戦え、大切な人のために
遅くなりましたァァァ!!
いつも応援感謝です!!
「ハァ……。全く……。何をしているんだ、君は」
涼やかな声が静かに耳に響いて、ゆっくりと顔を上げると──……。
「先生……!!」
私を庇うようにして背を向けて立つ先生が、炎の竜を氷魔法を纏わせた剣で串刺しにしていた。
刺したところから氷がピシピシと音を立てて広がっていき、やがて炎の竜は氷の破片となってパラパラと落ちていった。
「無事か?」
先生は敵を見据えたまま、声をかける。
「は、はい」
「……そうか」
低く耳に心地よく響く涼やかな大好きな人の声。
少しずつ引いていく瞳の熱。
「くっ……!! 氷銀の騎士団長、シリル・クロスフォード……!!」
「グレミア公国の者だな? 一緒に来てもらおう」
剣を向けたまま、先生が淡々と口にする。
「お断りだ!! 雷よ!!」
男が雷魔法で私と先生を攻撃する。
バリバリと閃光を放ちながら迫る雷を、先生の隣に走って並び立ち、素早く防御魔法を掛け直した刀で跳ね除ける。
キンッ──キイィィン!!
「この人には手出しさせません!!」
恐れている場合じゃない。
戦わなければ。
私の、大切な人のために──!!
私は再び男めがけて地を蹴り、通常の向きとは逆向きにした刀を振り下ろす。
刃のついていない棟の部分で男の肩から下に向けて打ち下ろすと「ぐあぁぁ!!」と声をあげて、男はその場に倒れ込んだ。
「やった!!」
そう声をあげた瞬間、男は倒れながらも私に向けて「炎よ!!」と炎魔法を撃ち放つ。
「っ!!」
私は咄嗟に風魔法で宙に飛び上がると、ポケットの中の小箱を男めがけて投げつけた──!!
すると一瞬にして小箱のなかに男は吸い込まれてしまった。
「今度こそ──!!」
安心したのも束の間、私は飛び上がった宙から真っ逆さまに落ちていった。
「へ? キャァァァァ!!」
「っ!! この馬鹿娘!!」
先生の焦ったよううな声が聞こえた刹那!!
ふわり──………
私の身体は暖かく柔らかな風に包まれて、ゆっくりと地に降りた。
あれ?
私今……風魔法使った?
いや、使った覚えがない。
「何で……」
戸惑いながら自身の両手を見つめる私に、先生が気まず気に顔を顰めて口を開いた。
「……私の、もう一つの属性だ」
「は!?」
「氷や水の属性よりも、風属性の方が馴染むくらいには、強い風魔法の力を持っている」
先生が──風属性持ち?
「意外、か?」
ため息をつきながら尋ねる先生に、私は首をブンブンと横に振った。
「……いいえ!!」
だって、あなたは風のような人だから。
「先生は、私にとっての風ですから──……」
私はそう言ってふにゃりと笑った。
「……そうか……。だが、これは誰にも言うな。これ以上担当教科が増えれば、間違いなく過労死する」
自覚はあったんだ、過労死寸前だって。
「もちろんです!!」
私がビシッと敬礼して返事をすると、先生が徐に私の小指にするりと自身の小指を絡ませた。
「っ!?」
「約束、だ」
なぁぁぁぁあぁぁっ!!
天然か……!! ────天然だ……。
私は頬の熱を振り払うように、やけくそ気味の大声で指きりをする。
「ゆ〜びき〜りげ〜んまん、う〜そつ〜いた〜らは〜りせ〜んぼ〜んの〜ます!! ゆ〜びき〜った!!」
「これで、もし君がこのことを言えば針千本だ。わかったな?」
そう言って満足げに口角をあげて悪い笑みを浮かべる先生。
先生が言うと洒落にならない……!!
本気だ……!!
絶対本気だ……この天然教師……!!
そこで私はふと気づく。
「あ、私咄嗟に小箱に吸い込ませちゃいましたけど、人間吸い込ませちゃっても大丈夫でしょうか?」
中に入ったことがないのでよくわからないが、なんだか大変なことになってそうだ。
「……まぁ……。問題なかろう。ついでだ、その穴の二人も入れておけ」
無慈悲な先生の言葉に、私は若干不安を覚えっつも、穴の中の二人も小箱へと吸い込ませておいた。
「さて、それはそうと──……」
あ……。
まずい。
これはまずい流れだ。
「この私を眠らせて出ていくとは……」
「え、えと、いやぁ、でもですねぇ」
「あぁそうだ、今日は偶然にも午後からは予定がなくなった。どこかの小娘が、午後から捜査予定だった【グレミア公国】の者を捕らえてくれたからな。どうせ暇になったのだ。たっぷりと君の言い分でも聞くとしよう」
え!?
何それご褒美!!
いやでもこれだめなやつ!!
恐怖の正座でお説教コース!!
「さぁ、帰るぞ」
「…………はい……」
私は諦めて、先生の後ろについて帰るのだった。
いかがでしたでしょうかっ(*^^*)?
「堅物天然教師最高!!」など思っていただけましたら、下の☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて応援していただけますと嬉しいです!
ブクマや感想もいただけると嬉しいです!!




