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物々交換

グシップの街には、魔物の侵入を塞ぐための高遠な防壁が設けており、街へと進入できる唯一の門は分厚く、不審者は何人たりともこの街への侵入は許さないと言わんとばかりの佇まいで有名であった。



「おい!お前達!通行許可書を見せろ!無ければとっととココから立ち去れ!」


屈強な一人の門番が、男性1・女性2の男女混合の冒険者パーティーらしき人物達に高圧的な態度でグシップの街への交通許可書の提示を促していた…


「はい!これよ」


門番の高圧的な程度にも屈するくなく、凛とした姿勢を崩さなかったこのパーティーのリーダーらしき女性が、掌サイズ程の白くて小さい端末を高圧的な門番に見せつけていた…


「…こ…これは!?」


「なんと!?勇者ジエル様ご一行であられましたか?大変失礼いたしました!どうぞお通りください!!」



女性が提示した白い端末を門番がゆっくりと覗き込むと、険しかった門番の表情がみるみるうちに和やかな表情へと豹変していった…


「じゃあ!お言葉に甘えさせて貰うわね!みんな行くわよ!!」


「どうぞ!勇者様!いってらしゃいませ」


「…」


「なんだあの手のひら返しは!」



勇者ジエルとその付き添い人でもあるクロコの女性『イノリス』とこのパーティー唯一の男性である『黒髪の青年』が門番の悪口を門番に聞こえる様に発しながら、グジップの街へ続く門を通り抜け様としていた…


「まあまあ!きっと彼はそんなに悪い人では無いわよ!緊張感を持って仕事をこなしているだけよ」


ジエル一行は、一張一弛な門番が守る分厚い門を一気に抜けると、様々な種族が入り混じる広大なクシップの街へ到着した。



「ジエル様!まずはどこに向かいますか?」


女性のクロコ『イノリス』がパーティーリーダーのジエルに、グシップの街の散策プランを尋ねていた…


「メインで行きたい所は2ヶ所!道具屋とレストランね!最後に、足りない物をみんなで相談して買いに行きましょう!」


「武器屋には行かないんですか?俺たちの装備品を調達するんじゃ無いんですか?」


このパーティーでの唯一の男性である黒髪の青年が妥当と言っても構わない程度の質問をジエルにぶつけると、ジエルの隣で楽しそうに微笑んでいたイノリスが突如、形相を変え青年に詰め寄った!


「お前如きが、ジエル様に意見をするんじゃないよ」


「はぁ?俺は、そんなつもりでジエルさんに質問をしたんじゃ無いよ」


『グググ〜』


顔を近付けながらお互いを睨みつける青年とイノリスの間に、天使の微笑みを浮かべたジエルが割って入った。


「まあまあ!二人とも!同じ家族同士、仲良くしましょう…ね?」


「こいつとは家族になった覚えはありませんよ!」


青年とイノリスは息ぴったりにお互いを否定し合った!


「二人同時に同じ台詞を言えるなんて、双子みたいね!ふふふ…」


青年とイノリスは歩きながら歪み合っていると…唐突にジエルは足を止め目的地の道具屋へ二人を案内した。


「ここが目的地のシルキさんの道具屋よ」


一つ目の目的地へ到着したジエルは、古風かつオンボロ外観の道具屋へ青年達をエスコートした。


「ここは品揃えが豊富で有名な道具屋さんなの! きっとみんなにピッタリな装備品が見つかるわ」


「…随分年季の入った建物ですね?」


「本当に大丈夫ですか?」


青年の心配を他所に、ジエルは躊躇なく道具屋へ足を運んでいた。



『カランコロ〜ン!カラン!』



「ごめんくださーい」


『!?』


「…お!ジエルちゃん久しぶり!新たなダンジョンの捜索はもう終わったのかい?」


ジエルとの親密な間柄を窺わせるこの店の店主がジエル達一向を笑顔で出迎えてくれた。


「こちらこそ久しぶりです!エンプ湖のダンジョンの案件なんですが、私には荷が重すぎて一旦保留にしました」


「そうかそうか!命には変えられないからな!ジエルちゃんの判断は正しいよ」


「…!?」


「…ところで、彼らは新しいパーティーかい?」


「そうなんです!二人とも頼もしい限りです」


「そうかいそうかい!あのジエルちゃんが認めるメンバーなら間違いないね…所で次回はどんなダンジョンを探索するんだい?」


「今度マイルストーン鉱山で発生した新たな現象を調査しようと思ってます。なので今回もダンジョン攻略を円滑に進める為のアイテムをシルキさんの道具屋で調達しに来ました!」



