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人魚無双~幼女になって転移した先で推しの幸せのために私は生きる~  作者: 景華
第3章 そして少女は彼と出会う

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私と彼の1週間ー7日目ー私が好きな人ー


 午後の授業をサボった彼らは、夕食が終わる時間になるまでひたすら騒ぎ続けた。


 カードゲームをしたり。

 浮いているシャボン玉を魔法で撃ち割るという射的ゲームをしたり。

 シリル君に雪を大量に出してもらって、雪像作りを皆でしてみたり(私はもちろんシロル君(15歳Ver)を作った)。

 たくさん話をしながらまた料理を楽しんだり。


 楽しい時間を過ごし、窓の外で空に紫紺(しこん)のベールがかかり始めたところで、パーティはお開きとなった。


 皆と別れて、私たちはどちらから何を言うでもなく当たり前のように私たちの始まりの場所──聖域へと向かった。



   



 見上げれば満点の星空。

 星と月の光に照らされた水際の水晶がぼぉっと光って、辺りを幻想的に映し出す。


 水面(みなも)に浮かぶ満月は、手を伸ばせばなんだか捕まえられそうな気がして、私は湖の前でつん、とそれを揺らした。

 ゆらゆらと揺れながら満月は一瞬だけ形を崩し、そしてまた同じ姿を形作って行く。


「何をしている、濡れるぞ」

 呆れたように言いながら、すぐ側の水晶へと腰掛けるシリル君。


 言葉とは裏腹に妙に穏やかなその表情に、私はなんだか落ち着かず、ぽすん、と彼の隣へと腰を下ろした。


 何を言おう。

 改めて考えると、何も浮かんでこない。

 伝えたいことはたくさんあるはずなのに、こんな時だけ言葉が口の入り口で我先にと出てこようとして、結局どれも出ては来られないんだ。


 それは多分シリル君も同じで、私たちはしばらくの間、足元で月明かりに照らされる真っ白なセレニアの花を見ながら風を感じていた。


 もうこのシリル君には会えない。

 戻れば先生は、このことを覚えていないだろう。


 私がファーストキスを奪っちゃったことも。

 一緒に闇堕ち魔物を討伐したことも。

 毎朝、昼、晩、一緒にご飯を食べたことも。

 毎晩一緒に修行したことも。

 メモリーズエンドへピクニックに行ったことも──全部。


 そしてまた、先生とすれ違いの日々が始まる。


 私……先生とちゃんと仲直りできるのかな?

 今のこの関係が心地よくて、戻ってからのことを考えると少しだけ臆病になる。



「私ね、未来から来たんです」


 長い静寂を切り裂いて出たのは、まさかのカミングアウトの言葉だった。

 自分でも意識せずに出た言葉に驚きつつも隣で口をぽかんと開けて目を大きく見開いて「は……?」と漏らすシリル君を見て、私はどうにでもなれ、と腹を括った。


「未来では、シリル君は私の師匠で、先生で、保護者で……。シリル君が20歳の時、私は今使っている部屋に異世界から突然転移してきました。それから五年、シリル君は──先生は私をずっと見守ってくれていた」


 どうせ覚えていないんだ。

 伝えるだけ伝えればいい。

 後悔しないように。

 この時代のあなたへ。


「本当、なのか?」

 未だ信じられないと言った様子で弱々しく尋ねるシリル君に、私はゆっくりと頷く。


「未来の私の同級生、ジオルド・クロスフォードって言うんです。──あなたの義弟ですよ」

「!!」

 ジオルド君の名前は効果抜群だったようでシリル君はごくりと息をのむ。


「ジオルドを……知っているのか?」

「彼と出会わせてくれたのは先生──未来のシリル君ですよ」


 その言葉に驚きながらも複雑そうに視線を彷徨わせるシリル君。

 きっと今1番、ジオルド君との距離感は難しいんだと思う。

 

 拾ったはいいけれど、歩み寄れない。

 どうすればいいかわからない。

 そうして一人で抱え込んでるんだろうな。


「未来では二人とも、お互いを大切に思い合う良い義兄弟になってます。だから、シリル君はシリル君で大丈夫です」


 ジオルド君は、あの日人々の目から守ってくれたシリル君の事ずっと好きだから。


「──そうか。君がそう言うなら、そうなんだろうな。……あー……ヒメ、さっき先生と言っていたが、まさか君がよく言っていた師……とは──」


 ぁ……。

 まずった。

 ここにきてよくまずってるけど盛大にまずった。

 私、この人の前で先生を思いながら泣いてたんだった──!!

 今更ながらに恥ずかしくなって、私は頬を熱くしながらもゆっくりと頷いた。


「──シリル・クロスフォード先生……未来の……シリル君のことです」


 そう告げた瞬間だった──。


「っ!?」


 なっ……!?

 なんで……。

 私はシリル君に腕をひかれ、彼の腕の中へと引き込まれることになったのだ。


「あ、あのー……シリル君?」

 声をかけても、より強く腕に力がこもるのみで、シリル君は私の首筋に顔を埋め、これでもかというほどに抱きしめる。


 熱い吐息が首筋にかかって胸の奥がキュンと締め付けられる。


「なら君は──君が想っているのは……」

 何かに期待するような、そして少し掠れたような声が耳から侵入し脳へと響いていく。


 これは……もう、観念しよう。

 こんな時ぐらい、いいよね?


 私は自分の肩口にあるシリル君の耳元で、小さく言葉を告げた。



「私が好きなのは────あなたです──……」




1章間話の【作ろうシロル先生!!】のシリル君Verであるシロル君(笑)



次回!!

挿絵付き!!

シリル君との別れ。

そしてついに二人の想いが通じ合う!!


次回もよろしく願いしますぅぅぅぅぅ!!!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] やっと言ったーーーーっ!!(*´ω`*ノノ☆パチパチ 未来に戻っても、ちゃんと伝えて!ヒメちゃん!
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