目指せ!新エンディング!シナリオコンプリート率100%への道
「…」「……」「こ…ここは…」
たった今、二畳程の狭い部屋の中にあるオンボロのベッドの上に横たわる一人の青年が目を覚ました。
「…もしかして、ここがチェーン・ブラッド2の世界なのか?」
青年がベットから徐に起き上がると周囲をゆっくりと見渡した。
「最新のVR技術ってこんなに進化してるんだな? ほとんど現実世界と変わらない感覚だ」
青年はゆっくりと起き上がると、屈伸運動や手首を動かし『今の身体』と『現実世界の身体』の動作の誤差の無さに心を打たれてた。
「これが元々、あの荒い3Dボリゴンのゲームの世界か?進化しすぎだろ!」
青年の現実世界での素性は、新堂 康二35歳 独身 性別:男
25年以上も前に発売されたテレビゲームのVRバージョンの存在を知り、わざわざこのゲームの為に高価なVRゴーグルを買い、期待に胸を躍らせこのゲームをプレイしたのであった…
「それにしても、殺風景な部屋だな?本当に主人公の部屋かよ…」
青年が自身の部屋の文句を呟いていると…
『ブルブルブル…』
青年の部屋の片隅にあるオンボロ机の上にある、卵ほどの大きさの黒い端末の液晶画面が光り、振動しながら何かのメッセージを受信したようだ。
「!?」
「ポケベルか?懐かしいな?」
青年が何かを受信した黒い端末に顔を近づけると、そこには『No.291学園にある図書館に行け』っと言う謎のメッセージが表示されていた。
「何だこれ?学園?…そうだ思い出した!このゲームの主人公はエリート戦士養成学校の生徒だったはず!最初にこの学園で起きるイベントをクリアして、その後に広大なマップを移動できるんだ」
青年は微かな記憶を頼りに今の状況を一旦整理した。
「…そっかこれが最初のイベントか!?そしてこのイベントが終われば大冒険に繋がるんだ!…とりあえずここから出るか」
青年はこの後に待ち受けているであろう大冒険を夢見て胸を躍らせていた。
『バッタン』
青年は机に置いてあった黒い端末をズボンのポケットに入れ、狭い部屋から勢いよく飛び出した…
「…」
扉を開けたその先には、薄暗い通路が続いていた。
「…こんな場所あったけ?」
薄暗い通路にはいくつもの扉があり、その中には自分達と同じような人間が住んでいる気配がした。
『バッタン!』
すると他の部屋から覇気のない表情をした人間が約50人ほどが一斉に通路に飛び出してきた。
そんな中、覇気のない人間達は表情を一切変えずにとある方向に向かって歩き始めた。
「何だアイツら? 動きが機械みたいだな」青年は覇気のない人間達の行動に呆気に取られてしまった。
「…ま!とりあえずアイツらの後を追いかけてみるか」
青年は覇気の無い人間達の列の最後尾につけ、周りを行動を伺いながら今の現状を把握しようと必死だった。
数分後、急に列が動かなくなり薄暗い通路の途中で足止めを食らうことになってしまった。
「一体何が起きたんだ?」
青年は、見覚えの無いイベントに動揺しつつも今の現状を打破する為に自分の前に立っている覇気の無い人間に声をかけてみた。
「あの〜すみません? この列って何ですか? ちなみにどこに向かっているんですか?ちなみに僕は図書館に行きたいんですけど、図書館への行き方ご存じですか?」
「……」
青年が恐る恐る声を掛けてみたが、覇気の無い人間は一切表情も変えず青年の問いかけを無視していた。
(もしかしてコイツら無視じゃなくて質問に答えるプログラムが入っていないモブキャラなんか?)
