のクオーツを作り出し、それが土魔の魔石を生み出す。

次は魔素の説明ね!魔素の事は、=空気だと思ってもらって構わないわ。魔素は主に空気中に存在し、その全ては属性を持たないの。魔素は属性が無い代わりに、全ての属性に変化する能力を持っているの。そして、自然=マナは無属性の魔素を吸収して、また新たな無属性の魔素を放出するの!

これを魔力代謝と呼び、常に新しい魔素を全世界に循環させているの。何より新し魔素がこの世界に浸透しなとこの世界の自然は段々と消滅してしまう…それを防ぐためにマナは能動的に魔力代謝を繰り返し、世界の秩序を一定に保つために代謝を繰り返しているの」



「そして、私達に魔属が付与される1番の要因は食事よ!」



「家庭環境にもよるけど、例えば水属性が宿った飲み物や動物を多く食べ続ければ、その人間の体内で水属性のマナが蓄積されて、それがある一定値まで貯まると、魔属を作り出す準備が整うの!あとは、本人の努力次第で自身の体に魔属が備わり、実際に水の魔法が使えるようになるの」


「なるほど〜この世界の食物連鎖は魔力を持たない人間に魔力を開眼させるために必要な行為なんですね?どんなに空気中の魔素を体内に取り込んでも、魔素自体が無属性だからどんなに深呼吸しても人間には属性が付与しない…魔素でなくマナが宿った食べ物や飲み物を摂取する事でその人間にどの魔属が開眼するか決まってくるんですね!」


青年は、ジエルの説明を自身の中で咀嚼くし、うまいこと自身に取り込んで見せた。


「そこの君!…流石ね」


ジエルは青年を指差し、誉めると同時にウインクまでサービスしてあげた。


「もうちょっと話は続くわよ!疲れてない?…うんうん!じゃあ!続けるわよ…」



「最初に、魔属は一人二つ存在するって伝えたけれど、例外もあるの……それは、伝承よ!実は私、三つ目の魔属を所持しているの…その要因が勇者よ!」


「私は試練の洞窟で三つ目の魔属…光魔法を習得するために試練の洞窟で伝承の儀を執り行い、見事!光魔法を自身の魔属に加えることに成功したの!そして、光魔法を習得した私は、晴れて勇者を名乗る事が出来たの!何と言っても、光魔法とはこの世界に存在する、闇魔法と双璧を成す最上位の魔法のことを指すの!ちなみに、闇魔の魔属を所有している者を魔王と呼び、そんな強大な闇魔法を扱える魔王に対抗する事の出来る唯一の存在が勇者なの!」




青年は、ジエルの魔法に関する説明を聞く中で、とある疑問が頭に浮かんでいた。それは、実際にこのゲームをプレイしていた時に使用していたキャラクターの一人であった『ルビィ』が複数の魔法を使用していた所を思い出していた。


「…所で、この前学園で出会ったルビィさんは赤魔道士を名乗っていたけど、彼女の魔属も2種類だけなんですか?」(俺が認識しているこの世界の赤魔道士は、5つの元素魔法を扱えるはず…)


「やっぱり鋭いわね君!勿論先輩の魔属も2種類よ!けれど先輩は、光魔法の伝承とは別の方法で元素魔法である5つの属性全ての魔法を扱えるの!その習得方法は…世界に存在する五大属性の神と契約を結ぶこと…この伝承方法も光魔法と同じ方法よ」



「一回話をずらさせて貰うけど、魔法の基本元素は5つ存在するわ!それは、火・水・土・風・雷…この事は前に教えた事があると思うんだけど、この5つの属性に一体ずつ神が存在するの!そんな神々の血液を体内に取り込んで精神世界で神と交信をするの。その後、それぞれの神との対話に成功した暁にその属性の魔法が扱えるようになれるの!そもそも魔属を取得すると言う事は、その属性になると言う事!簡単に説明すると、耐性があるか・無いかよ」


「先輩は5つの魔法を扱えるけれど、5つ全ての魔属を取得した訳じゃないから、取得していない属性の魔法耐性は備わっていないの!魔属の取得とはその属性が体の一部になる事。その為、その属性の攻撃も出来るしその属性に強くもなるの!結局の所、伝承をしても得意不得意は変わらないって話よ!」



ジエルによる伝承の話がひと段落した後に、青年に一つの疑問が生まれた。


「…もしかして、俺も神と契約出来れば魔法が使えるようなるんですか?」


魔法が使えない青年から魔法を取得する為の必然的なの質問がジエルに飛んできた。


「そうよね…そうなるわよね…ごめんなさい!マジック・タトゥーが刻まれている人間は、神に嫌われてしまうの…実際に神の血液を飲み込もうとした奴隷の一人は、体が反射的に神の血を吐き出してしまうらしいわ…」


