This is Halloweenー猫耳騎士団と魔法薬ー
本日2度目の更新!!
そしてハロウィン当日。
結局会場は、騎士団本部の会議室を一室使わせてもらうことになった。
飾り付けは昨日の夜に私が魔法でやっておいた。
黒の画用紙をコウモリの形に大量に切り抜き、聖魔法でポツポツと星のような光を作り、浮遊魔法でそれらを浮かび上がらせ、カーテンは全て変身魔法で色を紫と黒に変えた。
飾り用のパンプキンは食堂で学園の意思に拝みまくっていたら、目と口がくり抜いてあるパンプキンが、かぼちゃスープ入りの鍋とともに出てきた。
学園の意思、万歳。
そして私は朝も早くから、黒いワンピースに身を包み、とんがり帽子を被った魔女の格好で、騎士団本部を練り歩いている。
あれに見えるは顔見知り!!
「トリックオアトリートです! ジャン、セスター!」
私は勢いよく二人の前に飛びした。
「は!?」
「お菓子くーださいっ!」
「ねぇよ!!」
その言葉を聞いて、私はニンマリと笑った。
「じゃ、いたずら、ですね」
笑ったまま、私は右手で指をパチンッと鳴らす。
するとボンッという大きな音と共にジャンとセスターは真っ白な煙に包まれた。
「うぁっ!?」
「ゴホッ、なんだこれは!?」
ジャンとセスターの慌てる声だけが聞こえ、次に姿を現した時には──
「なっ!?」
「なんだこれ!?」
猫耳と尻尾をつけたジャンとセスターが出来上がっていた。
二人とも、ぶち猫スタイルだ。
よく似合ってる。
変身魔法、最高か。
真面目に魔法を習った甲斐があったと言うものだ。
「しばらく経ったら消えますから、安心してくださいねー!」
そう言って私は、慌てふためくジャンとセスターを放置して廊下の先へと足を進めた。
その後も私はパーティ会場に行く道中、たくさんの騎士に声をかけたが、誰一人お菓子を持っている騎士はおらず、気づけばネコ耳騎士の山ができていた。
セイレ猫耳騎士団、発足の瞬間である。
そんな数多の猫耳騎士の山を超えて辿り着いたパーティ会場。
扉を開けると、すでに4人の男性たちは集まって料理とお菓子を囲んでいた。
立食形式なので、数個のテーブルにわけて盛り付けてある。
カーテンの黒と紫のコントラストが、宙に浮かばせたコウモリと星を一層際立たせている。
ところどころに転がるパンプキンもハロウィンらしさを演出してくれ、元の世界でもやったことのないようなパーティに胸が躍る。
「わぁ! 皆さん素敵です!」
「お、来たな! どうだ? かっこいいだろう?」
変身魔法で狼の尖った耳とふさふさの尻尾を生やしているようで、彼の感情に合わせてかぶんぶんと尻尾が大きく揺れている。
少しワイルドな服を身につけているのが彼にとてもよく似合っている。
「はい! やっぱりレイヴンにはわんこ……、じゃなかった、狼男がよくお似合いです!」
思わず本音が口から飛び出すところだった。
危ない危ない。
「お前がもっと大人の女だったら、俺が全身に噛み付いて同族にしてやるのにな?」
レイヴンが色気を孕んだ声で言いながら私の頭をポンポン叩く。
「いや、私、何度も言ってますが、見た目は子ども、中身は大人なんで」
何度も何度も言っているのに誰にも信じてもらえない、この残念感。
「ふふ。私は吸血鬼にしてみたのよ。どう? 素敵でしょう?」
内側は赤く、外側は黒い襟の立った吸血鬼マントに、変身魔法で生やしたであろう鋭い牙。
レオンティウス様自身の色気も加わって、雰囲気抜群だ。
だめだ。
これは子どもは見ちゃダメなやつだ。
私、大人だけど。
私は「美しすぎて目が潰れました」と言ってスルッとレオンティウス様から視線を背ける。
「ふふ。可愛いお嬢さん。あなたに噛み付いていいのは、この私だけ、よね?」
それでもなお私の肩を抱き寄せ耳元で囁くレオンティウス様。
さすがグローリアスの歩く18禁。
「やめてください。そんな色気ダダ漏れの美声で囁かないでください」
目を逸らしたままレオンティウス様を押し返すが、まがりなりにも副騎士団長。
子どもの力じゃびくともしない。
必死に視線でそばにいたアレンに助けを求める。
それなのにニコニコ笑ったまま一向に助けてくれないアレン。