「なるほどなるほど…今、マイルストーン鉱山でそんな事が起きていたのか…わかった!ダンジョンで何が起きてもいい様に、いろんなタイプのアイテムを君達に提供しよう!」


「流石おじさんね!頼りになるわ!」


相変わらず愛想の良いジエルは、その笑顔で店主の気立てを刺激した。


早速、気分が乗ってきた店主は、お店の奥から珍しいアイテムの数々をジエルの前に提示してくれた。


『ドッサ!』


「流石おじさん!これだけ揃っていれば、なんとかなりそうね!」


ジエルは店主が提示してアイテムを指差し、店内に常備してあるカートにこれでもかと言うくらいに詰め込んでいた。


「回復系はこれだけあれば足りるわね!あとは、イノリス達の装備品ね!おじさん!スタンダード装備はどこかしら?」


「スタンダードならその棚の一番上だよ」


店主が片隅に佇む棚を指差すと、そこには雑に置かれた装備品が疎に陳列されていた。


「…あれだけしかないのか?しかも埃まみれじゃないか?」


青年は、埃まみれの装備品を身につける自分を想像した瞬間、ひ弱なイメージの自分が頭をよぎった。



「ごめんな!青年! そもそもスタンダードタイプは生産数が少ないし、買っていく冒険者も少ないんだ」


駄々を捏ねる青年に寄り添う様に、気立ての良い店主が青年に軽く詫びを入れ、埃まみれの装備品を青年に装着してあげた…


「青年よ!サイズも無駄にピッタリだし、コレにしなよ!」


「……」


青年は、選択肢のない装備品に少しイラつきながらも、埃まみれ装備品一式を嫌々ながら購入したする事になった。


全てのアイテムを選び終えたジエルは、店主にこの店で購入したアイテムのお会計金額を要請した。



「じゃあ!おじさん!タッチで」



ジエルは徐に、先ほども門番に提示した謎の白い端末をポケットから取り出し、タッチ決済でお会計を済ませた。


(この世界にも、タッチ決済が浸透していたのか!?…随分、最先端の設定が施されたゲームだったんだな〜)


青年は現実世界とゲーム世界が同じ決済方法になっている事に感動を覚えていた。


ジエルは購入した全ての商品を自身の目の前に一塊にすると、もう一度あの白い端末を一塊になった商品に近づけた…その後ジエルは、白い端末の画面を慣れた手つきで複数タッチすると、端末の先端から”時空の歪み”が出現した。


『!?』


そして…すぐさま、その”時空の歪み”の中にこの店で購入した全ての商品が一瞬で吸い込まれていった…


(なんだアレ!?…もしかしてアイテムボックスか?)


現実で既に浸透しているタッチ決済と非現実のアイテム収納を目の当たりにした青年は、20年以上前に作られた思えないこのゲームの世界観に強烈なカルチャーショックを受けていた。


「じゃあ!おじさん今日もありがと!また来るね!」


「はいよ!みなも気を付けてダンジョン攻略に挑みなよ〜」


謎の白い端末の多様な機能に驚く青年を尻目に、ジエルは白い端末の不思議な機能に一切気にかける事なく上機嫌にお店を後にした。


「結構良い買い物が出来たわね!」


「そうですね!」


魔法と化学が融合したこの世界の秩序を目の当たりにした青年は、改めてとんでもない世界に足を踏み入れてしまっているのだと、青年は焦りと孤独を感じざるを得なかった。


「とりあえず、欲しいアイテムは手に入れたから、予定通り食事をしながらもう一度これからについてみんなで相談しましょう」


ジエルは行きつけのレストランを新たな目的地に設定し、目的地のレストランまで道のりを雑談をしながら歩いて向かった…


目的地までの道中で青年は、冒険者で賑わう野外の露店を目撃していた。


(ん!?珍しそうな薬やアイテムがいっぱい並んでいるな。そして、豪華絢爛な武器…俺もあんなのが欲しかったな〜)


そうこうしているうちに3人は目的のレストランに到着し、食事と適度な談笑を交わしながらお互いの意見を交換をし合っていた。




そんな中、青年はこの世界へや降り立ってから生まれた新たな疑問をジエルにぶつけた。


「そう言えば、学園内の移動手段でもある青白い魔法陣と学園から自宅まで移動した落とし穴みたいな奴は、同じ魔法なんですか?」


青年からジエルへの質問のはずが、何故かイノリスが青年に説教を始めた。


「アンタねー!あの移動システムは、クロコは使っちゃいけ決まり事だったはずだけど?教育係の奴に習わなかったわけ?」


「そんなの知る訳ないし!何でお前がキレるんだよ!」


相変わらず馬が合わない二人に、ジエルは決まり事になりつつある二人の歪み合いを仲裁した。


「まあまあ! 取り敢えず、君の質問に答えるわね!ざっくり説明すると二つとも移動魔法なのは同じよ!まず学園から自宅まで移動した転移魔法について説明するわね!」



「コレは、瞬間移動魔法が付与されたアイテムを用いた移動方法よ!妨害魔法が張られている場所以外ならどこでも移動する事が出来るの!このアイテム一つにつき3人分は運べるわ!一度訪れた事がある場所ならその場所をイメージすれば、すぐにその場所に飛んでいけるの!でもこのアイテムは消費型だから、一回使ったそのアイテムを壊れてしまうわ」


「二つ目の学園で使えた転移魔法は、実は私も詳しくは知らないの…聞いた話によると、学園関係者しか使うことが出来なくて、お城を中心とした一定範囲しか移動が出来ないらしいわ!