『…チン』
青年が立ち止まりながら今の状況とゲームのシステムについて照らし合わせていると、通路の先からベル音のようなチャイムが聞こえてきた。
ベル音が鳴ってすぐに人間の列が動き始め、ある程度進むとまた列が止まった…この状況が2回ほど続いた時に、青年の目の前にエレベーターの扉が姿を見せた。
「なるほど…みんなこれを目指して文句も言わずに歩き続けていたのか? 一体これはどこに向かっているんだ」
青年はそうこうしている内に自分の順番になり、意を決してエレベーターに乗り込んでみた。
エレベーターの室内にあるボタンにはF4のボタンと1のボタンのみが記してあった。
(このエレベーター直通なんだな)
青年は、なすがままに不気味な直通エレベーターに乗り、地上がある1階へと運ばれて行った。
『ドドドドド…チン!』
数秒後、青年達を乗せたエレベーターが動きを止めた。次の瞬間、扉が開き青年以外の人間達が各自バラバラと移動を始めた。
一番最後にエレベーターを降りた青年は、扉の外に広がる光景に目を丸くして驚いた。
中世ヨーロッパ風の室内に、不釣り合いな無数の液晶画面モニターが所狭しと配備されていた。そして青年が降り立った場所の真上には、巨大なシャンデリアが備え付けられていた。そんな豪華絢爛かつ近代文明を取り入れた室内の様子も目の当たりにした青年の脳裏に昔の記憶が少しずつ流れ込んできた。
(思い出したぞ。確かこの場所は、古い巨城を改造して作った学園なんだ! 俺が最初にいた部屋とは全く違う、華やかな場所だな)
青年が城内の景色に見惚れていると、先ほど一緒にいた人間達は姿をし、その代わりにこの学園の制服らしき衣装を着た男性二人組みが通り過ぎて行った。
その二人組は、先程一緒にエレベーターに乗っていた人間とは全く違い、生気のある表情をしていた。
(もしかしてあの二人組なら声を掛けたら、俺の問いに答えてくれるかも!)
青年はすぐさま目の前を通り過ぎた二人組を追いかけ声を掛けみた。
「ねーねー君たち? ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「…」「……」
やはり、目の前にいる二人組も地下に居た人間も何事も無かったかのように青年の前から通り過ぎて行った。
(コイツらも無視か…いや…?何かおかしいぞ…あの二人は会話をしている風だったけど、一才声が出ていないぞ)
目の前で起きた出来事に完全に頭が追いつかない青年は、一旦冷静になるように自分に言い聞かせた。
(落ち着け俺! よく考えるんだ…これは良くできたVRゲームだ…そう…これはゲームだ…もしかして不良品かコレ?てゆうか、どうやってこのゲームからログアウト出来るんだ)
青年は考えれば考えるほどに頭が混乱してきた。
「うぉーー誰か助けてくれーー」
混乱する青年の悲痛な叫び声が虚しく場内に響き渡っていた。
「くそ!本当にどうなってんだよ」
青年は考えても考えても今の現状を打破する答えは思い浮かばず、頭を抱えながら膝から崩れ落ちてしまった。
「…ん?」
『ブルブルブル…』
「何だ?」
すると青年の左ポケットが小刻みに揺れていた。そこには一番最初に居た部屋から持ち出した黒い端末がポケットの中で新たなメッセージを受信していた。
青年は恐る恐る黒い端末を覗いてみるとそこには…『図書館に来い』のメッセージが表示されていた。
「…」
「しょうがない。今はこのメッセージに従うしかないか…しかし図書館の場所が分からないぞ…人に聞いても相手にされない…この黒い端末にはボタンが一切無い、受信専門みたいだし…どうやって図書館に行けば…」
迷える青年には、どんな危機的状況でも折れない強い心が備わっていた。
「とりあえず扉がある所を片っ端から開けて探すしかないか…」
(35年生きて居れば、それなりの修羅場に遭遇する事はよくある事だ!俺は高校を卒業してすぐに就職した。そして一回も転職する事なく同じ会社でキャリアアップしてきた。なのに…去年…世界的パンデミックの影響で会社が倒産…今はデリバリー系の配達の仕事で収入を得ていた。あの時の会社倒産時の絶望に比べれば、こんなトラブルはまだ立ち直れる)
青年は、落ち込む自分を鼓舞するように過去の自分が経験してきた出来事と今の状況を比較して、自分自身を勇気付けていた。
そんな中、迷える青年はこの部屋に存在する3ヶ所の扉を確認し、一つ一つ扉を開けてみる事にした…
「よし!今はただ目の前にある問題に立ち向かうのがセオリーのはずだ」
一つ目の扉…「く…開かない…次だ…」
二つ目の扉…「これもダメか…」
三つ目の最後の扉…「やっぱり開かない…か」
青年は開かない扉の前で立ち止まり、大きく深呼吸をした。
(考えろ俺…何かヒントがあるはずだ…そうヒントだ! 何か見逃しているはずだ…さっきまで一緒にエレベーターに乗っていた人間達…通り過ぎた二人組)
(俺の視界から消えた途端にいなくなった?…もしかして壁にぶつかって消えた?壁か?壁にヒントが?)
