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人魚無双~幼女になって転移した先で推しの幸せのために私は生きる~  作者: 景華
第3章 そして少女は彼と出会う

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【SIdeシリル(15歳)】とある公爵令息の決心



 そうか。

 今日で終わりなのか。

 彼女と二人の修行は。

 そう思うと、一気に無気力感が私を襲う。


 ただ適当に面倒を見ていれば良かったはずの1週間。

 なのに、ものすごく濃い一週間になったように思う。


 何より、自分の変化には驚くしかない。

 魔法剣は大きく上達したし、あの初恋以外は絶対にないと思っていた【恋】というものも再び経験することになった。

 嫉妬というどす黒い心も、自分には無縁と思っていたが……。


 幼い日の初恋を思い出す。

 私は彼女との約束を守るために、強くならねばならない。


 彼女の大切な国を守るために、そして今はもう一つ守りたいものも増えた。

 ──ヒメだ。

 いつか彼女にも言う時が来るのだろうか?

 私の初恋のことを。

 彼女との約束のことを。


 そしてその時彼女はどんな顔をするんだろうか?

 ……嫉妬したり……するんだろうか?


 そこまで考えて、私は考えることをやめた。

 いつになるかわからない未来を考えることに時間を使うなど、時間の無駄だ。

 そんな時間があれば、強くなるために勉強したい。


 私がそう考え、シャワールームに入ろうとしたその時だった。


 バンッ──!!


「おーいシリルー!! いるかー?」

 ノックも無しに人の部屋を開けるのは彼らくらいだ。

「レイヴン、レオンティウス」

 いい加減ノックを覚えてほしい。


「おっ、いたいた!! 明日のことだけどさ、ヒメ、いつ帰るんだ?」

 ズカズカと人の部屋に入り込んでくる二人組に眉を寄せてから「夜だ」と短く答えた。


「よし!! んじゃ明日はパーティーすっぞ!!」

 は?

 何のパーティーだ。


「何か祝うことなどあったか?」

 誰の誕生日というわけでもないし、婚約パーティーなども聞いていないし……。

 そう考えていると、呆れたように腰に手を当て、闇上がりのレオンティウスがため息をついた。


「あんたねぇ……。明日でヒメとお別れでしょう? お別れパーティーに決まってるでしょうが」

「学園長に昼に第三教室を貸してもらう許可もらってるからさ、明日はパーっとお別れパーティーしようぜ!! 料理や装飾は学園の意思が全部担当してくれるってよ!!」


 学園の意思まで巻き込んだのか……。

 でもそうだな。

 1週間という短い時間で、ヒメは彼らにとってもかけがえのない友となった。

 皆、ヒメのことが好きになった──と思う。

 全く不思議な女性だ。


 そんな彼女だ。

 ちゃんと別れの会を開きたいのだろう。


「……わかった。昼に第三教室だな。連れていこう」

 私は頷き、その計画を了承した。


「それはそうとあの子、どこに帰るの?」

「どこから来たかも結局よく知らねぇしな」


 それは私も聞きたい。


『いつか、辿り着くところ──』

 そう言って儚げに月を見上げたヒメの姿を思い出す。


 これはどういうことなのだろうか?

 いつか、必ずまた会える。

 そういうことなんだろうか?


「色々事情があることだ。細かいことは気にするな」

 そう言ってはみたけれど多分1番気になっているのは私の方だ。


「確かにそうだな。んじゃ明日は頼んだぞー」

「よろしくね。おやすみなさい」

「あぁ。おやすみ」


 賑やかな嵐二人が手を振り去って、一人になった寮の部屋でふぅ、と息をつく。


 一時の別れは寂しくもあるけれど、私はヒメの師を超える力を身につけて、彼女に胸を張ってまた会いたい。


 その時はきっと言おう。


「君が好きだ」と──。


次回からついに7日目!!

最後の日です!

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