あと、噂話で申し訳ないのだけど、エスペランス学園内に存在すると噂されている宝『クオーツ』が何やら転移魔法に大きく関わっているらしいわ!」



「学園にクオーツですって…」



イノリスはジエルの転移魔法の説明を聞いた上で、今まで疑問だった学園の秘密が少し理解できた。


「クロコ達と学園長先生が結んだ契約書に記載せれた文面から予想すると、きっとクロコ達の本当の存在理由は学園に隠されたクオーツの守護が目的なのだと私の考えは行き着いたわ!」


転移魔法の説明から派生した『クオーツ』の話が、学園を守護してきたイノリスの感情を揺さぶっていた。




「何となく理解できましたけど、結局そのクオーツってそんなに凄いものなんですかね〜?」




青年は無知なフリをしてずっと気になっていた『クオーツ』についての説明をジエルに尋ねてみた。


青年は子供の頃とはいえ一度プレイした事があるこのゲームの細かいシナリオを全く理解せずにプレイしていたのだった。


「凄いってもんじゃないのよ!! クオーツ一つで戦争が起きるほどの品物よ!」


「へ〜そんな凄いものが学園に存在していたんですね?知らなかったな〜」


「そんな勉強不足の君に私が知る限りのクオーツの知識を叩き込んであげるわ!!覚悟して聞いてね!」


ジエルはこの世界の常識に無知な青年に対して、彼女の奥に眠るサディステックな一面が顔を出していた。





「この世界のクオーツにはさまざまな種類が存在して、色によって識別されているの」


「例えば赤のクオーツは火魔法の源であるマナを生成する。黄色は雷魔法のマナを生成…といった具合に、クオーツの色はその色に関係するは元素魔法の力を生み出すと言い伝わってるいるの」



「しかし、例外もあるの…それは、透明なクオーツ」



「透明なクオーツには、元素の魔法とは別のカテゴリーに属する、記憶・空間の魔法が備わったクオーツなの!最近の研究により透明なクオーツ仕組みや活用方法が解明されたばかりなの…それが、記憶と記録のデータ化よ!」



「透明なクオーツは物質アイテムをデータ化し、アイテム等を別次元に収納する事ができるの!尚且つ自分自身をデータ化し、一度触れた事のある他の透明なクオーツへ自身の体を転移させる事も出来るの」



(もしかして、学園に隠された宝っていうのもその透明なクオーツなのかな…)



「私たちは、透明なクオーツを『セキュリティー・ブースト・クオーツ』略して、セーブ・クオーツと呼んでいるの!!今さっき君に見せた白い端末はセーブ・クオーツを砕いてカケラ状に加工した物を機械と融合させたアイテムなの!」


(この街に入国する時や道具屋で使って見せた白い端末の正体は透明なクオーツのカケラだったのか!?)


「この白い端末は、『ポータブル・ステーション』略してPS呼んでいるの!そして、透明なクオーツの力を最大限に生かす事が出来るのは今の所、勇者しか存在していないらしわ」



(なるほど…プレーヤーが何気なく使っていた専門用語はゲームの世界の住人達にはそうやって解釈されているか…それにしてもセーブやPSなんて、モロにゲームって感じだな…)


青年は聞き馴染みのある用語に密かに胸が踊っていた。




「ちょっと脱線しちゃったわね…話を続けるわね」


「そんなクオーツの一番の特徴は…クオーツが生き物という事!!…クオーツに生命が宿っていると昔から語り継がれているの!植物と一緒で人間の様に意識はないけれど、自身で地上や空中の魔素を吸収して成長を繰り返しているの!クオーツは、極端な話どこにでも存在できる…平原・土の中・海の中…様々な場所に存在し、自身でマナを生成する!」


「そんなクオーツを掘り起こして別の場所に植えたとしても、クオーツは今以上に成長する事はないの!そう…クオーツは発見された場所でしか生きていけないの…まるでこの星と繋がっている事を証明するかの様に…」


「何より大事な事は、魔石とクオーツの関係性よ!魔石とは、成長が止まったクオーツ…そう!この星から切り離されたクオーツを魔石と呼ぶの!」


「今説明した方法以外でも魔石を入手する事が出来るの…それは魔物を倒す事によって入手出来る方法よ!そもそもなぜ魔物から魔石が発見されるのかと言うと、魔物もクオーツ同様に魔素を摂取して生きながられているの。魔素を大量に取り込んでいる魔物には、体内で魔素が過剰に蓄積されて、体内で魔石が作り出している事があるの…そんな魔物を討伐した時に発見されるの魔石の一種よ」