青年はこのフロアに侵入してから、幾つもの予想外の展開に翻弄されていた。しかし、長年培った対応力と創造力で今まさにピンチをチャンスに変えて見せようとしていた。
(思い出せ!このゲームの特徴を…このゲーム…この世界…剣…魔法…機械…)
「機械…」
(…そう機械だ!この世界は、現実世界にも似た最先端の機械技術が取り入れられているんだ)
(壁…機械…)
『……』
「あれだ!」
青年はその場から周囲を見渡すと、今いる位置から一番近い壁へ走っていった。
「…きっとこの液晶モニターだ!他の人間達はきっとこの液晶モニターの前で姿を消したんだ!」
『ピッタ』
青年は恐る恐る液晶モニターをタッチしてるとすると…そこにはこの学園の地図らしき映像が画面に映し出された。
「ビンゴ!!…これは学園の地図だな!えーと…食堂…教室…校長室……あった図書館だ」
その地図には図書館の文字が白く光って映し出されていた。
「他の場所には移動できなそうだな! これは図書館にしか移動できない仕組みみたいだな」
「…よくよく考えてみれば、昔のゲームなんて行動パターンなんてほとんど制限せれてるのばっかりだったよな!実際にゲームの世界に入ってみたら、こんなに窮屈なのかと実感できるな」
色々な感情を抱きながら青年はモニターに映し出された図書館の文字をタッチしてみた。
『シュルシュシュル〜』
すると…青年の周りに青白い魔法陣が出現し、青年を包み込むだ。気が付くと青年はその場から姿は消し、一瞬のうちに別の場所へと移動していた…
『パッ』
青年が移動してきた先には、大量の書物が所狭しと陳列されている大規模の大型図書館であった。
「ここが図書館か?随分立派な図書館だな」
青年が大量の本の多さと、クラシカルな外観に見惚れていると彼の目の前に一人の中年男性が現れ青年に話しかけてきた。
『!?』
「やっと来たな!今からお前は、このテーブルの上に無造作に置いてある本の数々を制限時間内に元の場所へと戻す作業を行うのだ!そして合計ポイントを500点中350点以上を取得するのだ…いいか分かったか」
初めて現れた会話を発するキャラクターにテンションが上がった青年は、すかさず中年男性に思いの丈を話し始めた
「ちょっと待ってくれ聞きたい事が山ほどあるんだ!何でもいいから俺の質問に答えてくれ」
「…」
「いいか分かったか…」
「おい!」
「…」
「いいか分かったか…」
「…だめだ!やっぱり会話にならない!こいつの言うことを聞くしかないのか?」
青年は中年男性に何度も対話を試みてみるも、返って来る言葉は全て一緒…青年はこのゲームの自由度の無さに落胆しつつも、このイベントの詳細が頭に蘇ってきた。
「…でもなんか懐かしいな…これ覚えてるぞ! そうだ!ミニゲームだ」
「このゲームはミニゲームの多さも特徴の一つだったんだ!ある特定のスコアを叩き出すと特別なアイテムが手に入るんだった…懐かしー」
昔の記憶が少し蘇った青年は、少しテンションが上がりその勢いのままミニゲームに挑戦した…
『150点』
しかし、あえなく撃沈…
「むず…これ実際にやるとめちゃくちゃ難しいな!しかも俺。全然動けないぞ…まるで俺が操作しているキャラクターが現実世界の俺と殆ど体力が一緒みたいだ…」
1回目の結果は惨敗…
しかし青年は諦めなかった。
2回目…『160点』
3回目…『140点』
「くそー全然上手くいかないぞ。ハアハア…俺は一生このループから抜け出せないのか」
「…」
4回目『130点』
体力も落ち点数が下がっていく青年。しかし…青年はまだ諦めていなかった。
「ハアハア…せっかく高い金を払ってこのゲームを買ったんだ。辛いけど絶対クリアしてみせる」
青年は勝負事にお金が関わると燃えてくるタイプの人間ようだ。…
5回目…『100点』
…惨敗!