「アレンはそれ、なんなんだ?」
私の視線をたどったレイヴンが気づき、アレンにたずねる。
「あぁ、僕は──」
上向きに曲がった太く大きなツノが頭上両サイドに2つ。
紫と黒を基調にしたローブ。
まさかーー。
ごくりと喉を鳴らす。
「────魔王だよ」
「どんなブラックジョーク!?」
私は思わず叫んだ。
本物の魔王を身体に宿しておいて、魔王の仮装するとか、冗談キツすぎる。
私は無難に「よ、よく、お似合いです、ね」とぎこちなくも返すことで精一杯だった。
「で──先生は?」
私は3人から少し距離を取ったところでこちらの様子を見ていた先生を見る。
「なんだ?」
「なんの仮装ですか?」
「私は君のお目付け役で来ただけだ」
表情を変えることなく先生が淡々と応える。
「と言うことは、してないんですね?仮装」
「する必要性を感じない」
そんな気はしたけども。
私は口を尖らせて不満を露わにする。
「むぅ……良いです。想定内です。そんな先生には────えいやっ!!」
私は先生に向けて素早く指パッチンをして変身魔法を放った。
まさか私が先生に向けて魔法を当ててくるとは思わなかったのか、防ぐことも間に合わず、それは先生に直撃する。
ボンッ!!
「っ!!」
煙に包まれる先生。
そして煙が引いて出てきたのは、黒い耳と尻尾をつけた、黒づくめの……
────ネコ耳クロスフォード先生。
「キャァ! 可愛い!! 可愛すぎるっ!! 先生かわいいよぉ〜!!」
私は思わず、魔道具を作ることに長けているドワーフ族のパルテ先生に頼み込んで作ってもらったカメラの魔道具を取り出し、シャッターを押しまくる。
変身魔法、最高か。
先生は反応のないまま立ち尽くしている。
「わぁ……ヒメ、やるわね」
「シリル、か、かわいいよ?」
「いや、それは女がやるからイイんだろうが」
レオンティウス様とアレン、レイヴンが顔を引き攣らせながら言う。
「いえ!! 先生がやるからこその萌えです!! 断言しましょう!! 先生だからこその可愛らしさなんですっ!!」
力説するも残念ながら同意は得られなかった。
そんなこんなで始まったパーティ。
皆各々好きなものを好きなだけ皿に取り、口に運ぶ。
私も、パンプキンケーキやローストビーフ、サラダを少量ずつ皿に取り分けて口に運んでいく。
甘くないものと摂る甘いものは最高だ。
先生は相変わらず眉間に皺を寄せたまま、ホットコーヒーを口に含んでいる。
あれは怒ってる。確実に。
でも私は大満足だった。
カメラでレイヴン、レオンティウス様、アレンだけでなく、先生ともツーショット写真を撮ることができたのだから。
家宝にしよう。
そう心に固く誓う。
「で? ヒメはそれ、魔女なのかしら?」
レオンティウス様が私の帽子を指差しながら言う。
「はい。魔法少女ヒメちゃんです!!」
先生とのデートで購入した黒い生地を使って、魔法でワンピースと帽子を作った。
せっかくの初デートでの戦利品。
身体が大きくなってからも使えるように、身体の成長に合わせて服も成長する伸縮魔法をフォース学園長にかけてもらっている。
「いや、少女っつーか、魔法幼女だろ」
レイヴンがローストビーフにかぶりつきながらすかさず突っ込む。
「むぅ。そんなこと言ってられるのも今のうちですからね!!」
そう言って私は、懐から用意していた小瓶を取り出し、中の緑色の液体を一気に飲み干した。
すると────
大量の白い煙が、今度は私自身を包み込んだ。
「カンザキ!!」
「お、おい、ヒメ!! 大丈夫か!?」
先生とレイヴンの慌てたような声がかすかに聞こえる。
やがてだんだんと煙が霧散して薄れ、私の視界もクリアになった。
「っ!!」
「は!?」
「ちょっ、あんた……」
「君は……?」
4人の成人男性が、こちらを見て目を見開き、口をポカンと開けたまま固まっている。
いつもよりも視線が高くてバランス感覚がおかしくなったようで、少しだけふらつく。
この景色に懐かしさを覚えて、自然と口角が上がっていく。
魔法薬は成功したようだ。
次回、ヒメちゃんが大人になって迫られまくる!!
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