「以上よ!何か質問は?」


「はい!君!」


青年は、このゲームの細かい設定にワクワクしながりジエルに質問を投げかげた。


「もしかして、ジエルさんが身に付けているイヤリングもセーブ・クオーツの系統によるアイテムなんですか?」


「!…その通りよ!このイヤリングにもPSと同様に透明なクオーツから取り出した魔石を使用されているの!その為、このイヤリングも勇者が扱う事が出来る特別な魔法を所持しる者でなければ転移魔法を使用する事が出来ないの…簡単に言うと勇者専用のアイテムなの!それに気がつくなんて、流石ね君!」


ジエルに褒められ喜ぶ青年と、それに対して嫉妬心を抱くイノリスが青年に睨みを効かせていた。


「その事から勇者で無い者を転送させられる学園での移動魔法は透明なクオーツによる転移魔法とは別の魔法と考えるのが妥当なの!

私が考える学園内での人間の転送についての見解は、学園に眠る謎のクオーツの影響により不思議な結界が学園全体に張られていると考えているの…その結界の中であれば勇者では無い人間達も特定の場所で自信をデータ化し、学園内の別の特定の場所へデータとして移動する…その後、移動した先で復元されれば勇者でなくても単独で瞬間移動をする事が可能なのだと!」



「学園内での移動魔法は学園内で完結している事から、その答えに行き着いたのだけど、正直エスペランス学園についてはまだまだ謎か多過ぎるのよね!私も学園には6年在籍させて貰ったけど知らないことが多すぎるわね…」



「質問はこれが最後で良いかしら?」



ジエルが質問を締め切ろうとしたその時、青年は満を辞して一番気になっている自身についての謎に切り込もうとしてみた。


「すみません。最後にどうしても!俺たちまだ武器を買ってませんよね?近くにあんなに栄えている武器屋があったのに?」



「…」



「ごめんなさい!ここではその質問に答える事は出来ないわ…自宅に帰ってからちゃんと説明するわね…」


ジエルの辛そうな表情に青年は何かを察し、青年は笑顔でジエルに詫びを入れた。


「…気を遣わせる様なこと聞いちゃってすみません…無理なら自宅に帰った後でなくても答えなくて良いですから…」


「…」


「こっちこそ気を使わせて悪かったわ…私は大丈夫!大事な事だから、ちゃんと私の口から話すわ」


何故か関係の無さそうなイノリスの表情にも曇りの色が見えた事を青年は気づいていた…


「…そうだ!まだ時間が少しあるから、せっかくだからバザーで掘り出し物を見つけましょうよ?」


ジエルは気持ちを切り替えて、少しでも明るく振る舞おうと自らテンションを上げ、青年達をバザーへ誘った。




(バザー?この場所に来るまでの道のりで開催していた露店のことかな…珍しそうなアイテムをありそうだし、よってみるのもアリかもな…よし!)



「バザー行ってみたいです!」


青年は自身のお宝への嗅覚を頼りに、謎めいたバザーへの参加を決断した。


「よし!じゃあ、みんなで行こっか!」


青年の元気な返事に逆に元気を貰ったジエルは、颯爽と二人の手を引きバザー会場へ駆け足で向かってみた。




『…………』


「すごい!これがバザーか?」


青年はこの世界で初めて目にする人々の大群に、目を輝かせながらこの世界へやって来た初期の孤独感が溶けていく感覚を実感した。


「アイツそんなに人混みが好きだったのか?やっぱり変わり者だな…」


バザーに集まる人の波に感動している青年を他所目にイノリスは、冷ややかな目で青年を見つめていた。


「ん!?…今日のバザーは、今までよりも出店店舗も来場客も多い気がするわね?何故かしら?」


ジエルは、いつもと雰囲気が違うこの会場の違和感を感じ取り、近くにいたバザーのスタッフらしき男性に事情を聞きに近づいていった。


「…ふんふん…なるほどね…」


ジエルは、その男性スタッフと一言二言の会話を済ますと、ゆっくりと青年達の前へ戻ってきた…


「バザーがいつもより賑わっている理由がわかったわよ!それは、惑星聖戦が終わったことによる影響らしいわ!世界が平和になったというニュースが世界を駆け巡った事により、閉鎖的だった様々な国の商人達が自分達の貿易範囲を広げるために、このバザー会場に出稼ぎに来ているらしいの!」



(…もしかして、これって二周目特権か?他のゲームでもよく見られる、エンディング後に新たな店が出現するってヤツかな?)


