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人魚無双~幼女になって転移した先で推しの幸せのために私は生きる~  作者: 景華
第3章 そして少女は彼と出会う

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【Sideシリル(15歳)】とある公爵令息の忘却


「未来で──待ってて────!!」


 そう言葉を残してから、彼女は泡になって消えた。

 唇にかすかに残る温もりが彼女の存在を確かにする。


 余韻に浸っている時間はない。

 覚えているうちに早く……!!

 早く書き留めなければ……!!


 私はすぐに制服から手帳とペンを取り出し、低く平らな水晶の上へと広げた。


 まだ覚えているうちに書こう。

 後でこれを見れば、たとえ忘れてしまってもすぐに思い出すだろう。


 出会い頭に唇を奪われたこと。

 

 とても変態だと言うこと。


 毎食食事を共にし、一緒に魔物討伐に行った事。


 私とエリーゼの仲を勘違いし、嫉妬したこと。


 あれが互いにファーストキスだったと言うこと。


 彼女が“先生”を思って泣いていたこと。


 そしてそれは未来の自分だということ。


 全て──。


 20歳の頃に彼女は異世界から転移してくると言っていた。

 20歳……あと5年。

 5年ぐらい、すぐだ。


 そして再び巡り会えたなら今度こそ共に──……っ!?


 その瞬間、私の手帳は突然吹き荒れた突風に攫われ、聖域の湖へと落ちてしまった。

「っ!!」

 あの手帳は防水魔法をかけてある。

 水に濡れてダメになることはない。

 でも沈んでしまう前に早く拾わなければ。


 私が立ち上がり湖へと駆け寄ったその時だった──。


「うっ……」

 急に身体から力が抜け、(まぶた)(なまり)のように重くなると、私はその場になす(すべ)なく倒れ込んだ。


「ごめんね、シリル」


 意識が途切れる直前、そんな声を聞いた……ような気がした。


「ヒ……メ……」


 そして視界は闇に包まれた──。





「シリル!! シリル!!」

 高い声が耳にキンキンと響く。

 誰だ、うるさいな……。


「ん……」


 重い瞼をゆっくりとひらけば、広がる白い天井。

 そして傍には、見慣れた幼馴染の顔。


「……エリーゼ?」

「シリル!! よかった……!! あなた、夜中に校舎前で倒れてたのよ!? 私が夜の散歩して見つけたからよかったものの……」


 なんで真夜中に散歩してるんだ、この幼馴染は。


「君が運んでくれたのか?」

「え? あぁ、運んでくれたのはその場に居合わせたフォース学園長よ。そのあとは、可愛い幼馴染の私が看病してあげてたの!! 感謝してね!!」


 可愛いは余計だ。

 だがフォース学園長……。

 なんだ、この感じ。

 私は何か、忘れている気がする。


 無意識に自身の唇に触れる。

 あるはずのない温もりを探している自分に気づいて少しだけ恥ずかしくなった私は、誤魔化すようにエリーゼに尋ねた。


「エリーゼ。私は、他に誰かといなかったか?」


 フォース学園長じゃない。

 誰かと。

 あの場所で……。

 あれ?

 あの場所って……どこだ……?


「さぁ、私が見た時は一人だったし、すぐにフォース学園長が通りがかったから、他にはいなかったと思うけど」

「……そうか……」


 何か大切なことを忘れている気がする。

 なのに思い出そうとすれば激しい頭痛が襲う。


「大丈夫? まだ寝てたほうがいいわ。医務の先生には伝えておくから。明日の朝、また様子見に来るわね」

「あ、あぁ。すまない」


 おやすみ、と言って私がいるベッドのパーテーションを閉めると、エリーゼは医務室を後にした。


 なんだか変だ。

 頭の中に白いモヤがあるようで。

 胸にぽっかり穴が空いているようで。


 考えながら私は再び瞳を閉じた。



 そんな違和感もすぐに感じることがなくなり、私は何かを失ったままにまた日常を生きていく。


 大切な何かを忘れたまま──。



☆お知らせ☆


皆様いつも人魚無双をご愛読ありがとうございます!!

次回で人魚無双第三章、完結となります!!

ここまで読んでくださった皆様、応援本当にありがとうございます。


四章までに、一度休憩を頂こうともいます。

今回は、7日〜18日までお休み、19日金曜日からまた更新再開させていただきます。


あ、間で番外編短編(挿絵付き)を投稿予定ですので、是非読んでいただけると嬉しいです!!

またTwitterや活動報告にてお知らせします!


さて!!

2章でヒメちゃんへの想いを自覚したシリル先生。

3章でヒメちゃんは過去へ行きましたが、もちろんシリル先生の中では記憶がありません。

が、4章では想いを自覚した先生の無意識な溺愛が加速!!

甘くアダルティなイベントも発生しつつ、ヒメちゃんのハイテンション変態具合も健在です!!


グレミア公国との戦争回避のためにタスカと会談を行ったり、戦ったり、レオンティウス様ときちんと話し合ったり、もちろんクレアやメルヴェラ、マローたちとの友情や、ジオルドとの家族愛も!!


4章もてんこ盛りでお送りします!!


どうぞお楽しみに!!


そしてお願いが一つ!!

皆様どのキャラクターを気に入っていただけてるんだろう、という個人的関心がありまして。

よかったら、感想欄、活動報告のコメント、メッセージ、TwitterからでもOKですので、お聞かせいただけたら嬉しいです( ´ ▽ ` )


今後の参考にさせてください!!

それでは皆様、明日もよろしくお願いします!!



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