「もうだめだー」
疲れ切った青年は地面に横たわってしまった。
…するとそこへ中年男性が近づいてきた。
「時間がかかり過ぎだ!明日は大事なイベントがある!だから今日の作業はこれで終わりだ…今度は、ハイスコアを目指せよ」
「もしかしてイベント強制終了?…とりあえず話が進んでよかった」
青年は思わぬ形で過酷なミニゲームが終了し、そっと肩を撫で下ろしたのも束の間。中年男性から思わぬ言葉後飛び出した…
「何と言っても明日は、この学園の生徒でありながら在学中に、反乱を起こした帝国軍から世界を救った勇者『ラッシュ・クロスロード』の祝勝パーティーが執り行われる」
「…え」
「勇者?」
「俺の他に勇者がいる?じゃあ俺は一体何者なんだ?」
『…』
『シュルシュルシュル〜』
青年が考える暇もなく突然に青年の周りに青白い魔法陣が出現した。
「まさか強制転送か?まだ聞きたいことは山ほどあるのに」
「くそーーお」
「……」
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気が付くと青年は一番最初に寝ていたベットの上に強制転送をされてしまった…
「何だよ一体!こんなストーリー知らないぞ!本当にこのゲームは、子供の頃に熱中していたRPGなのか?」
青年はベットの上で頭を抱えながら現実を受け止められずにいた。
「あーイライラする!もうこんなクソゲーム、ログアウトしてやる!」
「…でもどうやってログアウトすればいいんだ…くそーー誰でもいいからココから出してくれよー」
青年の怒鳴り声が2畳の部屋を通り抜け地下4階全体に虚しく響き渡っていた…
『ブルブルブル〜』
青年の部屋に静かに鳴り響く振動音。
「またこのくらい端末か?もう俺を弄ぶのは勘弁してくれよ」
青年は半泣きの状態でポケットに手を突っ込んだ。
そして黒い端末に映し出されたメッセージが青年の不安を更に加速させたのであった…
『緊急!!緊急!!』
『たった今、このエスペランス学園に上位種ドラゴンの『ブラックドラゴン』が進行中との報告あり』
『戦える生徒とクロコの全員は直ちにブラックドラゴンの襲撃に備えよ」
「はあ!?何だこれ?こんなイベント知らないぞ!この学園が襲撃させるのか?」
「そもそも勇者がこの世界を救ったんじゃないのかよ?悪い魔物が普通に暴れ回ってるんじゃ、勇者が活躍した意味あるのかよ」
青年から湧いてでる不服を吐き出す暇もなく、またしても青年の周りに青白い魔法陣が出現した。
「またか…考える暇もなく転送かよ!!ふざけんなーー」
『シュッ』
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『ウゴ〜〜』
青年が強制転送された場所は、先程訪れたシャンデリアが一際印象に残る大広間であった。
青年が大広間に目を向けると、ブラックドラゴンとクロコと思われる人間30人がすでに戦闘を繰り広げていた。
青年は意識をブラックドラゴンから自分も身の回りに向けてみると、いつの間にか自分の衣装が戦闘服に着替えている事に気付かされた。
「う…重い…何だこれ!知らない間に突然こんな装備を!?こ…これは本物の剣…剣ってこんなに重かったのか?ググ…しかも防具は地味に重いし、動きづらい…」
『!?!?』
青年は自身に殺気を放っているドラゴンの存在に気付かされた。