青年は自分の経験を踏まえ、ジエルにある交渉を持ちかけた。


「ジエルさん!もしよかったら、普段ここで商売をしていない新規のお店を重点的に見に行きましょうよ!きっと普段お目にかかれない珍しいアイテムがいっぱい手に入るかも知れませんよ!」


「なるほどね!本当に君は頭がキレるわね!私の見込みは間違えじゃなかったみたいね!」


ジエルは名推理をする青年に感心をしつつ、青年をパーティーに選んだ事が間違えじゃなかったのだと改めて考えさせられた。


「…」


『ムッ』


そんな青年が褒められている現実にやはり納得いかずに、青年をライバルとして意識する様になっていたイノリスがそこにはいた。


ジエル達一行は、バザースタッフに教えてもらった新規店舗の『ジャンク屋』へ足を運んだ…




「へいらっしゃい! 何かお探しでい?」


ジャンク屋の店主らしき江戸っ子口調のおじさんに、早速声を掛けられた。


「おじさん!?このお店ってどんな商品が揃ってるの?」


「うちの店は何でも揃ってるよ!何処にでもある様な物もあれば、世界に一点しかない貴重な品まで多種多様な商品が揃ってるよ!何よりうちの店の特徴は、他の店が真似の出来ない特殊な買い方が売りなんだわ」


「特殊な買い方?」


「そう!我がジャンク屋の最大の特徴! それは〜……そう!掴み取りだよ!」



「掴み取り?」


『……!?』


青年は、掴み取りと言う言葉に何かを思い出した。



(これ…記憶にあるぞ!…オレは実際にはプレイした事はないけど、クリア後の要素としては有名な場所だったはず!)




「あの〜?このお店の詳細をもうちょっと細かく教えてくださる?」



ジエルはこの店のシステムがサッパリ理解出来ずに、改めて店主に質問を投げかけていた。


「おう!別嬪さんの質問だったら、おいらのスリーサイズだって教えてやんよ!…聞きたくないと…悪い悪い!冗談だよ冗談!」


「ハハハ…」


店主の寒い冗談に直感的に空笑いが飛び出してしまった青年達であった。




「ルールは簡単!10分間のうちに三つまで黒い箱を選んでおくれよ!選び終わったら、おいらに声掛けてくれれば、その箱を解放するからよ」


「黒い箱って何ですか?」


聞き馴染みの無い用語にジエルは、またしても動揺してしまっていた。


「黒い箱の正式名は、ブラックボックス…まぁ名前はそのまんまだけどよ、中には貴重なアイテムが埋まっているかもしれないよ!ちなみに箱の中身はオイラもしらねぇのよ」



「オイラはこの世界でたった一人の、ブラックボックスを開封が出来る人間なのよ!どうでい?凄いだろい?」


「おじさん!?ちょっと良いかな? おじさんがその箱を自由に開けれるなら、何で初めっからその中身を売ってくれないだ?そんな貴重なアイテムが手に入るなら、おじさんがそれを全部手に入れてから、俺たちの売り付ければもっとお金が手に入るんじゃないのかな?」



「…おい坊主! お前この世界のアイテムについて何も知らないのか?」


『……』


「それなら教えてやろう! この世界の珍しいアイテムや武器の殆どは、売っても価値がないんだよ!なんせアイテムは人を選ぶのさ!」


「…アイテムが人を選ぶ?」


「そうだとも!この世界の武器や防具の殆どは、一般人には扱えないんだ!消費者が限られている分、アイテムの能力が高くても扱える人間がいない為に、物の価値が付かないのさ」


「魔石なんかは誰にでも使えるが、戦士用の武器なんかは基本戦士じゃないと扱えない!だから一般人が武器を手に入れても無意味なのさ…それがあるから、オイラが特殊な技術を持っていてもオイラ自身にはメリットが殆どないんだよ」




(…そうか。理解出来た…このゲームで手に入る武器は、殆ど勇者パーティーの為に存在する武器のみなんだ!そう…この世界に存在する勇者パーティー以外のモブキャラは武器も防具も装備出来ないんだ……と言うことは、俺もこの世界の全ての武器が扱えないんだ…謎は解けたが、少し虚しいな…)