青年は薄らであるが、このゲームにおける自分の立ち位置は決して高く無く、『強くなる事が望まれていないキャラクターなのでは?』と考える様になっていた。


「良いんですよ!気にしないでください!俺はもう大丈夫ですから!だって俺には魔石がありますから!…そうだ!せっかくだし今度、氷の魔石を採掘しに行きましょうよ!あれって結構強力なんですよ!」



ジエルは、またしても青年の言葉に対して申し訳なさそうな表情を見せていた…


「その事なんだけど…君がブラックドラゴンの討伐に協力してくれた時に使用した、氷の魔石にはクオーツは存在しないの!」


「え?どういう事ですか?じゃあ、あの魔石は一体?」


「勿論きっちり説明させて貰うわ!その前に魔法のランクについて説明させてもらうわね!まずは魔法の基礎とは、五大元素と同じで、火・水・風・土・雷になるわ!それぞれに基本となる魔法の呼び方が存在するの!火魔法は、ファイヤ。水魔法は、ウォータ。土魔法は、アース。風魔法は、ウインド。雷魔法は、サンダ!」


「そして、重要なランクについて何だけど!これは元素の魔法は関係なく、1段階の低出力低範囲・2段階の中出力中範囲・3段階目の高出力広範囲の3段階に分かれているの!例えば、火魔法の1段階だったら、そのままの『ファイヤ』2段階はファイヤの前にMメガを付けて『Mファイヤ』3段階目は、同じ様に名前の前にGギガを付けて『Gファイヤ』と呼んでいるの!あと補足すると、さらにその上に幻と呼ばれるのもう一段回上が存在するらしいわ…」



「そろそろ本題に戻るわね」



「この世界で発掘出来る攻撃魔石のクオーツはこの五大元素の5種類に3段階の出力を加えた、合計15種類のみよ…そして、君が欲しがっていた氷の魔石は、水と風の複合魔法である氷魔法の『アイス』の力が備わっているの!複合魔法は氷魔法以外にも複数存在しているわ!例をあげると、火と風で爆魔法の『ボム』とかね!」



(複合魔法…これを理解出来れば俺の戦術の幅か広がるかもしれない…)



青年は、ジエルによる魔法の説明を受け、何やら新しい戦術を思い付いていた…


「複合魔法には神という存在は存在しないのだけれど、噂によるとその属性の精霊や召喚獣は存在しているらしいわ!そして、君が一番知りたがっていた複合魔法の魔石の入手方法はと言うと…氷の魔石なら氷魔法を扱う魔物を討伐する事よ!!」


「何より複合魔法の魔石が珍しいと言われる要因は、入手経路が魔物の討伐のみに加えて入手出来る確率も低い事がそう言われる要因なの…その為、時間と労力が必要な複合魔法の魔石の調達はもう少し先でも良いかもね…」



「そうだったのか…氷の魔石がそんなに珍しいアイテムだなんて知らなかった…」


青年は強さを求める度に、何度も何度も壁にぶつかってしまう…彼は自分自身の運命を呪い、自分がこの先強くなる事が一生叶わないとまで考える様になっていた…純粋に強さを求める青年に対して、青年が既に待ち合わせている本当の強さを彼に伝え為、ジエルは愛の籠ったメッセージを青年に寄せた。


「大丈夫!」



「え!?」


「君は十分強いわ!珍しいアイテムも強力な武器も君には必要ない!だって君…いや君達には私がいる!そして、私にも君たちがいる!」


「ジエルさん…」


「戦いとは一人行うもので無い!仲間と一緒に強力して未来を切り開くもの!何より人間を強くするアイテムは『信じる心』なの!自分自身や仲間という存在を信じ抜く事が強くなる為に必要な要素なの!強くなる素質はすでに君達は手にしているわ!あとは、それを信じる気持ちがあれば君たちは明日の試験を合格出来る!だから、今日はゆっくり休んで、明日自分の力が最大限に発揮できるようにイメージしておく事!それが何よりの強くなる方法よ!」


ジエルからの熱いメッセージを受け取った青年とイノリスは、明日の試験で自分達が出来る全てを出し尽くす事を心に誓い、浴場という名の会議室を後にした…


その後の二人は、自分達がチムニー洞窟攻略へ参加メンバーに選ばれる事をイメージしながら寝床についた!

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