城を破壊し建物の中に侵入して来たドラゴンが、大広間のいた人間達を一瞬で殺害すると、その屍達を踏みつけながらゆっくりと広間に残っている青年の方へ向かって来ていた…
(この状況がゲームだとしても映像がリアル過ぎて足が震える…俺は一体どんな行動を取れば正解なんだ)
緊迫感のあるゲーム演出に驚きつつも、自身が生き残る最善を見つける為、青年は自身の知恵を振り絞っていた…
「絶対にコイツに勝てる訳が無い!ここは逃げるしかない…でもどこに逃げればいいんだ?」
「…」
「やっぱりあそこしか無いか?もし上手くいかなくても、これは現実じゃない…本当に死ぬわけじゃ無い…」
青年は自身の命を優先する為、持っている武器を捨て、とある方角へ全力で走り始めてた。
(今はただ走るだけだ…きっとこの作戦が上手く行けば必ず助かるはずだ…)
攻撃の手を一切緩めないドラゴンは、走る青年を燃やし尽くそうと、口から巨大な火球を吐き出した。
『ボッン!!』
『シュッツ』
危機的状況に陥った青年は本来のポテンシャル以上の力を発揮し、何とか火球を避けてみせた。
(あっちー!!当たってないのメチャクチャ暑さを感じるぞ!…でも…何とかなるかも…)
その後も、ドラゴンの強力な火球攻撃が青年へと向けられたが、その全ての攻撃を青年が避けてみせた。
「うおー」
危機的状況にも関わらず、青年の諦めない心が彼のポテンシャルを飛躍させる結果に繋がっていた。
青年が見せた奇跡のような行動が彼をとある場所へと導いてくれた。
「もうすぐだ…もうすぐ城の外に出れる」
青年が目指したその場所は…そう!ドラゴンがエスペランス城に開けた巨大な大穴であった。
青年は見事なステップワークでドランゴ火球を避けながら、彼の目的であった城に出来た巨大な大穴へ近づくことができた。そして、青年は勢いそのままにドラゴンが開けたエスペランス城の大穴へ全力でダイブした。
「俺は外に出る!そして、今度こそ冒険を始めるんだ!」
(城の扉にはロックが掛かっていて、他の場所に移動する事が出来ない!しかし、既に空いている空間には移動出来るはずだ!そして、外につながる大穴を抜けて城の外へ出れれば、俺はドラゴンと戦わずして戦闘を終えることが出来るはずだ…)
しかし、青年の考えは甘かった…
『ベッシャン』
「…嘘だろ」
確かにエスペラス城には、ドラゴンが開けた大穴が形成されていた…遮るものは何もない…はずだった…
青年は進む事が許されなかった…目には見えない透明な防御壁に青年の渾身のダイブが阻まれてしまった…そして防御壁からずり落ちる様にゆっくりと地面に崩れ落ちた。
(何でいつもこうなるんだよ)
青年は苦虫を噛みながらある事を思い出していた…
そう!RPGのほとんどのボス戦は逃げることが出来ないことを…
『スーー』
項垂れる青年に対してドラゴンは大きく深呼吸し、内部でエネルギーを蓄えた…
そして次の瞬間!!
ブラックドラゴンの口から生み出された最大級の火球が、倒れ込む青年に放たれた…
『ブウオーー』
『メリメリメリ』
(熱い…そして…めちゃくちゃ痛い)
(…)
(でも…やっと終われる…死んだら…このクソゲーから脱出で…き…)
ブラックドラゴンの攻撃により青年の身体は跡形もなく消滅してしまった…
プレイ時間:18分 アンノーン:死亡