「…どうしたんだい?坊主? さっきより表情が暗いぞ!」


現実を受け止めたのか、少しもの寂しさを店主は青年から感じ取っていた。


「…でもよ!坊主でも扱える俺も知らない珍しいアイテムがこの箱に眠ってるかも知れねぇからよ!興味があれば是非一発やってってくれよ」


「1回一万Gジットだからよ!」


「い…一万!?高くないか?ちなみに、ハズレも入ってるかも知れないんだよな?」


青年は先ほどの店主の話を踏まえた上で、明らかにこの商品達に一万の価値が無いと決めつけていた。


「…まぁ坊主には価値のない物が多いかも知れないが、そこにいる別嬪さんが喜びそうな商品なら沢山見つかる筈だぞ!」



「…どうする?君?今回は諦めても良いだよ!」


ジエルは、青年が抱いているであろう喪失感や虚無感を理解した上で、迷える青年に選択肢を与えてあげた。


「…やります…やれせてください!俺に扱えない武器や防具が手に入ったとしても、ジエルさんはそれを扱える…それなれ、尊敬するジエルさんの力に俺はなりたい」


「君…」


ジエルは勝手に青年の事を理解したつもりでいた自分自身に腹が立った…その上で青年が魅せた芯の強さに勇者ラッシュと重なる強さを見出していた。



「…所でジエルさん?お金貸してくれますか?」


「え!?」


「俺…見ての通り、手持ちがないんです」


不意に見せる青年の抜けた所も今のジエルに取って心の癒しにも繋がっていた。


「ははは!!大丈夫よ!お金のことは心配しないで!」(この子って本当に面白い子だわ)


申し訳無さそうにジエルにお金を請求する青年の姿に、ジエルは恩愛な感情を青年に向けていた。


「そうそう!君には言い忘れていた事があったんだけど、君が自由に使えるお金はちゃんと私が預かっているわ」


「預かる?…」


「そう!昨日倒したブラックドラゴンの討伐報酬が学園から私に支払われているの!報酬額が10万Gジットだから半分の5万ジットは君の分前よ!ちなみに、討伐報酬はパーティー以外の人物と共闘した場合は、トドメを刺した人物が報酬を総取り出来る決まりがあるの!

ドラゴン討伐後に君が意識を失った後、色々ゴタゴタしていて君に報酬の話をする機会が無かったから、今までその話を伝えそびれていたけど、今まさにそのタイミングだったみたいね!」


予想だにしていなかった臨時収入に沈んでいた青年のテンションが一気に最高潮に達していた。


「五万Gって事は、最高5回は挑戦出来るんですね?」


「うん!そうなるわね!けど、後先の事を考えるのであれば、今回は3回まで良いんじゃないかしら?」


「はい!分かりました」


青年は、この世界に来て初めて報酬を手に入れた!


そして、青年は思い出していた…社会人になって初めて手にした初任給を受け取った時のあの高揚感を…


青年は、ジャンク屋の店主に3回分の料金をジエルに支払ってもらい、早速1回目のチャレンジに挑んだ。



「じゃあ始めるぞ!!よーし!初め!」



青年は早速、大小様々なブラックボックスを物色し始めた。


(この箱は大きさがバラバラなのに重さもほぼ一緒!この箱に何か特別な力が加わっているのは明白なんだけど、箱の大きさ以外は特に変わった特徴は無いな…とりあえず三つ選べば良いだな…)


青年はブラックボックスを吟味する事を諦め、取り敢えずこの場で一番大きい箱を三つ選定した。


「…はい!時間終了〜」


店主の終了の合図と共に、青年は選定したブラックボックスを店主の前に持ってきた。


「よし!じゃあ開けるぜぇ〜はあ!はぁ〜!」


『ボヨ〜ン』


店主がブラックボックスに手を添え、目を見開きながら念じると!突如、黒い箱から白い煙が立ち込め、黒い箱から”とある”アイテムが出現した…



「まず一個目!こ…これは…中吉〜!魔石の詰め合わせだな!火・水・風・土・雷の五大元素のカケラ10個ずつだね!」


「じゃあ!2個目…小吉〜!石50個!」


「はぁ?石?勿論特別な石だよな?」


「いや!ただの硬い石だよ」


「……そ、そんな〜」


青年は、ただの石にがっくり肩をおたした。


「最後!3個目!こ…これは!吉〜!ステータスアップの種!全六種類が一個ずつ!!」


「これって良い方なのか?」


「良かったじゃない!君!魔石も種も結構レアよ」



ジエルの励ましに勇気をもらい、その勢いのまま青年は二周目のチャレンジに挑んだ。



「よし!二周目行くよ!よ〜い!始め!」


二周目の青年は、バランスを意識し、良く大・中・小のブラックボックスを選定した。



結果…


小吉・中吉・大吉っという結果に終わった…


当たり障りの無いアイテムと自分が装備できない『魔銃』一丁を手に入れた。



「これは…魔銃ね!でも…この武器は、私にも扱えない品物ね」



青年はこの魔銃を見てふと思い出した。


(この魔銃ってもしかして? あのブルータスの初期の武器じゃ無いか?)


