私と彼の1週間ー6日目ー純粋培養シリルー
「お・そ・い」
未来の先生の如き眉間に皺を寄せ、いつもの待ち合わせの場所である食堂前で仁王立ちするシリル君。
はい。
ですよね!!
もう昼休みも半分ほど終わってますもんね!!
なのにもかかわらず、食べずに待っていてくれたシリルくん。
紳士……!!
陰キャなんて言ってごめんなさい!!
あなたは立派な、紳士シルヴァ様の御子息です!!
「おい。聞いてるのか?」
じとっと目を細めて私の顔を覗き込む、シリル君の整った顔。
近っ!!
「っ!! シリル君、遅くなって本っ当にごめんなさい!!」
その美しさに思わず後ずさって顔を背けるが、すぐに私は勢いよく頭を下げ、誠心誠意謝罪することにした。
流石にここでふざけたおすのはまずいと判断したからだ。
下げた頭の上の方から「はぁ……」と深いため息が降ってくる。
「まぁ、無事ならそれでいい」
ぽろりとため息と共に落とされた言葉に、私は反射的に顔を上げた。
もしかして……すごく心配してくれた?
あのシリル君が?
え……本当に?
「あの……シリル君? もしかして、心配してくれちゃったり……しました?」
空気も読まずに私がチラリと彼を見上げながらたずねると、シリル君は途端に私から顔を背けてボソボソと何か呟いた。
ん? なんて?
ボソボソ言いすぎてよく聞き取れなかった。
「あの、今なんて?」
「…………当たり前だ、と言ったんだ」
小さなその一言が、今度はきちんと私の耳に届いた。
「父上が苦戦しているらしいと聞いて、少ししてから騎士達が傷を負いながらも帰ってきたのに、父上だけが帰って来なかった。そしてその騎士たちに『グローリアスの制服を着た少女が一人、助けに現れた』と聞いた。すぐに君だろうと察した」
あぁ……。
そうよね。
シリル君は私の性格も、戦う力も知ってるもんね。
そりゃ私だって気づくわ。
「大丈夫だろうとは思っていたが、出現した魔物は闇堕ち魔物、しかも伝説級の生物だと聞いて心配した。……とにかく、君も父上も無事でよかった」
ピュア!!
お説教どころか、純粋に心配してくれるシリル君。
さっきシルヴァ様に聞いたシリル君の弱みは、今の彼には使うことはなさそうだ。
この弱みは、容赦なき大魔王である対先生用に取っておこう。
そう心に誓った瞬間だった。