(確か…ブルータスは勇者パーティーで唯一銃が扱えるキャラクター!しかし本当のコイツは帝国のスパイで、ストーリーの途中で死亡してしまうキャラクターだった。そんなブルータスはキザで女好き、けど憎めないキャラだった!コイツが死亡した理由も、最後の最後で帝国を裏切り、殺されそうになった主人公を庇って死亡してしまう…俺はそんなブルータスが好きだった。…まあ、今回この武器はジエルさんも扱えないし、武器やも買い取ってくれない…残念だけど使い道はなさそうだ…)



そうこうしているうちに、青年は事前に予定していた3回目の開封にチャレンジしようとしていた…しかし、青年のチェレンジに同調するように新たなるチャレンジャーが青年の前に現れた!



「じゃあ最後の三周目だな…」



「ちょっと待った!僕もやるよ!」


『!?!?』



店主が青年の最後の挑戦を呼び込んだ瞬間!青年のチャレンジを横目で眺めていたイノリスが、自分も挑戦させろと身を乗り出してきた。


「Gは無いけど金の延棒ならここにある」


イノリスは徐にポケットから小型の金の延棒を取り出した。


「イノリス本当にいいの?」


「いんですよ!どうせ学園で稼いでもあの学園に引きこもっていては、使い道なんて殆ど皆無ですから!それにGは嵩張るから、事前に金の延棒に交換しておいたんです」


「…その金の延棒なら、一本一万Gの価値があるから、勿論参加出来るぜ」


イノリスは小型の金の延棒を店主に渡し、静かな闘志を燃やし青年の隣へ並び立った。


「どっちが、良い品をジエル様に献上出来るか勝負だ!」


「あぁ!いいぜ!かかってこいよ!」



青年とイノリスは、突如ジャンク屋で買い物バトルを繰り広げようとしていた。


「なんかよく分からないけど、面白そうね!二人とも頑張ってね」


ジエルは二人が戦う意味を理解せずに、何となく面白うろそうという感覚で、二人を焚きつけていた。


「なんか二人の闘志にオイラまで熱くなってきたよ!今回は特別に、二人同時に挑戦させてあげよう!」



「それでは…始め!」



店主が合図を出したその瞬間、勢いよくイノリスがとある場所へ駆け寄った


「さっきから気になっていたんだ!きっとこのエリアにはお宝が眠っているって!僕はこう見えて、自分の直感には自信があるんだ」


イノリスは迷わず制限時間を大量に残し、即決で3点の中型のブラックボックを選出した。


一方の青年はというと、最後の一点のみを選びきれずに、残り時間一杯に悩み抜いていた。


(最後の一個が、どうしても決まらない…こういう時は無心だ!…下心があればあるほど、運の方から逃げていくってもんだ!無になれ俺!…無になるんだ!……ふぅ)


『…』




『キッラン!!』


『!?』


次の瞬間青年の脳裏に光る何かが見えた。青年は’それ’に導かれるように、とある黒い箱を手にしていた。



『ガッシリ!』


青年の手の中には、他の箱と一切変わりの無い普通の小さいブラックボックスであった。


(なぜ左手?俺は利き手は右の筈…)


「…よし!今回はここまでだ!お前達!オイラの前へ箱を持って集まってくれぃ!」



『ドッスン』『ドッスン』



二人は、店主の目の前に三つずつ、合計6個のブラックボックスを広げて見せた。


「よしっしゃー! 今回は特別に、6個同時に開封するぜ」


店主はそう皆に伝えると、勢いよく『ポン!ポン!ポン!』両手フルに使い、リズム良く合計6個のブラックボックスを一気に開封して見せた。


『ボヨ〜ン・ボヨ〜ン・ボヨ〜ン』


青年達の周りに例の如く大量の白い煙が立ち込め、青年達の目の前に様々なアイテムが姿を現した…



「…お!…おぅ!これは!」店の店主が開封された二人のアイテムを覗き込むと、店主は目を丸くして驚いてみせた。


青年の方から順に、


「吉…ミスリル5個」「中吉…パチンコ」「おい!これはきっと大吉だ!」


「…おおぉ!一体何が出たんだ!」


とうとう姿を現した大吉のアイテムに青年は心を大いに揺さぶられていた。


「…いやちょっと待ってよ!」


「え!?」


「これ!壊れているな?」


「へ?」


青年は、店主の言葉が聞き間違えちゃ無いかと何度も耳を疑った。


「オイオイ!本当か?せっかく手に入れた貴重なアイテムが壊れている?」


「申し訳ねぇが、破損しているよ!このアイテムは召喚獣が呼び出せる、召喚魔石が埋め込まれているブレスレットだよ!けど、この召喚魔石にヒビが入っちまってら!」



(召喚獣?あの精霊や霊獣を呼び出せるっていう、あの召喚魔石か!)


「確か、魔石はヒビが入っている物も『カケラ』って呼んで、実際はアイテムとして使えるんじゃ無いのか?」


「それは、魔法の効果が宿った魔石の話だよ!召喚魔石だけは、他の魔石と仕組みが違うんでぃ」


「悪いが、オイラは召喚獣には詳しくねぇからこれ以上説明は出来ないけどよ、この召喚魔石は確実に召喚獣を召喚する事は出来ねぇよ」


青年と店主の会話を隣で聞いていたジエルが、落ち込む青年の側へ近寄って来た。


「おじさんの言っている事は間違っていないわ!召喚獣の事は学園で習っているから、その知識で良ければ私から説明するわ!」



「人間が召喚獣を呼び出す方法は一つ、召喚獣の体の一部が刻み込まれた魔石に術者の精神エネルギー通称MPを流し込むことで、人間界へ召喚獣を呼び出すの」


「そもそも召喚獣には実態がないの!本来の彼らは、概念そのものなの!そんな彼らの一部である魔石を媒体に、術者のMPをその召喚獣の召喚に必要な分だけ魔石の注ぎ込みと、この世界で概念だけの存在だった召喚獣に血肉を宿らせ、人間界に直接干渉出来るようにしたのが、召喚魔石よ」


「そんな召喚魔石にヒビが入っていると、魔石に注ぎ込むべきはずのMPが魔石内で漏れ出して、召喚獣の形成を妨げてしまうの…残念だけど、そのブレスレットは召喚魔石としての機能は伴っていないわ」



青年は、ピンチに滅法強かった。現実世界で社会の荒波に打ち拉がれようとも、負けじと自分の存在価値を見出してきた。今回もその延長なのだと、腹を括り直ぐ様に起き上がる事が来た。


「大丈夫です。こんな事日常茶飯事ですよ」




落ち着きを取り戻した青年の隣で、自分のアイテムの開封を見届けていたイノリスから耳馴染みのある単語が飛び出して来た。



「L?R?まる…?この本は一体何なんだろう?」


『!?!?!?』


「何!?…ちょっと待ってくれイノリス!? この本!俺に見せてくれ?」


イノリスが手に入れた本を見つけるやいなや、血相を変えた青年がイノリスが持っている『赤い本』を半ば強引に自分の手元に引き寄せた…そして、視線計測を用いて本に書かれている文章を一瞬で読み解いて見せた。


「ちょっと?何すんだよ!」


『…ピッタ』


イノリスの焦燥な対応に青年は、一旦本を読む事をやめ、イノリスにとある交渉を持ちかけた。


「イノリス悪かったよ!許してくれ」


「何なんだ一体?行動は急に謝り出して?」


「謝るよ!だからこの本を俺にくれないか?」


「そんな意味不明な本をか?」


「そうだよ!俺は今、この本が今一番欲しいだ」


イノリスは、意味不明な言動を重ねる青年に半ば押し切られるように、謎の赤い本を青年に手渡した。



(…よし!これで何とかこの世界で立ち回れるぞ…)


『ドン!!』


「イッテーーー」


青年は突然、原因不明の衝撃を頭部に感じた。


「ちょっと君! 女の子に対してちょっとばかし強引すぎやしないかな? 私はそうゆう態度嫌いだな!」



頭を抱え膝から崩れ落ちていた青年の後ろで腕を組み、青年を睨む付けるジエルの姿があった。


「す…すみませ〜ん!!猛省させてもらいます」


地面に片膝を突いていた青年は、ゆっくり立ち上げり、イノリスに対して地面と頭がくっついてしまうのではないかという程の深いお辞儀を披露した。


「よろしい!イノリスは本当にその本を彼にあげて構わないの?」


「はい!その本には僕の理解できない言葉が羅列してあるだけなので、特に手元に置いておきたい様な品物ではありませんので…」


「…イノスの考えは理解出来たわ!けれど、それだけじゃ私は納得しないわ…ねぇ君!」


「さっき手に入れたブレスレットをイノリスと交換してあげなさい」


「は…はい!」



そんなジエルは、慈愛を持って傲慢な青年を叱り、二人に損得が生まれないように計らった。


「せっかくだから君!そのブレスレット!君自身からイノリスに装着してあげなさい」


「はい!わかりました」


ジエルに一方的に怒られ、身が引き締まった青年は今一度素筋を伸ばし、イノリスの左腕に先ほど手に入れたブレスレットを優しく装着した。


「イノリス!さっきは悪かった!申し訳ない」


「べ…別にもういいよ…アンタも反省してるみたいだし…」


『ニッコ』


二人のやり取りを目の当たりにしたジエルは、そっと二人の肩を抱き満面の笑みで恩愛のある一言を添えた。


「家族はいつでも一つ!!なんてね!」


ジエル達はお騒がせした店主に頭を下げ、自分達の自宅へ帰っていった。



そんな帰り道…青年は赤い本を我が子の様に大事に抱えていた…




「コレがあれば、弱い俺でも何とかなる…俺は手に入れたんだ!神に等しい力を…」




「この攻略本があれば俺は無敵だ!!」




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